コロナ禍に事業者の倒産が多発し、悲鳴を上げる介護業界。食品偽装問題を題材にした社会派サスペンス『震える牛』や、政治の腐敗を描いた『トップリーグ』が映像化されるなど、話題作を書き続ける相場英雄氏が、介護問題の闇を描いた新刊『マンモスの抜け殻』を刊行した。介護をめぐる闇、そこに希望はあるのか。著者に話を聞いた。 ボコボコにへこんだ介護施設のミニバン ――介護問題を描こうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。 相場 朝と夕方に犬の散歩をしていると、介護施設のミニバンをたくさん見かけるんです。そのほとんどが、車体の部分がボコボコにへこんでいる。施設の名前が書かれた車は、ある種の『看板』であるはずなのに、修理をせずに公道を走っている。この業界はどうなっているのか、と疑問を感じたんです。