父親役に実の父をキャスティングし、支配的な母親と息子の関係を描いた演劇『姿』。脚本・演出を手がけた池田亮は、アニメ『ウマ娘』やEテレ『天才てれびくんhello,』などの映像脚本も担うなど、多方面に活躍の幅を広げる注目の存在だ。過去に自身のいじめ体験をテーマに作品にしたこともある彼は、なぜ「母親」という存在に向き合おうと思ったのか。 ジェンダーや男性性のあり方をテーマに執筆をつづける清田隆之が、『姿』が生まれた背景を考える。 【関連】加害者に許可を取り、いじめ被害を“ほぼ実名”で演劇化──「ゆうめい」池田亮 支配的な母親と息子の関係を描いたゆうめい『姿』 男性にとって母親との関係を言語化することはなかなかに難しい。たとえば社会学者の平山亮さんは、著書『介護する息子たち』(勁草書房)の中で「男性が息子としての自分に向き合うこと、そして、息子としての自分をオープンにすることは、男性としての経験の