聖地巡礼やパワースポットの流行など宗教的行動に溢れている日本。しばしば言われる無宗教というのは本当か。占星術の実践者であり研究者でもある鏡リュウジさんにお話を伺った。 (『中央公論』2022年5月より抜粋) 宗教と呪術のあいだ ――ノストラダムスの大予言、UFO、ネッシー、口裂け女、都市伝説など、1970年代から2000年あたりまでは常に「オカルトブーム」が起こっていたように記憶しています。その後はパワースポットやオーラなど、「スピリチュアル」と呼ばれる事物を、多くの人が日常生活に取り入れています。このようなブームが繰り返し起こるのは、多くの日本人が特定の信仰を持たないからなのでしょうか? 僕は日本社会が無宗教だとは、一度も思ったことはありません。むしろ宗教的な現象が溢れている社会だと思います。 キリスト教やイスラム教といった、強固なメンバーシップを前提とした組織宗教だけが宗教ではありませ