教えてくれたのは…… 英文学者 宮脇 俊文 成蹊大学教授。専攻はアメリカ文学、比較文学、ジャズ研究。1953年神戸市生まれ。上智大学文学部英文科卒、同大学大学院修士課程修了。近刊にフィッツジェラルドを、「冬の夢」などの短編を交えながら読み解く『「グレート・ギャツビー」の世界─ダークブルーの夢』(青土社)。 F・スコット・フィッツジェラルドは、中西部ミネソタ州の出身です。『グレート・ギャツビー』に描かれる東部の都会に比べればそうとうに素朴な生まれ育ちだったと言えます。処女長編『楽園のこちら側』がベストセラーになると婚約者のゼルダとニューヨークへ移り結婚、狂騒の20年代と呼ばれた空前の好景気を象徴するスターとなります。 ゼルダは新しい時代に解放された女性「フラッパー」のシンボルであり、フィッツジェラルドは時代の風俗を巧みにとらえる売れっ子作家でした。ふたりは夜ごと派手なパーティを開き、彼