【バンクーバー大前仁】冬季五輪開催中のカナダのバンクーバーでは、市民の熱狂が続く裏側で、毎日の食事や宿を心配する路上生活者も多い。市内に作られたテント村で声を聞き、平和の祭典の「陰」の部分を追った。 市内中心部から遠くない一角は、周辺と比べると異様な光景だった。むき出しの土の上に赤や青のテントが立てられて、たき火の煙が上がっている。テントの外に腰掛けた「入居者」が、視線を泳がせていた。入り口脇のフェンスには、手書きで「五輪は(貧富の格差を拡大する)階級闘争だ」と書いた布が張りつけてある。一部のスポンサー企業が関連商品や飲食物の販売を独占して利益を得る一方で、施設建設や運営に投じられる公費が開催国と国民に大きな負担をもたらす構図を批判する考えだ。 ここは、「五輪選手村」をもじって、「五輪テント村」と名付けられた。ボランティア組織が五輪開幕4日目の15日、五輪組織委の借り上げている区画に無断で