育児放棄(ネグレクト)が脳にどのような影響を与えるかを調べている横浜市立大学の高橋琢哉教授(生理学)のグループが、ラットを使って行った実験で、発育初期に母親から隔離されたラットは、環境に対する脳の適応力が低下することを発見、19日付の米医学誌に発表した。 ネグレクトで母親に放置され社会と隔絶した状態を経験すると、精神疾患を発症する例がある。発症のメカニズムは解明されておらず、新規治療薬の開発が課題となっている。 研究は、文部科学省の「脳科学研究戦略推進プログラム」事業などの一環で、同省は「研究の成果が精神疾患治療に向けた薬の開発につながると判断している」と話している。 実験では、オスのラットを人間の幼少期にあたる生後4〜7日目または7〜11日目にかけて毎日6時間1匹だけで飼育し、14日目に脳を調べた。 通常は生後12日目から14日目にかけて、記憶や学習に作用するタンパク質が神経細胞