【北京=佐伯聡士】中国で16日、大規模な反日デモが発生したことに、胡錦濤政権は衝撃を受けている。 15日には、重要政治イベントの共産党第17期中央委員会第5回総会(5中総会)が北京で開幕したばかり。街頭抗議行動が無秩序に拡大するような事態になれば、社会の安定だけでなく、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の後、修復に向かうとみられていた日中関係にも悪影響が出るのは必至だ。 漁船衝突事件を受け、胡政権は、中国人船長釈放を実現するための対日圧力の一環として、満州事変の発端となった柳条湖事件から79年を迎えた9月18日、北京などで反日デモを一部容認した。しかし、完全な統制下での「反日」で、破壊行為など大きな混乱には至らなかった。 胡政権も、街頭抗議行動が過激化することは望んでいない。「愛国無罪」のスローガンの下、民衆の不満が中国政府に向かい、制御不能の状態になるのを恐れているためだ。大規模な反日デモが起