2016年、米・ロサンゼルスから一人の男性が帰国した。大工として1970年代初めに渡米したものの、派遣された会社の倒産などの不運が重なり、帰国が困難になっていたMさん(87歳)である。彼は2010年ごろからロサンゼルスでホームレス状態になっていたという。 その様子を見ていた、動画制作を手がけるアメリカ人青年が、Mさんの暮らしぶりを撮影し、クラウドファディングで250人から1万2400ドル(約140万円)の寄付を集め、日米両国の支援者が連携して帰国に漕ぎ着けた。 日本側の支援を担当したのが、生活困窮者に「まずは安定した住まいを」という理念のもと活動する、一般社団法人「つくろい東京ファンド」(代表理事の稲葉剛さん)だった。つくろい東京ファンドは「ハウジングファースト」の実現を目指して、2014年に生活困窮者の支援を行う団体のメンバーが集まり、設立された。 日米連携がなければ、帰国がかなわなかっ