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ブックマーク / nukobook.com (575)

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― 』皆川 博子 (著) |

    皆川 博子 (著)ハヤカワ文庫 あらすじ時は18世紀ロンドン。外科医ダニエルが開いている解剖教室で、あるはずのない屍体が発見された。 四肢を切断された少年と顔が打ち砕かれた男。 盲目の治安判事ジョン・フィールディングは、ダニエルとその弟子たちに捜査の協力を要請する。 そこには才能に恵まれた一人の少年が辿った運命があった。 解剖が世の中に理解されていなかった時代に、屍体から多くの情報を得、役立てようと奮闘する彼らが不可能犯罪の謎に挑む。 解剖教室に現れたあるはずのない屍体ダニエルの解剖教室には5人の弟子が集まり、解剖の準備を始めていましたが、治安隊がやってきたために中断。 ダニエルたちは一体でも多くの様々な屍体を解剖し、医学の発展につなげたいと思っているのですが、実際に許可されているのは身元のわからない屍体のみで数も少ないため、墓あばきに金を渡し、こっそり屍体を買い取っているのです。 用意し

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『ちびねこ亭の思い出ごはん かぎしっぽ猫とあじさい揚げ』高橋由太 (著) |

    『ちびねこ亭の思い出ごはん かぎしっぽとあじさい揚げ』高橋由太 (著)光文社文庫 あらすじ三十五歳になる五十嵐さくらは疲れていた。 書店の店長を務めているが、給料は安く責任は重い。 売り上げも落ち続けている中、閉店の話まで持ち上がる。 仕事の辞めどきなのかも。 そう考えたさくらは、自分がを好きになったきっかけをくれた人ともう一度話がしたいと思い、死んだ人間と話ができるという「ちびねこ亭」を訪れる。 との出会いをくれた亡き恩師親から見合い話を持ち込まれ、書店の仕事では売り上げが落ち、部から閉店の話も出ていることを知ったさくら。 安い給料でへとへとになるまで働いても報われない現実に無力感を抱きます。 「なんか好きにならなければよかった」。 そんなことを考えながら、自分がを好きになるきっかけを与えてくれた、中学時代の恩師のことを思い出します。 恩師はさくらに一冊のを貸してくれました

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『パラダイス・ガーデンの喪失』若竹七海 (著) |

    若竹七海 (著)光文社文庫 あらすじ葉崎市にある、海を見下ろす崖の上の私設庭園「パラダイス・ガーデン」で身元不明の老女の死体が発見された。 亡き母の跡を継ぎ庭園のオーナーとなった兵頭房子は自殺幇助を疑われてしまう。 葉崎署の二村貴美子警部補は事件の捜査に乗り出すが、この狭い葉崎市内で誘拐、殺人、詐欺などが次々と発生する。 この街でいったい何が起こっているのか。 美しい庭で発見された身元不明の老女の死体亡くなった母の跡を継ぎ房子がコツコツと手を入れてきたパラダイス・ガーデン。 葉崎市のちょっとした観光名所となっているこの場所で、一人の老女の死体が発見されました。 オーナーである房子は第一発見者であること、老女がナイフで喉を突いた自殺であることから、自殺幇助の疑いをかけられてしまいます。 房子自身は全く身に覚えがないことですが…。 おまけにパラダイス・ガーデンに介護施設が建設される予定で、優先

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『京の恋だより 眠り医者ぐっすり庵』泉 ゆたか (著) |

    『京の恋だより 眠り医者ぐっすり庵』泉 ゆたか (著)実業之日社文庫 あらすじお茶対決のために京都からやってきた長海和尚。 眠りが浅い、という老僧の悩みを解決したぐっすり庵の松次郎と藍。 千寿園の跡を継ぐ者として、お茶のもてなしの心を学ぶため京へ修行に出ることとなった藍は、和尚とともに向かう京への道中で、また、たどりついた京でも眠りについて悩む人々と出会う。 若き医者・幸四郎の手伝いをすることになった藍。 幸四郎は何と、兄の松次郎のことを知る人物だったのです。 お茶の修行のため 一路京へと向かう藍お茶対決での勝負をきっかけに、神田明神の山道で千寿園の分店を出すことに。 出店の手配をしてくれた一心には、千寿園の跡を継ぐつもりなら江戸を離れてみたほうがいい、と言われます。 伯父たちを説得し、京へ戻る長海和尚とともに旅立ち、宇治の萬福寺で修行することになった藍。 慣れない旅路に苦労しつつ、兄が

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『貴族探偵対女探偵』麻耶 雄嵩 (著) |

    『貴族探偵対女探偵』麻耶 雄嵩 (著)集英社文庫あらすじ探偵として独り立ちしてから半年が経つ、新人女探偵の高穂愛香。 親友の別荘で起こった殺人事件の現場で「貴族探偵」と名乗る男と遭遇する。 師匠の教えを胸に、地道に現場を捜査する愛香に対し、貴族探偵は指一動かすことなく自らのメイドや執事などの使用人たちに推理を披露させる。 事件を解決するのは貴族探偵と女探偵、果たしてどちらなのか。 使用人に推理させる貴族探偵と新人女探偵の対決高校時代の友人・平野紗知に招かれ、山荘へやってきた愛香。 院生である紗知が所属するゼミの後輩も来ていたのですが、その中の一人が地下室で死体となって発見されます。 警察に連絡するも、道の途中にある橋で火災が発生し、到着までしばらくかかるとのこと。 愛香は現場の捜査を続けていたところ、地下室の井戸に紗知のコートのボタンを発見します。 紗知はどこで落としたのか覚えがないと言

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『花束は毒』織守 きょうや (著) |

    そうなのか〜。証拠があるんじゃ やっぱり人が罪を犯したのか? 探偵は脅迫者の正体をつかめるんだろうか。 そしてその正体を知ったあとはどうするんだろう? 『花束は毒』織守 きょうや (著)文春文庫あらすじ大学生の木瀬は探偵事務所の扉を叩いた。 中学生の頃、家庭教師をしてくれていた憧れの大学生、真壁が何者かに脅迫されており、その犯人を突き止めてもらうためだ。 担当となる探偵は、かつて同じ中学で一年先輩の北見理花。 真壁の周辺を調査するにつれ、明らかになっていく衝撃の事実とは。 憧れの先輩が隠していた過去親の転勤に伴い、住まいを転々としてきた木瀬。 中学の頃、家庭教師をしてくれていた、当時医学部に通う学生だった真壁に偶然再会。 昔話に花が咲きますが、真壁が医者になっていないこと、昔の朗らかな雰囲気と異なる現在の姿に違和感を覚える木瀬。 話によると、真壁は恋人との結婚を控えているのだが、何者かか

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『時空旅行者の砂時計』方丈 貴恵 (著) |

    『時空旅行者の砂時計』方丈 貴恵 (著)創元推理文庫あらすじマイスター・ホラと名乗る正体不明な人物の声に導かれ、加茂冬馬は1960年の時代へタイムスリップした。 入院中で生死をさまようを助けるためには、この年に起こった彼女の祖先である竜泉家を襲った殺人事件の真実を解明し、阻止しなければならないのだとホラは言う。 竜泉家を襲う奇妙な殺人事件の真相に、加茂はたどりつくことができるのか。 60年前に起こった事件の真相とは竜泉家の血を継ぐ人間は呪われている。 そんな言い伝えを信じているわけではなかった加茂ですが、竜泉家の末裔にあたるの伶奈がICUに運ばれるのを見ながら何もできない自分に肩を落とします。 そんな加茂に一の電話が。 マイスター・ホラと名乗る声の主は自分は未来を知っており、伶奈を救うためには1960年に起こった「死野の惨劇」の真相を探り、竜泉の呪いを解かなければならないのだと言いま

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『ぼくのミステリな日常』若竹 七海 (著) |

    そうなの。広報誌担当となった 著者と同名の主人公、若竹七海が 十二ヶ月分の原稿が揃ったところで ある結論に達するのよ。 『ぼくのミステリな日常』若竹 七海 (著)創元推理文庫あらすじ仕事をそろそろ辞めようかと思っていた矢先、社内報の製作担当となり面らう若竹七海。 企画会議で小説を載せる話が持ち上がり、先輩に執筆の相談をしたところ、先輩の知人である匿名作家を紹介される。 毎月届く、日常の謎を描く物語が広報誌に彩りを添える。 一年間の連載を終え、若竹はいよいよ匿名作家と対面する。 匿名作家によるミステリ小説の謎と慣れないけれどもこれまでの仕事と違った楽しさとやり甲斐を社内報製作に感じている若竹。 企画も固まり、小説の連載も決まったのですが広報誌ゆえに予算面が厳しいこともあり、格安で引き受けてくれないかと先輩に相談します。 文章を描く知人がいる、と紹介された人物は匿名作家。 この作家から毎月、

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー 『放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件』知念実希人 (著) |

    『放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件』知念実希人 (著)ライツ社 あらすじ柚木陸は小学4年生。 放課後には幼馴染の神山美鈴、ミステリマニアの辻堂天馬と3人で集まりミステリクラブとして活動する。 ある日、小学校のプールにたくさんの金魚が放たれるという事件が発生。 一体誰が何のために、そしてどうやって行ったのか。 3人は謎を解くため推理していく。 学校のプールに金魚が泳ぐ謎楽しみにしていたプールが中止。 先生が言った「ちょっとプールに問題があって」という言葉が何やら引っかかる様子の天馬。 放課後、や実験道具、トランポリンなどを持ち込んだ部室にミステリクラブの3人、陸、美鈴、天馬が集まりプールの話をしていたところ、担任の真理子先生がやってきます。 先生はミステリクラブの彼らに二つの事件の謎を解いてほしいのだと言います。 一つ目は、学校の敷地内にあるお地蔵さんが倒れていた事件の犯人を見

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『菊花ちらし 木挽町芝居茶屋事件帖』篠 綾子 (著) |

    篠 綾子 (著)ハルキ文庫 あらすじ芝居茶屋かささぎでは、実りの秋に何の献立を出そうかと店主の喜八、弥助、料理人の松次郎とで頭をひねる。 そんな中、下総から江戸へ遊びに来たという、美人のお菊とぼうっとした大男が店にやってきた。 そこへ店にいた久作と名乗る男がお菊に化粧水を買わないか、と声をかける。 その様子を見ていた喜八は、その販売方法がどうも気になり…。 江戸の町で起こる謎を解くシリーズ第五弾。 若い女性を相手に化粧水を売る男しめじのご飯に舞茸の焼き物、秋茄子の揚げびたし。 秋のメニューを展開する芝居茶屋かささぎに二人連れの客がやってきました。 下総から来たという、美人で気が強そうなお菊と、そのお供と思われる無口な大男の名は何と喜八。 秋の献立を提供した後、やはりはじめて店を訪れたという、薬売りの久作と名乗る男がお菊に何やら話しかけている様子。 久作は菊若水という名の化粧水をお菊にすすめ

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『推しの殺人』遠藤 かたる (著) |

    3人のメンバーのセンターが ある人物を殺してしまい 他の2人に連絡をするのよ。 相談した結果、彼女たちは 死体を隠すことを決めるの。 『推しの殺人』遠藤 かたる (著)宝島社文庫あらすじ大阪発のアイドル『ベイビー⭐︎スターライト』は結成から4年を迎え、様々な問題を抱えていた。 苛立ちを彼女らにぶつける社長、グループ内での人気格差、恋人から殴られているセンター…。 そんな彼女たちにさらなる問題が襲いかかる。 何とメンバーの一人が人を殺してしまったのだ。 集まった彼女たちが下した決断とは。 1の電話から彼女たちは戻れない道へと踏み出す『ベイビー☆スターライト』は大阪発のアイドルグループ。 初期メンバーのルイ、小柄で気の強いテルマ、そして一番若くて綺麗なセンター、イズミの3人で構成されています。 センター争いに敗れたテルマは何かとイズミに厳しく、ライブの出来が悪いとダメ出しすることも。 ルイが

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『鳴かずのカッコウ』手嶋 龍一 (著) |

    そうね。予算も人も限られていて なおかつ武器も持たないの。 若手調査官の梶壮太は自身の 記憶力や情報処理能力を使い 神戸の町で触手を伸ばすきな臭い 案件に立ち向かうのよ。 『鳴かずのカッコウ』手嶋 龍一 (著)小学館文庫あらすじ神戸公安調査事務所に勤める梶壮太は、国際テロ班に所属する公安調査官。 ひょろりとした痩せ型で色白、口数も少なく仕事で目立った成果はない。 そんな壮太は、ジョギングの途中目にした看板から中国北朝鮮・欧米の組織が複雑に絡んだきな臭い事案の調査を担当することに。 美人で優秀な同僚の「ミス・ロレンス」こと西海帆稀とともに神戸の町で裏から糸を引く謎の男を追跡するのだが…。 超地味な公安調査官が挑む相手とは若手公安調査官の壮太は、一度目にしたものは忘れず、画像のように記憶する能力の持ち主。 しかし目立った成果を挙げることができずにいます。 ある日壮太はジョギングの途中、建設中

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』桜木 紫乃 (著) |

    桜木 紫乃 (著)角川文庫 あらすじ北海道の釧路にあるキャバレー「パラダイス」で雑用係をしている二十歳の章介。 ある日、章介の暮らすオンボロアパートに父が小さな箱に入ってやってきた。 母が置いていった父の骨壷と共に過ごしていた章介だが、ひょんなことからマジシャン、歌手、ダンサーというメンバーたちと1か月の間、同居することに。 苦労の多い人生を送ってきたであろう彼らとの賑やかな日々は、章介に寂しいという感情や家族の温もりを教えてくれる。 強烈な個性を持つ3人との1か月の同居生活母が稼いだ生活費から章介のお年玉まで片っ端からギャンブルに当てては溶かしてしまっていた父。 そんな父が亡くなり、葬式は出るかとの母からの問いに「行かない」と答えた章介。 すると父の骨壷と母からの手紙がドアの前に。 「父ちゃんを頼みます」との文面に、ようやく母も父親から解放されたのだな、と思いつつ、骨壷をどうしたら良いか

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『すべての神様の十月(三)』小路 幸也 (著) |

    小路 幸也 (著)PHP文芸文庫 あらすじダメになってしまったロケ用の材を時間内にそろえる、出張先から危篤状態の父のもとへ向かう。 絶対に間に合わない状況なのに何故か時間内に送り届けてくれるタクシー運転手の正体とは(「間に合わせます」)。 人のまとうオーラのようなものが見えるわたしは、うちの畑のそばで話をしている、作業着姿の二人の男の人を見かけます。 わたしが話しかけると、二人のうちの一人が「この子、俺たちのこと見えてるじゃないかよ」と言い出して…(「地味過ぎる」)。 気まぐれで優しい神様たちと人間との縁を描くシリーズ第三弾。 どんな状況でも間に合わせるタクシー久しぶりに高校・大学と一緒だった鮫島と顔を合わせた神原。 先日菅原の父が亡くなったことが話題に上がります。 出張先の九州で危篤の連絡を受けた神原は、慌てて飛行機に乗ります。 心の中でなかばあきらめながらも、タクシーに乗り行き先の病

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『受験生は謎解きに向かない』ホリー・ジャクソン (著) |

    ホリー・ジャクソン (著), 服部 京子 (翻訳)創元推理文庫 あらすじ17歳の高校生、ピップのもとに一通の招待状が届いた。 友人・コナーの家で開かれる、架空の殺人事件の犯人当てゲームへの誘いに招待されたメンバーは、指示された配役を演じ、発言する。 舞台は1924年、孤島に建つ館で、主人が何者かに刺殺されたという設定。 様々な状況やメンバーの発言を分析し、推理を深めていく作業に、ピップはのめり込んでいく。 そしてたどりついた真実と事件の犯人とは。 ゲーム仕立ての殺人事件の謎を解く試験を終え、久しぶりに仲間たちと集まることになったピップ。 コナーの家でのマーダー・ミステリ・パーティーの招待を受けます。 この犯人当てゲームでのピップの役割は、レミー一族の当主・レジナルドの姪であるシーリア。 1924年を意識したローウエストのイヴニングドレスが最適、と服装の指示も。 レジナルドの長男・ボビーはア

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『メルカトルと美袋のための殺人 』麻耶 雄嵩 (著) |

    麻耶 雄嵩 (著)集英社文庫 あらすじ大学の友人に誘われ、湖の近くに建つ別荘へとやってきた推理作家の美袋。 同じく別荘に来ていた佑美子に心を奪われ、一夜を共にする。 しかし、ほどなくして彼女は死体となって発見され、状況から美袋が容疑者とされてしまう。 美袋はメルカトルに連絡し、真犯人を見つけてくれ、と頼み込む(「遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる」)。 奇才を放つ銘探偵、メルカトルが七つの謎を解く短編集。 別荘での殺人事件の容疑者になった美袋大学の友人、増岡の恩師である大垣の別荘へとやってきた美袋。 増岡の所属していた歴史クラブのメンバーが毎年同窓会も兼ねて集まる場に美袋も招かれたのです。 遊歩道沿いの林のなかで佑美子と顔を合わせ、前日は何とも思わなかったのにやけに彼女が美しく見え、美袋は自分でもドギマギしてしまいます。 何気ない会話を交わしたその夜、風に当たろうとテラスへ出た美袋は、涙を流す

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『あずかりやさん 満天の星』大山 淳子 (著) |

    『あずかりやさん 満天の星』大山 淳子 (著)ポプラ文庫 あらすじ東京の下町にひっそりと店を構える「あずかりや」。 この店では一日百円でどんなものでも預かってくれる。 目が見えない店主のもとには様々な預かってほしい「もの」を持ったお客たちがやってくる。 やきそばパンを預ける紳士、母子手帳を持ってきた妊婦。 また預けたものを受け取りに来る客や、時には招かざる客も…。 彼らはものと同時に「思い」を預けることで、自分の心の奥深い部分に潜んでいたものを見つけたり、新たな「気づき」を得る。 「もの」からの視点で「あずかりやさん」店主とそのお客たちを描くシリーズ第五弾。 あずかりやさんに強盗が侵入!?ぶっ殺してやる、とつぶやきながら街を歩く男。 この男と常に一緒にいるのがこのわたし、万能ナイフです。 看板のない、店らしき建物の格子戸を開け、中へ入ります。 暗い中を手さぐりで進み、和室の茶箪笥から現金を

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『ザリガニの鳴くところ』ディーリア・オーエンズ (著) |

    ディーリア・オーエンズ (著), 友廣 純 (翻訳)ハヤカワ文庫NV あらすじノース・カロライナ州の湿地で、一人の若い男性の死体が発見された。 ハンサムなこの青年の名はチェイス。 彼が古い火の見櫓から落ちたのは事故なのか、それとも…。 村の人々は6歳の頃からたった一人で暮らしている「湿地の少女」と呼ばれるカイアへと疑いの目を向ける。 村人からの蔑みの目線を避け、湿地の豊かな自然に包まれひっそりと暮らしていたカイアは犯人なのか。 「湿地の少女」カイアと事件の関係とは両親と、兄や姉たちとともに湿地の小屋で暮らしていたカイア。 酒を飲み、暴力を振るう父親から逃げるように母が家を出ていきました。 兄や姉たちも一人、また一人と出て行き、末っ子のカイアが父と二人で暮らし始めます。 見よう見真似で料理をし、父から受け取ったお金で人目を避けるように買い物をします。 学校には一度行ったものの、周囲からの蔑み

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『ロボット・イン・ザ・システム』デボラ・インストール (著) |

    デボラ・インストール (著), 松原 葉子 (翻訳)小学館文庫 あらすじ中学校生となったタングは思春期の真っ只中。 見た目の変わらなさからあれこれ手や口を出しては、タングを苛つかせてしまうベン。 好奇心のままに成長中のボニーと頼れる・エイミー。 そんなベン一家は骨盤骨折から回復した老婦人、ミセス・カッカーを迎え入れることに。 いっそう賑やかになった一家のもとへ、何と友人のカトウ一家が仕事と休暇を兼ねてやってきた。 休みなく仕事に向かい、何かを隠している様子のカトウにベンは不信感を抱くのだが…。 タングの思春期とカトウが隠す秘密友人もでき、楽しく学校へ行っているようではありますが、ベンの助けやアドバイスを嫌がることもあるタングは思春期を迎え、何やら思い悩んでいる様子。 ベンは不器用なりにタングの力になろうとしますが相変わらず少しずれています。 入院していたミセス・カッカーが退院し、彼女のア

  • ひと目でわかる!イラストブックレビュー『田舎のポルシェ』篠田 節子 (著) |

    実家である農家で作られた 大量の米を引き取ることになった 女性が、格安料金で運搬を引き受けて くれる人を紹介してもらったの。 その人物が軽トラに乗ってやってきたのよ。 『田舎のポルシェ』篠田 節子 (著)文春文庫あらすじ農家である実家で作られた大量の米を引き取るために、荷物の積め込みと運転を手伝ってくれる相手を同僚から紹介してもらった翠。 当日、待ち合わせの場所に現れたのは、白い軽トラに乗ったいかついヤンキーだった。 岐阜から東京への往復1000キロの旅の途中、台風の接近をはじめとした様々なトラブルに巻き込まれ…。 表題作「田舎のポルシェ」ほか人生の岐路に立つ人々を乗せて走る車の旅を描く、三篇の物語。 軽トラの旅はトラブルがいっぱい!?全身紫のツナギに、地肌が見えるような丸刈り、胸元には金の鎖…。 同僚の友人である瀬沼剛は軽トラに乗って現れました。 彼の家業である酒屋は潰れてしまい、配達に