◇「社会的弱者」「少数派」標的 根強い不寛容や無理解 ◇国民的問題認識を インターネットを中心に差別的な表現、言論が広がっている。東日本大震災に伴う原発事故後は、放射性物質による汚染を巡り、福島県や在住者らを攻撃する言葉が飛び交う。芸能人の親の生活保護受給を巡るバッシングは、在日コリアンへの非難にも波及した。一定の集団を誹謗(ひぼう)、差別する言論は「ヘイトスピーチ」と呼ばれ、法規制している国もある。なぜ今広がるのか。どう対応すべきか。この問題に詳しい佐賀大経済学部の奈須祐治准教授(憲法)に聞いた。【聞き手・蒔田備憲】 −−ヘイトスピーチとは。 明確な定義はないが、海外では80年代以降頻繁に使われるようになった。国によってニュアンスは違い、米国では主に黒人に対して、カナダではユダヤ人に対するものと受け止められてきたが、最近は多様化もしている。日本では被差別部落への表現が問題とされてきた歴史