木原稔防衛相は26日の閣議後記者会見で、陸上自衛隊と海上自衛隊で特定秘密のずさんな取り扱いがあったとして、各自衛隊が佐官級の幹部ら計5人を停職や減給の懲戒処分にしたと発表した。防衛省は外部への漏えいは確認されなかったとしている。
経済安全保障に関する重要な機密情報の取り扱いを有資格者のみに認める「セキュリティー・クリアランス(SC、適格性評価)」の法制化に向けて、特定秘密保護法を改正する案が政府内で浮上していることが29日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。政府は早ければ来年の通常国会に関連法案を提出する方向で調整しており、今年秋から議論を本格化させる。 SCは、機密情報へのアクセスを一部の民間研究者・技術者や政府職員に限定する制度。軍事転用が可能な技術や、民間の国際競争力に関わる重要な情報が国外に流出することを防ぐ狙いがある。ただ、昨年5月に成立した経済安全保障推進法にはSCの規定がないことから、法制化が課題となっている。 平成26年に施行された特定秘密保護法は、①防衛②外交③スパイ活動などの特定有害活動④テロ―の4分野に関わる国の機密を「特定秘密」に指定して漏洩時の罰則を定めている。SCとは法律上の「親
安全保障に関わる機密情報の「特定秘密」を漏えいしたとして、特定秘密保護法違反容疑などで書類送検された海上自衛隊の井上高志・元1等海佐(55)(懲戒免職)について、検察当局が、特定秘密保護法違反容疑について不起訴とする方向で最終調整していることがわかった。検察当局は、情報が特定秘密に当たるとの立証が困難と判断しているとみられる。 【写真】特定秘密保護法の成立、当時の安倍内閣は支持率が急落 井上元1佐は、情報業務群(現・艦隊情報群)司令だった2020年3月19日、神奈川県横須賀市の庁舎で、元海将で自衛艦隊司令官も務めた男性OBに安全保障環境について口頭で説明した際、日本周辺の情勢に関して収集した特定秘密を伝えたとされる。このほか、自衛隊の運用に関する秘密情報を漏らしたとされている。 自衛隊の捜査機関である警務隊は昨年12月、元1佐を特定秘密保護法と自衛隊法違反容疑で横浜地検に書類送検。検察当局
政府は、防衛装備品の製造などに関わる企業を財政支援する一方で、装備品情報を外部に漏らした企業関係者に対する刑事罰の規定を拡大する方針を固めた。現状、民間人が刑事罰の対象になるのは特定秘密保護法に基づく「特定秘密」など特に重要な情報の漏えいに限られるが、今後は比較的重要度が低い防衛省訓令上の「秘密」の一部についても刑事罰を科せるようにする。防衛企業に情報管理の徹底を促すのが狙いで、関連法案を通常国会に提出する。 複数の政府関係者が明らかにした。漏えい時に刑事罰が科せられるのは現状、特定秘密保護法に基づく「特定秘密」(10年以下の懲役など)と米国から提供された「特別防衛秘密」(同)のみで、いずれも詳細は非公表。それ以外の情報を防衛企業の役員や従業員が漏らしても、契約解除や違約金の支払いといった民事上のペナルティーがあるだけだった。
海上自衛隊の元1等海佐(昨年12月に懲戒免職)が安全保障に関する「特定秘密」を漏洩(ろうえい)したとして書類送検された事件で、この特定秘密は、中国艦艇の動向に関する軍事衛星画像の情報だとみられることが、政府関係者への取材でわかった。米軍から提供を受けたものも含まれていた。画像そのものではなく、情報の内容などを口頭で元の上司に伝えていたという。 元1佐は2020年3月、自衛艦隊司令官を務めた海自OBの元海将へのブリーフィングで、周辺情勢について海自が収集した特定秘密、自衛隊の運用状況、自衛隊の訓練に関する情報といった秘密を故意に伝えたとして、昨年12月に特定秘密保護法違反などの疑いで書類送検された。 送検にあたって海自警務隊は「厳重処分」の意見をつけたとみられ、横浜地検が起訴するかどうかについて調べている。 政府関係者によると、元1佐が漏らした特定秘密は中国海軍の艦艇の動きに関するもので、人
安全保障に関する情報のうち、特に秘匿が必要とされる特定秘密などを漏洩(ろうえい)したとして、海上自衛隊の1等海佐が書類送検された。 「畏怖(いふ)」を抱かせるかつての上司に頼まれたとはいえ、海自の情報部門トップだった幹部がいとも易々と最高機密を漏らしたのはなぜか。漏洩を受けた元海将は、なぜ責任を問われずにすんだのか。そこには一連の報道では明らかになっていない、現職とOBをつなぐ深い闇が潜む。 事件をよく知る関係者の証言を織り交ぜながら掘り下げてみた。 舞台は横須賀のビルの一室 「伏せている所を教えてくれないか、と聞くだけで教唆になる」とされた安全保障の最高機密、特定秘密。8年前に法律が施行されて以来、よもやこんな形で外部に漏出するとは誰が予想したであろうか。 舞台は、自衛艦隊司令部(神奈川県横須賀市)などの海自中枢機能が建ち並ぶ一角にあるビルの一室。海自で唯一の情報専門部隊である情報業務群
【読売新聞】 海上自衛隊の1等海佐が、安全保障に関わる機密情報にあたる「特定秘密」を外部に漏えいした疑いがあることが、政府関係者への取材でわかった。防衛省は近く1佐を懲戒処分にする方針だ。特定秘密の漏えいが発覚するのは初めて。 政府
情報公開請求で開示された人工衛星画像の購入実績に関する文書。購入申請した都道府県警や使用目的は黒塗りだった=2022年8月25日午後7時18分、遠藤浩二撮影 人工衛星を利用した警察の「宇宙からの目」による捜査実績が毎日新聞の情報公開請求で明らかになった。警察内部でも捜査手法は広く知られておらず、実態はベールに包まれている。販売事業者によると、商業衛星の中には高い解像度の衛星もあり、個人のプライバシー侵害と捜査の必要性のバランスが求められる。 情報公開請求で開示された運用要領からは、警察が衛星画像の保秘を徹底していることがうかがえる。商業衛星の画像を管理する部屋には、原則として業務を行う職員以外の入室を禁じている。また、情報収集衛星の画像は警察庁警備局長が「衛星秘密管理者」となり、「従事する職員の人数及び範囲は必要最小限にとどめる」「衛星秘密を他人に伝達するときは盗聴の防止など必要な措置を講
政府が来年の通常国会への提出を目指す経済安全保障推進法案で、機微技術の情報などを共有する民間に対し、情報漏洩(ろうえい)に関する罰則を設ける方向で検討していることが分かった。官民が連携して取り組む施策で民間に罰則を導入するのは異例だが、情報管理を厳格にして中国などへの流出を防ぐ必要があると判断した。複数の政府関係者が28日、明らかにした。 政府は経済安保推進法案の4本柱の一つに「官民技術協力」を掲げる。官民が持つ技術情報を活用し、経済安保分野の中核となる人工知能(AI)や量子技術などの先端技術を育成・支援する枠組みだ。 実施に当たり、政府が保有する機微技術の情報や政府の目指す方針などを民間に伝える。特定秘密に指定された情報などについては官民ともに秘密保持に関する罰則が伴う。一方、そこまでには至らない情報の取り扱いの場合、政府側の職員は国家公務員法の守秘義務違反などに問われ、罰金や懲役といっ
国会が特定秘密保護法の運用の監視活動を始めて6年になる。政府の機微な情報へのチェックが制度上可能なのだが、秘密情報や政府の情報収集そのものに触れる監視は少ない。参院で参考人として意見を述べた識者からは、監視機能の強化を求める意見が相次いだ。11日公表された衆院の年次報告では、守秘義務が課せられた非公開の審査会でも、質問に答えてもらえないことがあると指摘された。 「過剰な特定秘密の指定がなされているかの評価、判断(を審査会がするの)は大変困難だと考えている」。4月28日に開かれた参院情報監視審査会で、参考人としてNPO法人・情報公開クリアリングハウス(東京)の三木由希子理事長が審査会の存在意義に踏み込んだ。
特定秘密保護法の施行から5年がたった。安全保障に関して重要と判断する情報を特定秘密に指定し、漏えいに重罰を科す制度である。 適用される対象の行政機関はこれまで70あった。政府は政令を改正して、28機関と大幅に減らした。 法律の付則に基づく措置だ。検察庁や宮内庁、国税庁など42機関は施行から5年間、特定秘密を保有したことがなく、対象から除かれた。制定時の検討が不十分で、必要以上に網を掛けていたことの表れだろう。 6月末時点で特定秘密に指定された項目は581件に上り、防衛省が334件と最も多い。文書数にすると昨年末時点で44万にも及ぶ。 制定時から法律への批判は強かった。安全保障を名目に行政機関が情報を隠し、自由な言論に悪影響を与える恐れがあると懸念されていた。 このため運用の監視に向け、内閣府に独立公文書管理監、衆参両院に情報監視審査会が設けられた。 だが、管理監は政府の機関で強制権もない。
特定秘密保護法の施行から5年。最大の関心事はこの法律がどのように運用されるのかという点だったが、いまだに立件例はない。捜査当局の視点から、この法律の使い勝手について見てみたい。 捜査当局の情報漏えいは? 制定当時、この法律の成立に猛反発していたマスコミ関係者の本音を聞いてみると、捜査当局が極秘の捜査情報をリークすることに対して後ろ向きとなり、そうした情報が得にくくなるのではないかと懸念するものもあった。 確かに特定秘密保護法は、特に秘匿が必要な安全保障に関する情報を「特定秘密」として指定し、その取扱い業務に従事する公務員らが漏えいに及んだ場合には最高で懲役10年に処するなどとしている。 既に国家公務員法などで規定されている広範な守秘義務を前提としたうえで、特定秘密保護法で職務上知り得た秘密の中に「特定秘密」という類型を設けて絞り込み、その漏えいに対する最高刑を国家公務員法の懲役1年から大幅
岸信介首相が1957年に訪米し、ダレス国務長官らと会談した際、米側の要求に応えて、新たな秘密保護法制定への意欲を示したことが先月公開された外交文書で明らかになった。日本政府は3年前の54年に、米国の供与品に限定した秘密保護法を制定したが、56~57年ごろ政府・自民党が高性能兵器の供与を受けるため新法制定を準備していた。文書からも岸首相がより広い範囲の秘密保護にこだわりを見せたことが浮かび上がる。【青島顕】 戦前・戦中に軍事秘密保護やスパイ防止のため作られた軍機保護法、治安維持法、国防保安法などは、憲兵や特別高等警察による恣意(しい)的な運用により、さまざまな人権侵害を起こした。敗戦後の45年10月に廃止されたが、その後10年あまりで新たな立法が模索されていたことになる。
参院で審議中のMDA秘密保護法について「一般の人にも大きな影響」の見出しを付けた解説記事を載せた1954年5月26日朝刊の毎日新聞1面(東京本社版) 特定秘密保護法の成立から今月で5年を迎えたが、64年前の1954年にも同様に「秘密保護法」の略称で呼ばれた法律が作られた。米軍が提供する装備品の性能などを「特別防衛秘密」とし、漏らした人だけでなく「不当な方法」で知ろうとする人にも重罰を科す。特定秘密の「原型」とも言えるもので、今も約1万件の秘密が防衛省で運用されている。外部のチェックを受ける仕組みもなく「より闇が深い」と指摘する識者もいる。【青島顕】
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