特定秘密保護法の施行から5年。最大の関心事はこの法律がどのように運用されるのかという点だったが、いまだに立件例はない。捜査当局の視点から、この法律の使い勝手について見てみたい。 捜査当局の情報漏えいは? 制定当時、この法律の成立に猛反発していたマスコミ関係者の本音を聞いてみると、捜査当局が極秘の捜査情報をリークすることに対して後ろ向きとなり、そうした情報が得にくくなるのではないかと懸念するものもあった。 確かに特定秘密保護法は、特に秘匿が必要な安全保障に関する情報を「特定秘密」として指定し、その取扱い業務に従事する公務員らが漏えいに及んだ場合には最高で懲役10年に処するなどとしている。 既に国家公務員法などで規定されている広範な守秘義務を前提としたうえで、特定秘密保護法で職務上知り得た秘密の中に「特定秘密」という類型を設けて絞り込み、その漏えいに対する最高刑を国家公務員法の懲役1年から大幅