スクープした新聞、された新聞 10月28日の読売新聞朝刊では、最高裁長官に竹崎博允(ひろのぶ)氏が決まったことが一面トップに出ていた。同じ日の朝日新聞にも日経新聞にも出ていなかったので、こういうのを「スクープ」と言うんだろうなあ、と3紙を眺めながら思った。 記者にとって、他社に先んじて報道をすることは手柄であり勲章だ。今回なら、読売以外で最高裁長官人事を担当する記者たちにとっては「特落ち」や「後追い」を意味するもので、悔しい思いをしたことだろう。私もその昔記者として働いていたとき、いつも自分の担当分野で落としているニュースがないかどうか、ハラハラしながら他紙をチェックしていた。 ○読者に不親切な「後追い」の書き方… けれどもこの「スクープ」、日本では1世帯あたりの新聞購読の平均が約1.0紙だから、通常の読者にとっては「スクープ」であることすら、わからない。しかも、後追いした朝日新聞