国連の日本人職員がこぼしていた。「原発事故が続く限り、会議でも職場でも、まるで日本バッシングだよ」。分かる。私も欧米の記者たちから「日本政府は重要情報を隠している。なぜ日本人は黙っているんだ」と質問攻めに遭った。地震と津波で寄せられた同情と賛嘆は、原発事故ではいらだちに変わったかのようだ。 特に米仏からの風当たりが厳しい。米国は世界の原発の4分の1に当たる104基を稼働させ、フランスは電力の8割を原発で賄い、輸出もする。原発大国としての自負と不安もあるだろう。確かに日本の情報発信は下手だった。でも、過剰な日本批判には内心、反発も覚えていた。 先週、反発は疑念に変わった。訪日したサルコジ仏大統領のメッセージを、私はこう聞いた。「それでも地球村に脱原発の選択肢はない。今回の事故は日本の危機管理ミスで、原発のシステムに欠陥はない」。前日、オバマ米大統領もワシントンで、原発推進の方針堅持を宣言して