ＥＵにおける共通移民政策の現状と課題 ～海外調査報告～ＥＵにおける共通移民政策の現状と課題 ∼海外調査報告∼ わ き た ゆういち 第一特別調査室 １．はじめに 和喜多 裕一 欧州主要国は、第二次世界大戦後の復興期に、国内の労働力不足を補うために多くの移 民を受け入れてきた。その際、移民政策については、地域統合が進む中にあっても、各国 主権と密接な関係を有することから、長く各国が独自の取組を続けてきた。 しかし、1993年11月のＥＵの発足などにより、統合の動きが一層強化され、単一市場形 成に向けて、物やサービス、資本のほか、人の移動を自由化する政策を進められた。それ に伴う域内国境の廃止などにより、各国の移民政策を調和させる必要性が認識されるよう になり、ＥＵ共通移民政策に向けた取組が始められた。 共通移民政策には、経済移民の受入れ、移民の社会への統合、不法移民への対応などが 含まれる。そのうち、経済移民については、少子高齢化が進
