東京都が大規模災害に備えて事前購入した非常用燃料が、実際には備蓄されていない可能性があることがわかった。 都は2013年、購入した燃料を民間のガソリンスタンドや油槽所で保管する「ランニングストック(流通在庫備蓄)」制度を導入。当時は「“在庫”を抱えずに備蓄できる」と胸を張っていたが、保管する業者側が制度を十分に理解しておらず、いざというときに機能しない恐れが生じている。 ◆計算外 「今この瞬間に、都の備蓄分があるかと聞かれれば、『ない』ですね」。都の非常用燃料を保管しているはずの油槽所の担当者は、困惑した様子で説明する。貯蔵タンク内の重油は販売先が決まっており、都が事前購入した分は「計算に入っていない」という。 東日本大震災を受け、都は13年1月、小売業者らで作る都石油業協同組合、都石油商業組合と、非常用燃料の備蓄協定を締結した。都が毎年度、組合から購入した燃料を加盟業者が保管する仕組みで