モスクワのブトボにある教会を訪れたプーチン大統領(左)とアレクシイ2世・前ロシア正教会総主教(中央右)(2007年) Bloomberg ロシア・ソ連といえばかつては「宗教はアヘン」といった無神論の世界と思われた。ロシア革命の指導者だったレーニンは宗教を否定し、世界初の社会主義国を設立した。しかし、ロシアの歴史をみると、政治と宗教との関係が極めて深い。プーチン政権下で続くウクライナとの戦争も、10世紀前後にあったキリスト教国家、キエフ(キーウ)・ルーシが両国の起源であることが影響しているともいえる。 キエフ・ルーシは、9世紀末から13世紀半ばにかけて今のウクライナからロシア西部を支配した当時の大国であり、首都をキエフに置いた。10世紀に君主であるウラジーミル(ヴォロジーミル)大公がクリミア半島でキリスト教の洗礼を受け、キリスト教国家となった。領土もウラジーミルと息子の統治下で最大となり、繁