朝日新聞の大誤報問題で、経営陣は撤回も謝罪もしないで「重く受け止める」の繰り返しで幕引きを図っているが、植村隆元記者が訴訟を起こしたりして、騒ぎは収まらない。本書はこうした朝日の実態を「有志」が暴露したものだ。 朝日は右派メディアがいうような「反日」や「売国奴」ではない。もう現場にはそういうイデオロギーは希薄で、昔から受け継がれている「リベラルな空気」に適応して、記事に「角度をつけて」出世しようとするサラリーマンの集団なのだ。 意外なのは「社論」がはっきりしていないという話だ。読売の場合は、よくも悪くも渡辺恒雄主筆が社論を決めているので、記事につける「角度」が最初から決まっているが、朝日は「リベラル」なので、決める人がいない。本多勝一や松井やよりのような極左がスターになると、幹部でも止められない。 他方で組織は官僚的で前例主義が強く、いったん決めた路線を変えられない。政治部vs社会部とか東