一般的なイメージに従えば、日本の官僚制は強大な権力を持っている。しかし、そうしたイメージとは裏腹に、日本の公務員数は先進国の中でも極端に少ない。本書は、その理由を探ったものである。 まず、本書では日本の公務員数が他国よりも少ないという事実を、様々な資料に基づいて確認する (第1章)。しばしば、日本の公務員が少ないのは、他の国と数え方が違うだけで、外郭団体の職員などを含めた実質的な公務員の人数はかなり多いという主張が行われることがある。これに対して、本書では、国家公務員と地方公務員に加えて政府系企業や外郭団体の職員を数えたとしても、国際比較の観点から見た日本の公務員数はほとんど変わらないということを示す。 次に、本書では現在の日本と他国の公務員数の違いが生じたメカニズムを明らかにする (第2章)。歴史を遡れば、日本は常に公務員の少ない国だったわけではない。それどころか、第二次世界大戦前までの