「闇ガネ」とも批判される機密費。自衛隊のPKO日報問題、「森友・加計」問題など、公文書管理への関心が高まっているが、奇跡的に残された戦前の外交機密費の史料には、領収書が貼付されていたり、金額・日付・受領者が備忘録のように記されていた! これらの史料をもとに、満州事変から日中戦争への道を描いた話題作『機密費外交――なぜ日中戦争は避けられなかったのか』の「はじめに」を公開する。 ブラックボックスのなかの機密費 機密費は今も昔も厚いベールに包まれている。今年(2018〈平成30〉年)3月、政府ははじめて内閣官房報償費(官房機密費)の文書を開示した。官房長官の判断で支出される官房機密費は、昨年(2017年)度の予算が約12億3000万円で、内外の情報収集を目的としているとされる。使途の公表や領収書の提出義務はない。 実際のところ今回の文書開示によって、支出の9割は「政策推進費」であることがわかった