国営諫早湾干拓事業(長崎県)の和解協議をめぐり、農林水産省が地元漁業団体幹部に組合員向けの想定問答を示していた問題で、同省が、想定問答に対する情報公開請求には文書の存否を明らかにせずに不開示とする方向で検討していることがわかった。識者は、情報公開制度の趣旨の逸脱だと指摘している。 複数の関係者によると、同省は昨年11月下旬、佐賀、福岡、熊本の漁業団体幹部との会議で想定問答を示し、その場で回収。その後、一部の漁業団体と共に同趣旨の文書を作成した。開門しないかわりに基金を創設する同省の案に理解を求める内容だった。 朝日新聞は2月、想定問答の開示を求める趣旨で、同省に情報公開を請求した。結果はまだ通知されていないが、省内では、存否を明らかにせずに不開示とする方向で検討が進んでいるという。同省幹部は9日、取材に対し「開示は難しいだろう」と話した。 情報公開法では、存否の回答を…