服用していた複数の向精神薬などの処方箋を持ちながら、通院先の男性院長から受けた性暴力について語る40代女性=東京都内で2022年4月18日午後2時59分、岩崎歩撮影(画像の一部を加工しています) 医師にわいせつ行為を受けた時、すぐに抗議できる患者はどれだけいるだろうか。心身の不調を治すための行為と説明されれば、反論は一層難しくなる。東京都内の病院で医師から性暴力を受けたという女性も、警察に被害届を出せなかった。泣き寝入りの背景には「医師優位」という特殊な関係性がある。わいせつ行為に私たちはどう対応すべきか、専門家と考えた。 「乳がんかチェックするよ」。埼玉県に住む40代女性は2016年8月ごろ、通院していた東京都内の心療内科クリニックの男性院長からこう告げられ、初めて胸を触られた。医師と女性の2人きりだった。