本書出版から二カ月あまりたった二月末、西山太吉氏の死去が報じられた。タイトル通り、「最後の告白」となった本書は、政治記者・西山太吉氏の「最後の告白」のみならず、対米従属という、現代に続く戦後政治史の基本的な矛盾について視座を提供する証言集ともなっている。 沖縄返還に際してアメリカが日本に支払うべき四百万ドルの補償金を日本が肩代わりしていたいわゆる「沖縄密約」をスクープしたことで知られる西山太吉氏。佐高氏は、西山氏が「国家のウソ」を暴いた唯一のジャーナリストであるにもかかわらず、そのことがいまだ正当に評価されていないとして、改めて顕彰することを本書の課題の第一に挙げている。氏のスクープは、時の権力によって「外務省機密漏洩(ろうえい)事件」と読み替えられ、「国家公務員法違反」にすり替えられた挙げ句、隠蔽(いんぺい)された。西山氏は逮捕され、裁判所は有罪判決を下した。 また、西山氏が深く関わった