勝訴の見込みがないのに民事訴訟を起こして敗訴したとして、元依頼人が奈良弁護士会所属の男性弁護士を相手取り、訴訟費用など約120万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、奈良地裁であった。新阜真由美裁判官は「勝訴の見込みはなく、適切な説明があれば提訴に至らなかった」と弁護士の説明義務違反を認め、約100万円の支払いを命じた。 判決によると、元依頼人は相続した土地をめぐるトラブルで近隣住民から違約金の支払いを求められ、解決金300万円を支払う内容で平成16年に大阪高裁で和解が成立。弁護士は「解決金は取り戻せるかもしれない」と弁護を引き受け、23年10月に解決金返還訴訟を奈良地裁葛城支部に起こしたが、棄却された。 奈良弁護士会は昨年10月、「依頼者に有利な解決になるよう努力した事実はない」として、弁護士の懲戒処分を決定していた。