ドイツでは「解雇」をしやすくした結果、短期的には失業者が500万人を超えた。 ところが長期的には、雇用の流動性が高まり、逆に労働市場が拡大して失業者は減った。 しかもこの厳しい改革を行ったのは労働組合を支持母体とするシュレーダー政権だった。 硬直化した日本の労働市場にとって、ドイツの事例は何よりの教訓になる。 日本のメディアが伝える欧州の経済ニュースと言えば、ギリシャなどの国家財政が危機に瀕しているという話ばかりで、欧州連合や共通通貨ユーロは崩壊の瀬戸際にあるとの見方が広がっている。さぞかし欧州の景気はメタメタなのだろうと思うと、どうも実態は違う。ドイツを訪れれば一目瞭然で、様相はまったく違っていて、かつてないほどの好景気に沸いているのだ。 なぜか。きっかけは、ユーロ安によって輸出企業の業績が急回復したことだが、国民経済に火が付くには、それだけでは十分ではない。企業の復活によって雇用が生ま