二兎社『ザ・空気』が、東京芸術劇場シアターイーストで上演中だ。報道現場を通して、日本の「今」を描く永井愛の新作である。この舞台は埼玉、三重、愛知、長野、山形、宮城、岩手、兵庫、滋賀でも巡演する。作・演出の永井愛に話を聞いた。 社会的な問題を取りあげるきっかけ ──世の中がこんなふうじゃなかったら、永井さんはこういうテーマの戯曲を書かなかったと思うんです。 そうでしょうね。こんなの書く必要がないですよね。 ──もっと楽しいお芝居をお書きになっていたんじゃないか。ここ数年、一昨年の『鷗外の怪談』は、政界の黒幕である山縣有朋に、鷗外は官僚としてどのように抵抗したか。もっと前の『歌わせたい男たち』では、教育委員会と現場の教員の両方から突きあげられる校長先生の悲哀を描かれましたが、新作の『ザ・空気』はテレビが舞台。 発想のきっかけになったのは、高市総務大臣の有名な電波停止発言……。 ──昨年2月8日