二十歳以上の一般国民が刑事裁判に参加する裁判員制度。逮捕された容疑者を犯人と決め付けるような報道が、裁判員となりうる国民に過度の予断を与える恐れがあるとの指摘もあり、テレビ局も新聞社同様、事件報道のガイドラインを策定している。制度開始から一カ月。あらためて事件報道の在り方が問われている。 (近藤晶) 現職の裁判官に長期密着取材したドキュメンタリー「裁判長のお弁当」(東海テレビ制作)。カメラは、判決を言い渡した裁判官が執務室に駆け戻り、携帯テレビで判決を伝えるニュースをチェックする姿をとらえる。職業裁判官もメディアの報道を意識せずにはいられないことがうかがえる。 「一番問題となるのはポピュリズム。裁判官はメディアを媒介とした民意の影響を強く受けている。メディア自身が変わらないから、より一層、民意が激しくあおられる。そこに危機感を強く感じている」。裁判員制度開始を間近に控えた四月下旬、都内の大