近年、個人の選択の自由を保ちつつ、行動科学の知見を用いて人々により望ましい行動を促す「ナッジ」の政策活用が進んでいる。ナッジでは、金銭的なインセンティブ構造を大きく変えることなく、人々が意思決定する環境をデザインすることで行動変容を促すため、追加的なコストが小さく、自治体等で取り組むハードルも低い。そのため、ナッジの活用は補助金や規制といった伝統的な政策手段と補完的な新たな政策手段として期待されている。本稿では税制分野におけるナッジの活用事例を紹介する。 1.ナッジの根拠となる行動科学の知見 実際の活用事例を紹介する前に、ナッジの根拠となる行動科学の知見を紹介したい。人間の考え方や意思決定は必ずしも合理的ではなく、人によってさまざまだが、そこに一定の安定したパターンがあれば、行動を予測することができるというのが行動科学の基本的な考え方である。以下では、代表的な行動科学の知見として、「損失回
特集:日本の働き方〜『正社員』の行方〜 Special Edition : Japanese working style: The Future for regular employees (Seishain) 揺れる正社員 Changing Circumstances for Regular Employees 荻野 進介 ( Shinsuke Ogino ) 正社員の意味と起源 Seishain(Regular Employee): Definition and Origin 久本 憲夫 ( Norio Hisamoto ) 正社員における世代間待遇格差の変遷と今後 Intergenerational Gap in Regular Employees' (Seishain) Compensation: Trends and Future Outlook 栗原 誠一郎 ( Seiichi
ホーム > レポート・出版物のご案内 > 季刊 政策・経営研究:Quarterly Journal of Public Policy & Management > 個人の視点に立った経済成長 What is Economic Growth for Individuals? 調査部 主席研究員 鈴木 明彦 ( Akihiko Suzuki ) 経済成長とは何か、なぜ必要か GDPに対する不信感 GDPでは表せない生活の豊かさ 誰にとっての経済成長か 国家主導の経済成長の時代 企業主導の経済成長の時代 個人主導の経済成長は可能か? 日本経済を取り巻く環境変化 所得分配における変化 成熟型経済への移行と経済のグローバル化 新しい時代の新しい経済成長 米国の個人消費は拡大 日本で個人消費が伸びない理由 経済成長の新しい姿 個人の視点に立った経済政策 企業の視点に立
我が国の経済状況は2002年以降回復局面に入り、戦後最長の景気回復期とされているいざなぎ景気を超えて現段階(07年9月)までは息の長い好景気が続いている。しかし非正規雇用の増加、都市と地方の所得格差の拡大、累積する財政赤字、投資の増加が消費の拡大に十分に結びついていないといった観点からすると景気回復が本格化しているとは言い難い。このような状況下で今後我が国にとって求められる経済政策とはどのようなものだろうか。以下ではG7先進国との経済状況の比較を通じて我が国が目指すべき経済の姿を明確化しつつ、求められる経済政策について論じてみることにしたい。 1.先進国との比較による我が国経済のパフォーマンス まず、IMF,World Economic Outlook(WEO)からG7各国の動向をみよう。図表は名目GDP成長率(自国通貨ベース)、実質GDP成長率(自国通貨ベース)、物価上昇率、失業率、一
―政官の低生産性― 9月27日に発表された国税庁「民間給与実態統計調査」によれば、民間企業の平均給与は434,900円で、前年を19,000円下回った。給与減少の背後には労働生産性の停滞がある。OECDのデータによれば日本の労働生産性はOECD加盟30カ国中19位、主要先進7カ国中では最下位である。厳しい国際競争に晒されている製造業の順位が3位であるにも拘わらずこのような結果になっている原因が、規制に保護された産業とサービス産業の効率化が進んでいないことにあることは良く知られている。しかし民間だけではなく、日本全体の生産性が上昇しない大きな要因は政官の低生産性にあることを指摘したい。 バブルの崩壊や国際競争の激化もあり、ボーナスを含む民間の給与は上記調査が示すように9年減少している。一方、中央地方を問わず政官の給与の調整は極めて小さい。しかも上級職員から用務員にいたるまで公務員は停年まで
去る9月9日に「日・フィリピン経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)」が署名された。EPAは二国間の経済関係全般(貿易・サービス・投資・ヒトの移動等)に亘る連携の強化とルールを取り決めたものであり、自由貿易協定(FTA:Free Trade Agreement。「モノ」(貿易)の拡大・自由化を主な目的としており、二国間関税の低減・撤廃を中核施策として位置づける)よりもより一層包括的な協定と云える。 今回のフィリピンとのEPAで注目される内容は、「人の移動」促進の観点から日本の一部労働市場の開放が具体化したことである。対象職種は看護師と介護福祉士であり、受入予定人数枠(合計)は2年間で最大1,000人と報じられている。フィリピンでの資格に加えて日本語研修を経た後、日本の病院等で就労し、一定期間内に日本の国家試験を取得すれば、引き続き勤務できること
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く