今日、世界的に雇用労働者と自営業者の狭間に位置する人々の問題が政策課題としてクローズアップされてきている。国際的なレベルでは、本号の鎌田論文が紹介しているように、ILOにおいて「契約労働」や「雇用関係」という形で議論されてきているし、日本でも労働契約法制研究会報告で「雇用と自営の中間的な働き方に従事する者への対応」が取り上げられた。 本稿では、EUレベルでのこの問題に対する法政策の試みを概観するとともに、EU加盟国レベルで既になされている法的対応を若干紹介したい。 その前に、この問題の法的概念整理を試みておこう。雇用労働者と自営業者の区別が問題になるのは、両者が労務サービスを提供するという点で共通性があるからである。日本の民法では、請負ないし委任(一般的には「委託」)という契約類型で労務サービスを提供する者が問題になる。雇用とこれらとの区別の基準は明快なようでよく考えると実は曖昧な面がある