国の出先機関を地方に移す特例法案の国会提出が遅れている。移管後も関与を強めようとする霞が関の抵抗はすさまじい。地域主権改革は政権の一丁目一番地だ。こんな骨抜きを許していいのか。 政府の地域主権戦略会議は昨年末、国土交通省、経済産業省、環境省の出先機関を、地方ブロック単位でつくる特定広域連合に移管することを決めた。以来、対象の事務をめぐって各省の抵抗が続いている。 まず自治体の裁量で行う「自治事務」ではなく、国の代執行が可能な「法定受託事務」に後退。それでも足りず、政令で定める事務に限定した。法的拘束力を持つ国の指示や許認可なども認めた。野田佳彦首相が排除すると言った“地雷”が巧みに埋め込まれた。