■高給与に目を向けよ ◆通常業務にも手当 「増税の前に公務員改革」は政治の決まり文句となった。だが、先の参院選でも真っ最中の民主党代表選でもやり玉にあがるのは霞が関官僚だけで、はるかに優遇されている地方公務員が忘れられている。公務員改革の本丸はここにあるのに、なぜ政治は目を向けないのか。 「最近、後輩の学生たちに聞くと中央官庁より都庁に入りたいという。官僚になってバッシングされるより、地方公務員の方が安泰で待遇がいいからだ」 ある霞が関の中堅官僚の嘆きである。多少は誇張があるにしても、なるほどと思う。それは恵まれた地方公務員の給与水準をみれば明らかだ。国家公務員と比べてみよう。 国家公務員の給与水準を100として地方公務員の水準をみるラスパイレス指数は、高給与批判を受けて一昨年度には98・7まで低下した。だが、これは全体数の3分の1である一般行政職の本給を比較したにすぎない。数々の手当を加
人事院は月内に人事院規則を改正し、所管関係にある民間企業への公務員出向対象を審議官級の幹部職員まで拡大する。天下りあっせん禁止による人事滞留の解消が狙いだが、民間からの派遣も受け入れるため、民主党政権が掲げる公務員総人件費の削減効果は見込めない上、出向拡大による官民の新たな癒着が生じる危険性も指摘される。 人事院がまとめた規則改正案によると、民間への出向を解禁するのは局次長や部長、審議官、出先機関トップら。局長、官房長、長官、事務次官ら本省局長級以上については従来通りの制限を維持する。 国家公務員の身分のままで派遣され、給与は企業側が支給する。派遣期間は原則3年以内で、改正案は「派遣からの復帰後も公務部内で継続して勤務させる」としている。 また、民間への派遣ができなかった特許庁の審査官も(1)2年以内に審査した企業ではない(2)公務の公平性を確保できる−の基準を満たせば派遣を容認する。
人事院は2012年度から実施する国家公務員の新たな採用試験に、社会人経験者や大学院修了者などを対象とする採用枠を新設する方針を固めた。 優秀な大学新卒者が外資系企業や大学院などに流れている現状を食い止める狙いがある。8月の人事院勧告に合わせた報告に盛り込む予定で、来春にも人事院規則の関連規定を改正する方向だ。 新たな試験制度の導入自体は、08年に成立した国家公務員制度改革基本法で決まっている。従来のキャリア制に基づく試験を廃止し、政策の企画立案能力を重視する「総合職」、的確な事務処理の能力を見る「一般職」、特定分野の専門的知識を重視する「専門職」に区分するという内容だ。 「経験者採用試験」は、この制度改正に合わせて新たに設けるもので、民間企業などで経験を積んだ人が対象となる。合格者は係長級以上に採用する。大学院や法科大学院、公共政策大学院の修了者が対象の「院卒者」試験は総合職の採用枠
幹部候補の職員に民間の仕事を経験させ、実社会に即した政策を立案できる人材を育成する考えだ。 出向するのは、「キャリア」と呼ばれる国家公務員1種の課長級4人で、年齢は40〜50歳。出向期間は2年前後で、月内に発令される。 出向先は、三菱商事、野村証券、JX日鉱日石エネルギー(JXホールディングスの100%子会社)、日本電産の4社。 予算編成を担当する主計局の経験が長く、現在は広報室長を務める前田努氏(40)は、三菱商事の国際戦略研究所で産業動向などを調査・分析する業務を担当する。国際局の職員(45)は、JX日鉱日石エネルギーで最先端の新エネルギー開発に携わる予定だ。 財務省はこれまで、中堅や若手の職員を民間企業に出向させたことはあったが、管理職の例はなかった。
鳩山内閣における「脱官僚」の迷走の果てに発足した菅内閣は、早々に「脱官僚」の放棄を宣言した。かつて「官僚は大バカ」と言っていた菅直人総理が、「官僚こそが政策のプロフェッショナル」と180度態度を改め、内閣発足当日、今後は官僚と緊密に連携するとの閣議決定(6月8日付「基本方針」)まで行なったのだから、官僚たちは笑いが止まらない。「官邸では今や、『政治主導』という言葉は禁句」(政府関係者)とまで言われる。 天下り法人「解散・縮小」の真相 そんな中で、前原誠司国土交通大臣が7月6日、国土交通省傘下の“最大手”天下り法人である「建設弘済会」の解散、「空港環境整備協会」の大幅縮小を3年以内に行なうと発表した。選挙中に政権与党が国民受け狙いの政策を打ち出すのはよくある話だが、こんなことをやったら菅内閣の官僚宥和路線に反してしまうのではないか……などという心配は全く無用だ。官僚たちはとっくに先回りし
政府が策定中の国家公務員の出向や再就職の指針などを盛り込んだ「国家公務員退職管理基本方針」の全容が21日、明らかになった。近く閣議決定する。毎日新聞が入手した原案によると、官庁人事の停滞回避や、公共部門での知見の活用を根拠に、独立行政法人などに公務員が出向する「現役の天下り」を容認。次官や局長レースに敗れた高級幹部の受け皿として上級の「専門スタッフ職」を新設するなど公務員に手厚い内容となっている。【三沢耕平】 政府関係者は「公務員に定年まで能力を発揮してもらうため」と説明。退職後の官僚OBが特殊法人や独法などに天下りを重ねる「渡り」などとは違う点を強調する。 しかし、民主党は昨夏の衆院選マニフェスト(政権公約)などで官僚の天下り根絶など公務員制度改革をアピール。官僚OBの天下りに加え、各省庁の既得権の温存などにつながりかねない現役官僚の政府系機関への出向なども厳しく制限する方針を示してきた
政府が策定を進めてきた国家公務員の「退職管理基本方針」について、22日の閣議決定で調整が進められていることが20日、分かった。政府関係者が明らかにした。民主党政権による官僚の再就職斡旋(あつせん)禁止で天下り先が狭まるなかで、夏の各省幹部人事を控え、出世コースから脱落したキャリア官僚のために年収一千数百万の高給を保証する「専門スタッフ職」を早期に新設する狙いがある。ただ、各党が参院選モード一色になっている間隙(かんげき)を縫ったともいえ、菅直人内閣は早くも官僚ペースになっている。 基本方針をめぐっては、原口一博総務相が先の通常国会で「(幹部人事を一元管理する内閣人事局設置を柱とする)国家公務員法改正案の施行時期に合わせ閣議決定を行う」と答弁した。改正案は廃案となったため、基本方針も先送りされるとみられた。 しかし、各府省の人事担当者らが18日、基本方針を22日に閣議決定し、基本方針の具体的
1960年大阪府生まれ。神戸商科大学(現兵庫県立大学)卒。日本経済新聞社に入社後、記者としてリクルート事件など数々のスクープを連発。日経時代に米ペンシルバニア大学ウォートンスクールに社費留学。同社を退社後、雑誌「選択」編集者を経て独立。日興コーディアルグループの粉飾決算をスクープして、06年度の「雑誌ジャーナリズム賞 大賞」を受賞。「日本郵政-解き放たれた「巨人」「巨大独占NTTの宿罪」など著書多数。 経済ジャーナリスト 町田徹の“眼” 硬骨の経済ジャーナリスト・町田徹が、経済界の暗部や事件を鋭く斬る週刊コラム。独自の取材網を駆使したスクープ記事に期待! バックナンバー一覧 衆議院本会議で6日、2つの公務員制度改革法案の趣旨説明が行われ、それらの審議が始まった。 当然のことながら、2つの法案の1つは、政府案である。鳩山由紀夫首相は「自信を持って国民に訴えている法案だ」と胸を張る。しかし、実
建設省キャリア官僚を10年以上務めた後、学界に転身した福井秀夫・政策研究大学院大学教授は、キャリア官僚制度の廃止など、ラディカルな意見を持つことで知られる。民主党政権下での政官関係をどうみているのかを聞いた。 (2010年2月16日、東京・六本木で。聞き手・山口進) ――民主党政権になっての政官関係をどうみていますか。 ふくい・ひでお 1958年生まれ。81年東大法学部卒業、建設省入省。96年法政大社会学部教授。01年から現職。京都大学博士(工学)。著書に『官の詭弁学』(日本経済新聞社)、『ケースからはじめよう 法と経済学』(日本評論社)など。 福井秀夫 例えば、公務員に答弁させない、というのは原理主義的で、かえって官僚機構の考え方を検証しにくくなるので問題だ。 最後に責任をとるのは政治家。役人のやりたいことを聞いた上で、情報を出させて、大所高所から判断すればいい。政治家が電卓を叩くのでは
2010年度中に国家公務員の「早期勧奨退職」が一切なければ、11年度の新規採用者数を09年度実績より全体で44%減らす必要があるという総務省の試算が13日、明らかになった。 国家公務員の再就職あっせんを全面禁止したことで、定年前の早期退職を促してもこれに応じる公務員が減ることが予想され、鳩山政権の掲げる公務員改革を実行しようとすれば人事構成が大きくゆがむ実態が浮き彫りになった。 試算は一般職国家公務員を対象に、各省庁の10年度中の自己都合退職者や欠員の見込み数などを積み上げ、行政機関職員定員法に基づく定員も考慮して計算した。10年度の勧奨退職者がゼロだった場合、11年度の新規採用者は4028人と09年度実績(7213人)比44%減。勧奨退職者が08年度実績(2761人)の半分ならば、新規採用は5711人と同21%減に抑える必要があるとした。 早期勧奨退職は再就職先のあっせんとセットで行われ
[Part3] 3000人入れ替わる米国、新制度導入の韓国 行政職への政治任用が最も盛んなのが米国だろう。大統領が交代すると、行政トップの長官以下、一般職まで含めて約3000人が政治任用で入れ替わる。 米国議会。 二大政党制の下、議会の多数党が大統領の反対政党になる可能性があるため、大統領が信頼できる人物を選び、行政府を強化するためだ。 局長以上はすべて政治任用で、上院の承認に基づいて大統領が任命する。審議官や課長などは、上級管理職(Senior Executive Service:SES)と呼ばれ、総数の1割を上限として政治任用される。残りは職業公務員だ。 SESは1978年に導入され、英国やオーストラリア、カナダなどが上級公務員制度をつくるきっかけとなった。 SESは、各省庁で空席が出れば公募され、異なる省庁のSESで構成する資格審査委員会などの審査を経て、各省庁長官が任命する。政治任
民主党の公務員制度改革関連法案(国家公務員法改正法案)の内容が明らかになりました。昨年の政権交代のときに国民が民主党にもっとも期待したのは「脱官僚・政治主導」であり、この法案はそれを体現するものとなるはずなのですが、法案を読んで呆れました。掛け声倒れで中身ゼロです。自民党政権が昨年作った法案より後退している部分もあります。一体何のための政権交代だったのでしょうか。 幹部人事は何も変わらない “しょぼい”政治主導 あまりにひどい内容で詳細に説明したらきりがないので、ここでは簡潔に問題点を指摘したいと思います。今回の法案には4つの大きな問題があります。 第1の問題点は、“政治主導の幹部人事”と叫んでいる割には、実際には機能しない仕組みを採用しているということです。政権の説明を鵜呑みにしたメディアは「次官を部長に2段階降格できるようになる」と報道していますが、法律の規定を読むと誇大広告も甚だしい
さて、仙谷大臣の所管は「行政刷新」のほかにも、規制改革や公務員制度改革などがありますが、その公務員制度改革の動きがどうなっているかを見ると、内閣におかれた国家公務員制度改革推進本部労使関係制度検討委員会の資料と議事録が http://www.gyoukaku.go.jp/koumuin/kentou/kaisai.html ワーキンググループの資料と議事録が http://www.gyoukaku.go.jp/koumuin/kentou/working/index.html に載っています。 ここでは、総選挙後の9月7日の委員会に提出されたワーキンググループの検討状況報告を見てみます。 http://www.gyoukaku.go.jp/koumuin/kentou/dai12/siryou5.pdf(制度骨格に係る論点について) いろいろな論点が上がっていますが、わたしが気になったのは
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