埼玉県南部には数多くのクルド人が暮らし、その多くが建設現場での解体工事などに従事している。難民申請を出し続けることで送還を忌避しつつ、結婚して9年になる日系ブラジル人の妻名義で購入した土地で会社を経営しているというクルド人男性へのインタビューでは、日本に住む理由として「子供の教育」「就労の機会」「治安の良さ」を挙げるなど、「難民」の枠では括れない現実が浮かび上がる。 埼玉県南部の川口市および蕨市にはクルド系トルコ人(以下クルド人)数千人が居住すると見られている。これらの人々は、「トルコで迫害にあって逃れてきて、日本の出入国在留管理庁(入管)から冷酷な処遇を受けながらも、帰るに帰れないでいるかわいそうな人々」といったイメージが一般的ではないか。ただ、現地で取材をすると実態はかなり違う。 ここでは、川口市で解体業を事実上営むクルド人A氏のインタビューを紹介したい。在日クルド人の発想がよく理解で