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ブックマーク / www.kanaoka-law.com (23)

  • またも捜査機関の証拠改ざん事例

    【1】 某MLで話題沸騰(かどうかは知らないが少なくとも関心を集めた)の、名古屋地判2022年10月5日である。国賠事案ではあるものの、要するに一方当事者がパトカーであるという単なる交通事故事案であった。 判タ2023年7月号(通巻1508号)掲載。 【2】 さて件名であるが、この事案では、訴被告である愛知県側のパトカーが赤信号進入にあたり、サイレンを鳴らしていたかが争点の一つであった。サイレンを鳴らしていなければ緊急自動車扱いされないからである。 被疑者でもあった運転手警察官は、事故翌日の実況見分でサイレンを鳴らしていたと主張した。また、パトカーのドラレコには音声ファイルが無かったが、愛知県側は、監察官室配属の警察官にして被告側指定代理人でもあった人物名義の報告書で、「録音機能は使用していなかったので最初から音声ファイルは無い」と主張した。 ところが、裁判所がバイナリデータを確認してデ

    またも捜査機関の証拠改ざん事例
  • 名古屋高裁、在宅被疑者に取調べ受忍義務を認める!!

    これは極めて危機的な裁判例である。危険と言うよりは、こんな輩が裁判官をやっていて良いのか?というのが率直な感想である。 いわゆる古田国賠の控訴審判決は、なんと、在宅被疑者に取調べ受忍義務があるという判断をしてしまった。 第一審の判決については、末尾のリンク(古田弁護士の事務所HP)を参照。同判決への古田弁護士の寸評は「非常にお粗末なものでした」である。 しかし。 下には下がある。控訴審判決は、1月も半ばである早々に間違いなく年の「愚劣な裁判例大賞」筆頭候補といえるだろう。 検察庁に出頭するも、取調べへの弁護人立会が認められないので取り調べされずに帰宅すると言うことを繰り返していたことが逃亡を疑う相当の理由を根拠付けるか、という論点に関する説示部分は、次の通りである。 「正当な理由のない不出頭は,一般的には逃亡ないし罪証隠滅のおそれの一つの徴表であると考えられ,数回不出頭が重なれば逮捕の必

    名古屋高裁、在宅被疑者に取調べ受忍義務を認める!!
  • 「現行入管法の問題点」にみる入管の問題点

    2021年12月付け、出入国在留管理庁作成の「現行入管法の問題点」が公開されていたので読んでみた。反省の欠如した、というよりは、そもそも反省しようという機能すら欠如している醜悪な代物であった。 例えば「退去強制令書が発付されたにもかかわらず退去を拒む外国人(送還忌避者)」の存在を論い、「一部の諸外国において、退去命令等の違反罪あり」とする。 しかし、現実に、退令発付処分が違法として取り消されている事例は幾らでもある(外国人の司法アクセス、邦の法制度に対する知識、資力、体力等から、違法な退令発付処分がそのまま確定してしまった暗数が遙かに多かろうことも明らかである)。 そうすると、退令発付処分が正しいとは限らないことを前提に、まずは違法にも退令発付した(往々にして結果的に違法な収容を伴う)ことについて原因を分析する方が先だろう。自らの間違いは顧みず、退令発付処分に逆らう方がおかしいと言わんば

    「現行入管法の問題点」にみる入管の問題点
    sarutoru
    sarutoru 2021/12/26
    >…しかし、国籍国に保護能力が欠如している場合は難民問題であることは、国際的には常識であり、我が国の裁判例上も、徐々に、これを難民問題として受け止める事例が増えている…
  • 法廷電源問題、景山意見書を読む

    例の問題について、高野隆弁護士が原審意見書+東京高裁決定を公開されていたので、早速、読んでみた。 まず、私の予測は、そもそもこれは処分ではないという理由の不適法で棄却するというものであったが(年10月1日付け)(その実質的根拠は、正面から使うなとも、使って良いとも、言いたくないので、有耶無耶に誤魔化すに違いないと思っているからである・・誤魔化しを許せないが為に国賠をやり、それでも必死で誤魔化してくるのが、裁判所というところだと経験している)、景山意見書の第一の主張は、そこではなく、そもそも抗告の対象となる裁判がないというものであり、東京高裁もこれに乗っている。 細かく法令を説明することは題では無いので、掻い摘まんで感想を書くなら、東京高裁が認定したように整理手続期日開始前の出来事である前提だと、決定は裁判所の送達を以て告知する必要がある(規則34条)ので、そのような送達がないとなる

    法廷電源問題、景山意見書を読む
    sarutoru
    sarutoru 2021/10/17
    “「公判期日での立証活動は、訴訟関係人全員のために行う正に公的な活動といえる」が、公判前整理手続期日で必要に応じてパソコンを使うのはそうではない、という、この理屈”
  • 「法廷での電気使用を禁じる処分」騒動に思うこと

    高野隆弁護士が、景山太郎裁判長から受けた、「法廷での電気使用を禁じる処分」騒動について、幾つか、思うところを書いていきたい。 【全国の実態と名古屋の歴史】 まず、大方の弁護人には驚きを以て受け止められたと思うが、こと名古屋の刑事弁護人からすると、そういうことをしでかす裁判官がいるということは既知の事柄である。 堀内裁判官(現、名古屋高裁刑事第1部の裁判長)が名古屋地裁の上席であられたみぎり、全く同じことが行われたからである。 ある程度は不確かな記憶になってしまうが、裁判員裁判で弁護人がPCを使うために電源を必要とするような場合は、いわば裁判所公認で個別に許可するとして、原則、法廷電気使用を禁止するとした(その結果、法廷の電源口には悉くガムテープがはられた)。 堀内裁判官が異動した後は、このような取り扱いは廃れた(ガムテープもいつの間にか消え失せた)。高野隆弁護士が公開した申立書によれば、景

    「法廷での電気使用を禁じる処分」騒動に思うこと
    sarutoru
    sarutoru 2021/10/04
    >私が被害者後見人として傍聴記録をPCで作成しようとしたのにだめ出ししたのも、景山太郎裁判官であった
  • 在特義務付け請求認容事例(名古屋高裁)

    名古屋高判2021年6月10日(民事第1部、倉田慎也裁判長)は、いわゆる在特義務付け訴訟について、控訴人らのうち未成年子2名の請求を認容した。 評価の難しい判決ではあるが、高裁段階の在特義務付け訴訟認容事例は初めての可能性もあり(名古屋高裁に藤山コートのあるうちに1件、係属してほしいと期待したが、遂に叶わなかった)、ここに客観的に紹介しておきたい。 (主文抜粋) 1.名古屋出入国在留管理局長は、控訴人長女及び控訴人二女につき・・・日付けでされた出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決を撤回せよ。 2.法務大臣は、控訴人長女及び控訴人二女に対し、邦における在留を特別に許可せよ。 (理由抜粋~一部改変) 1.このように、控訴人長女及び控訴人二女は、邦において順調に勉学を重ねて成長し、控訴人父母と離れても邦で暮らしていくことを希望するほど、邦への定着性が

    在特義務付け請求認容事例(名古屋高裁)
  • 入管法改悪~及び裁判所の共犯性について

    入管法改正案に対する研究者有志一同の声明を読んだ。 正式名称は、年5月11日付け「国際法・国際人権法・憲法研究者有志一同」による「入管法改正案の審議において国際人権機関の勧告を真摯に検討し、国際人権法との合致を確保することを日政府に求める声明」という。 現在、連日のように強行採決が懸念されている、入管法改悪案(空疎なため、裁判所による「広範な裁量論」と相まって入管の横暴を許す装置でしかない現行法を、少しでも良くしようとするどころか、更に改悪できるとは、下には下がある)に対し、草の根的な抗議活動、著名人の声明、研究者の声明など、日増しに反対運動が強まっている。 件名の声明を入手して読んだが、「現在、国会審議中の入管法改正案は、こうした入管収容のあり方を改善するどころかさらに悪化させるもの」という実に正しい現状認識を前提に、「主な問題点」として、 1.第1に、難民認定申請中の送還停止効の例

    入管法改悪~及び裁判所の共犯性について
    sarutoru
    sarutoru 2021/05/12
  • 息を吸うようにウソをつく

    入管の退令処分に対し取消訴訟を起こす場合(厳密には「異議棄却裁決」も対象に含める)、収容が絡んだり、そうでなくても日語の書類に疎い依頼者層が、裁決文書をきちんと保持していなくて困る、ということが往々にしてある。 処分日を正確に特定できない場合、訴状作成は補正でなんとかなるにしても、それ以前に下手をすると出訴期間を徒過しかねないことも懸念される。 往時、名古屋入管の審判部門は、取消訴訟のために処分日を特定する問い合わせに対し口頭で回答する運用をしていた。数回は利用した。 ところが昨日、同じように問い合わせをしたところ、「行政文書の開示請求を」という。運用を変えたのか?と尋ねると、そもそも、そのような運用は確認できない、という。 相変わらず、息を吸うようにウソをつくところだと実感する。 行政訴訟の利用を拡充するため行訴法46条が制定された経緯にも鑑みれば、同条の直接想定する場面でないにしても

    息を吸うようにウソをつく
    sarutoru
    sarutoru 2020/09/10
    >往時、名古屋入管の審判部門は、取消訴訟のために処分日を特定する問い合わせに対し口頭で回答する運用をしていた。数回は利用した。 ところが昨日、…
  • 国賠勝訴報告(電子機器持ち込み)

    既に一部報道されているので解説がてら報告記事を掲載する。 共同通信社のまとめだと「(名古屋入管の被収容者と)面会しようとした際、パソコンの使用予定を答えなかったため入管から面会を拒否されたのは不当とし」て提訴された国賠である。 とある時期から、入管では全国的に、面会に来る弁護士に対する電子機器持ち込み規制を開始し、持ち込み目的を申請し、且つ、録音録画通信機能を使用しないことを誓約する誓約書を記載するか、誓約書を記載しないなら持ち物をロッカーに預けるよう求め、双方に応じない弁護士を面会室に通そうとしなくなった。 報告事例によれば、数時間待たされて漸く面会できる弁護士がいるかと思えば、そもそも電子機器の持ち込みをとやかく言われないため何事もなく持ち込めてしまう弁護士もおり、区々であるが、ともあれ、「ある」となれば上記のように乱暴な扱いを受ける。入管の論理によれば、面会を不許可にするわけではない

    国賠勝訴報告(電子機器持ち込み)
  • 「公務員の職務執行上の発言は信用したい」

    とある裁判官の期日における発言である。 思わず「仰天」した。 文字通り天を仰ぐ。言い知れない失望感である。 問題はこうだ。 とある公務所への証拠保全(民事)で検証した対象物Aが、複製か否かが問題となった。 当方の見立てでは、Aは原則、複製でしか作り得ない性質のデータファイルである。但し例外的に特定の機材が用いられているならば、その限りではないので、「複製疑いがあるので、機材の性能を事実取り調べすべきだ」と主張した。 これに対する担当裁判官の言が、「前回期日で、職員から機材の性能について簡単に説明を受けている」とした上で、「公務員の職務執行上の発言は信用したい」であった(正確には「職務執行上の発言なので」だったかもしれない)。 手を伸ばせば白黒はっきりする証拠があるというのに、それを見ようとせず、言うことに事欠いて「公務員の職務執行上の発言は信用したい」(つまり、Aが複製であるとは限らない機

    「公務員の職務執行上の発言は信用したい」
  • 入管の「1年ルール」実現例

    年2月17日「再審情願に新たな動き・・」で報告した、入管の「1年ルール」。 適用条件は依然として不明であるが、退令発付処分が確定している事案で、従来なら再審情願+在特義務付け訴訟でしのぎを削るべき事案について、「たぶん1年で戻れるから」という事実上の合意に基づき「帰国前に呼び寄せ手続を予め了する」特殊な枠組みにより、1年で在留資格を与え再入国させるというものである。 適用条件はおそらく、 1.長期滞在可能な在留資格に相当する実体があること ・典型的には日人配偶者。 ・同居を伴う法律婚が1年以上は必要(?) 2.子どもなし ・少なくとも日に残る側に預けていけることが条件なのだろうか。 3.1年以内に関係が切れそうな状態がないこと ・残る側に税金滞納がなく、1年で数回渡航可能な程度の収入の余裕がある程度。 4.有罪判決がないこと(?) ・有罪判決事案を一律除外するとは思われないが・・

    入管の「1年ルール」実現例
    sarutoru
    sarutoru 2018/12/27
    ←現場の感触
  • 岡口判事事件大法廷決定を読む|名古屋市中区の弁護士法人 金岡法律事務所

    この事件を2度取り上げたからには、大法廷決定について一言二言、述べないわけには行かないだろう。既に裁判所HPにも掲載されているが、平成30年10月17日付け大法廷決定である。 全面的に駄目な決定で、救いがたい内容である。 既に多くの批判が為されているので、個人的に関心を持つところを中心に挙げると、 1.報道前提の私的ツイート、という表現行為の評価、 2.私的ツイートが国民にどのように受け止められるかという事実認定、 3.表現の自由の制約原理の検討が皆無、 4.審判対象不特定の手続違反、及び関連して、「余罪」を主として処罰した手続違反、 ということになろうか。 特に手続違反の問題は、「第一審且つ終審」である大法廷においては、「第一審且つ終審」に相応しい厳格な手続保障でなければならないことを思う時、致命的であり、この低水準の裁判官が最高裁判所を牛耳る決定こそ、裁判所に対する国民の信頼を損ねる

    岡口判事事件大法廷決定を読む|名古屋市中区の弁護士法人 金岡法律事務所
    sarutoru
    sarutoru 2018/10/24
    >4.審判対象不特定の手続違反、及び関連して、「余罪」を主として処罰する趣旨と解さざるを得ない手続違反
  • 東京高裁長官らが告発されたとのこと|名古屋市中区の弁護士法人 金岡法律事務所

    例の岡口判事の分限裁判に関するブログに掲載されている資料には、同判事が、東京高裁長官らからtwitterをやめるよう叱責され、更に「分限裁判でクビになってしまったら・・」等と裁判官の身分を盾に取られた生々しい状況を記載したものが含まれている。私的な行状を咎め立てしてクビになるぞと脅しつけることはパワハラの典型(パワハラ六類型のうち、「精神的な攻撃」と「個の侵害」~「ダイエー事件」や「日航空事件」あたりが思い出された)であり、1時間近くも続けたと言うなら民法上の不法行為として評価されるだろうなぁという印象を受けていた。 すると、美和勇夫弁護士より、東京高裁長官ら(高裁長官の林道晴氏、事務局長の吉崎佳弥氏)を告発したという情報提供を頂いた。 第一に公務員職権乱用罪、第二に脅迫罪。 twitterを止めなければ分限裁判にかけてクビにしてしまうぞというのは、脅迫罪に該当する害悪の告知と言える(民

    東京高裁長官らが告発されたとのこと|名古屋市中区の弁護士法人 金岡法律事務所
  • 傍聴席でノートパソコン・・・の国賠が新聞報道

    先日も欄で取り上げた、傍聴席でのノートパソコン使用を巡る国賠が、東京新聞の「こちら特報部」欄で取り上げられた(年5月27日、26面)。 メモを取る権利との調整がされていないことに向けられた私の問題意識が全て理解されたとは思わないが、裁判の公開と関連づけて関心を惹いたのなら有り難いことである。 記者の取材により、「認めるかは裁判長次第」という最高裁の回答が引き出されているのも興味深い。勿論、裁判所が恣意的な暴君であってはなるまい。複数の利益を十分に勘案した上での警察権行使だったのか、今度こそ(控訴審でこそ)問われよう。 報道記事では、この問題を梃子に、裁判の公開の在り方にも論が及んでいる。いわゆる代表撮影について、記者は「被告人がいない時だけ」と、中継が出来ないことを国際水準遅れと捉えているようである。 これに対する私の意見は、その点に同調したものではなく、代表撮影のような形式的な公開で

    傍聴席でノートパソコン・・・の国賠が新聞報道
    sarutoru
    sarutoru 2018/05/30
    >記者の取材により、「認めるかは裁判長次第」という最高裁の回答が引き出されているのも興味深い
  • ノートパソコン国賠の顛末

    1.かつて欄で報告した、法廷傍聴記録作成のためのノートパソコン使用を禁じられた件についての国賠は、残念ながら請求を棄却された(現在控訴中)。 今にして思えば、政策的提言を伴う類の国賠は一人で抱え込むものではないという感を強くするが、それはそれとして、地裁判決を公表しておこうと思う。 2.事案は、犯罪被害者である成年被後見人の成年後見人であった私が、加害者の公判傍聴に付き添い、傍聴記録を作成していたところ、休廷時間に裁判長の使者からノートパソコン使用を控えるように要請を受け、これを拒否したところ、景山太郎裁判長から正式に使用を禁じる法廷警察権の行使を受けたというものである。 争いがないところとしては、以下のような特徴がある。 (1)事前に特別傍聴席の確保を受けており、景山裁判長は私が何のために法廷傍聴していたかをよく御存知であったと言うこと。 (2)休廷時間前からノートパソコンを使用してい

    ノートパソコン国賠の顛末
  • 入管における面会妨害

    日、名古屋入管にて。 ノートパソコンを使う予定はあるか、と尋ねられたので、回答を拒否すると、持ち込むなら「誓約書」を書く必要があると言われ、それも拒否すると、すったもんだの末、「手荷物を見える形で入室するよう」言われたので、それも拒否。 そうすると、「面会は拒否しないが、面会室には案内できない」という、いかにも小役人らしい対応に終始されたので(この詭弁を弄したのは、処遇部門統括の久留島さんという役人である。拒否するなら堂々とそう言うべきであり、拒否はしないけど案内しないと言っておけば賢い、みたいに考えておられるとすると、いい年して恥ずかしくないのだろうか?と可哀想になる。)、面会できず、引き上げた。 電子機器の持ち込みの「水際規制」に関しては、警察、拘置所、刑務所、ついでに傍聴席と、あちこちでややこしい事態が起きているが、入管でもここまで実力行使してくるようになった(私の先月の経験では、

    入管における面会妨害
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    sarutoru 2018/04/05
    >被収容者処遇法が弁護人を所持品検査の対象から除外している精神
  • 不起訴処分告知書

    先だって受任していた捜査弁護が無事、嫌疑不十分で終了した。 不起訴処分の告知を要求すると、不起訴理由が書かれる時と書かれない時がある、というのは以前にも欄で取り上げたと記憶するが、(官庁の絡む経済事犯ではあったが)世間的に大したこともなかったのだろう、今回は嫌疑不十分と明記されていた。 それにしても、少し失敗談になるが、立件段階で受任して被疑者側関係者をまとめ上げ、割と積極的に資料を提出して冤罪を指摘し、捜査機関で十分に検討できたと思うあたりでとどめに不起訴意見書を提出したところ・・・なんと3週間も前に不起訴になっていたことを知らされたのだった。 弁護の方向性は間違っていなかったとは言え、時機の読み間違い。これは少々、恥ずかしい。 しかし思うのは、やはり制度がおかしいのではないかと言うこと。 出頭要請がかけられたり、関係先に捜索差押えが入ったりして、被疑者からすれば随分な仕打ちを受けるわ

    不起訴処分告知書
    sarutoru
    sarutoru 2018/02/10
    >(特に在宅事件では)請求しない限り不起訴となったことすら知る縁もないという制度に合理性は見いだせない
  • 最高裁判所の判断に違和感

    「最近、最高裁は変わった」とか「最高裁はおかしい」等という評価は、現在進行形で経験している限り、的確に下すのは難しい。刑事裁判の領域でも、業界的に極めて好意的に受け止められている最高裁判例は昨今、十指に余るかはともかく片手の指よりは多かろうと思うが、それはそれとして、沈黙を決め込むものはもとより、碌でもない判断も多いのだ。 さはさりとて、注目していた幾つかの事件で相次いで首をかしげるしかない最高裁判例が相次いだことは、なんだか傾向的だなぁと感じるところがある。 まずは「厚生年金保険法(昭和60年法律第34号による改正前のもの)47条に基づく障害年金の支分権の消滅時効の起算点」の最三小平成29年10月17日判決と、NHK受信料を巡る日の判決である。 後者は、受信料契約の成立は、受信者が任意に承諾しない場合、承諾の意思表示を命じる判決が確定した日であるとし、その上で、受信契約者は規定上、受信

    最高裁判所の判断に違和感
    sarutoru
    sarutoru 2017/12/07
    “「国は,拘置所に収容された被勾留者に対して,その不履行が損害賠償責任を生じさせることとなる信義則上の安全配慮義務を負わない。」という目を疑う判断”
  • 傍聴人にノートパソコンで傍聴記録を取る自由はあるか

    昨日、(柄にもなく)犯罪被害者の付添で法廷傍聴をしていた。 被告人の発言内容など、気になった点をメモして、後から依頼者に説明しようとノートパソコンを使用していたところ、休廷時間に職員から「傍聴席でのパソコン使用はできないことになっている」「メモは紙とペンで御願いしたい」と声をかけられた。 「できないことになっている」と言われても、そんなことはどこにも書いていないし、メモを「紙とペン」でやれと強制される謂われもない。馬鹿げているので、謹んでお断りをしたところ、今度は裁判長から使うなと言う「指示」を受けた。掲示板によれば、指示に従わないと退廷や処罰があるということなので、しょうがないから退廷した。 下手人は、景山太郎裁判官である。 レペタ訴訟で確立した傍聴人の筆記記録の権利は、憲法21条の保障を受けるとされている。しかも、筆記行為が裁判を妨げることは通常ない、とも言い切られている。しからば、ノ

    傍聴人にノートパソコンで傍聴記録を取る自由はあるか
  • 不起訴理由の開示

    1月に入り、「嫌疑不十分」不起訴が3件、相次いだ。 「嫌疑不十分」と分かるのは、刑訴法259条に基づく不起訴結果通知に、不起訴理由が書き込まれていたからだ。 同条は「検察官は、事件につき公訴を提起しない処分をした場合において、被疑者の請求があるときは、速やかにその旨をこれに告げなければならない。」のみと規定しており、不起訴理由の記載は法的に義務付けられていない。解説書などを紐解くと、通知する検察官の自由裁量という趣旨の説明が一般である。 しかし、である。被疑者にとって、時に不起訴理由は重要である。例えば痴漢容疑の事件で無実を主張していたとすると、「起訴猶予」の処分理由では配偶者に顔が立たないかも知れない。そこは、「罪とならず」か、せめて「嫌疑不十分」であれば、身の証を立てる縁ともなろう。他に、勤務先関係も然りである。 思うに、被疑者が希望する限り、不起訴理由の開示を拒む理由は考えあたらない

    不起訴理由の開示