アン・グレイ(Anne Gray)さんの『アンソーシャル・ヨーロッパ-社会保護とフレクシプロイテーション(Unsocial Europe-Social Protection and Flexiploitation)』(Pluto Press)という本を読んでいるのですが、なかなか興味深いです。 http://www.amazon.co.jp/Unsocial-Europe-Social-Protection-Flexploitation/dp/0745320317 「アンソーシャル・ヨーロッパ」というのは、いうまでもなくかつてドロール時代によく使われた「ソーシャル・ヨーロッパ」をもじった言葉ですね。「ソーシャル」じゃないぞ、ってのを「アンソーシャル」と造語したわけです。 副題の「フレクシプロイテーション」というのも、フレクシビリティ(柔軟性)とエクスプロイテーション(搾取)を結合した造語で
ヨーロッパ諸国は戦後、市場システムの大枠を維持しながら、様々な社会的規制を加味することで労働者の保護を図るという福祉国家路線を追求してきた。しかし、高度成長の終了とともに、ネオ・リベラリズムと呼ばれる思想潮流が有力となってきた。特に、戦後ヨーロッパ福祉国家の一つの旗頭でもあったイギリスに登場したサッチャー政権の衝撃は大きかった。 これに対し、ヨーロッパ大陸諸国は、これまで各国レベルで築き上げられてきた労働者保護や福祉のあり方を、ヨーロッパレベルで再構築しようとする姿勢を示した。これを象徴する人物が1985年に当時のEC委員会委員長に就任したジャック・ドロールである。彼はサッチャーのネオ・リベラル攻勢に対して、単一欧州議定書、社会憲章、マーストリヒト条約と次々に逆攻勢をかけてゆく。それは戦後ヨーロッパ各国が確立してきた労働者保護のECレベルへの拡張の試みであり、各国で形成されてきた国内レベル
〈問い〉 日本の派遣労働者やパート労働者の待遇(賃金や労働条件)は、正規の労働者に比べて、あまりにもひどいと思います。EU諸国では、この面で規制があると聞きますが、ドイツ、イタリア、イギリス、フランスなどではどんな状況ですか?(奈良・一読者) 〈答え〉 EU諸国では、パートタイム労働者とフルタイム労働者の違いは労働時間の長短だけであり、パートでもフルタイムでも同一労働同一賃金の原則がつらぬかれるなど非差別・均等待遇の原則が確立しています。 EUパートタイム労働指令(1997年12月)は、「雇用条件に関して、パートタイム労働者は、パートタイムで労働するという理由だけでは、客観的な根拠によって正当化されない限り、比較可能なフルタイム労働者よりも不利なとりあつかいを受けないものとする」と規定しています。 イギリスやイタリア、ドイツ、フランスなどの欧州各国は、この指令を受け、国内法で同一労働同一賃
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