という本を読んだ。フリーター生産工場としての大学院という過激なサブタイトルの通り、大学院博士課程を修了しても職が全く無い現状について分析した本だ。博士号をもちながら、非常勤講師とコンビニや塾講師のバイトで月収15万円、正規雇用の可能性は無い、中にはパチプロになって糊口をしのぐ人もいるという。 よく言われているように、大学院重点化計画とは、文科省や大学経営者たちが既得権益を維持するための秘策だったという内容である。ただこの陰謀の源流は意外と古く、バブル前から画策していたようだ。不況に乗じて多くの学生を引っかけたというのは、どうも大学市場をコントロールする者たちにとってはうれしい誤算でもあったらしい。 博士課程を修了するには国公立でストレートの5年で300万、私立では600万も払わなくてはならない。しかし無給の労働力として、または研究費獲得の頭数として利用し、使い終わったら無職のまま放り出す。
・就業者数は6422万人。前年同月に比べ9万人の減少。 ・(就業者のうち)雇用者は5507万人と、前年同月に比べ13万人の増加(31か月連続の増加)。 ・完全失業者数は269万人。前年同月に比べ11万人の減少(22か月連続の減少)。 ・完全失業率は2007年3月以来の4.0%となり、前月に比べ0.2ポイントの上昇。 ・有効求人数伸び率が-8.0%となり、前月に比べ-2.6ポイントの低下。 ・有効求人倍率は1.05倍となり、前月に比べ0.01ポイントの低下。 ・全国求人広告件数は40万1679件と、対前年同月比-10.0%。 ・現金給与総額は、前年同月比-0.5%の273,144円。 ・総実労働時間は、前年同月比-2.3%の149.0時間。製造業の所定外労働時間は-1.7%の16.5時間。
労働の世界は今激変の中にある。グローバル化の中で、低賃金で雇用の不安定な非正規労働者が増加し、所得格差が拡大して社会が不安定化する懸念が広がっている。一方、企業競争が激化する中で、男性正規労働者の長時間労働が社会問題化するとともに、女性が仕事か出産・育児かの二者択一を迫られ、少子化がますます進行している。こうした中で労働法制については、90年代以来の規制緩和路線がさらなる拡大を求める一方、仕事と生活を両立させられるような、人間らしい働き方を求める声も高まってきている。 問題はこの二つの流れが入り組んでなかなか読み解きにくくなっていることである。たとえば、マスコミで残業代ゼロ法案と叩かれて国会提出が断念されたホワイトカラー・エグゼンプションは、規制改革・民間開放推進会議の宣伝文句では「仕事と育児の両立を可能にする多様な働き方」であったし、「労働ビッグバン」を推進すべく設置された経済財政諮問会
関西社会経済研究所資料07-09 「経済社会の変容と法」シリーズ講演会(第3回) 「日本の労働市場改革を急げ!」 (1) 2007年10月 財団法人 関西社会経済研究所 ISBN978-4-87769-099-1 「日本の労働市場改革を急げ!」 (1) 目 次 1.労働市場をめぐる環境変化に対応していない労働法制・雇用慣行 .............. 1 (1)急速な国際化の進展 .................................................... 1 (2)労働者の構成変化―人口減少と急速な高齢化 .............................. 2 (3)女性就業の増加 ........................................................ 2 (4)法規制が労使合意で解決でき
4月以降完全水平で、面白みがありません。雇用統計に関しては、サービス産業就業者の拡大傾向に弱まりがみられることが気懸かり(こちらの3頁目・図5を参照)。また、自営業(非農林業)の減少には歯止めが掛かりません。 自営業の減少傾向について(追記) すなふきんさんのコメントを受け追記。1990年までの自営業の減少は農林業が中心であったが、1990年以降は非農林業においても自営業は減少傾向にある。産業別には、卸売・小売業を中心に減少しており、2006年に関してはサービス業の減少が目立つ。デフレ下における自営業の減少は、「創造的破壊」論への批判としてよく取り上げられており、既に馴染みのものであるが、2002年以降の景気回復過程においてもこの傾向に反転の兆しは見られない。 日本は国際的にみて自営業主比率が高いが、近年は、雇用者比率が高まり、その水準は国際標準に近づいてきたとみることもできる。野村正実氏
8月24日から始まった新しい雇用政策研究会の第1回目の議事録がアップされています。 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/08/txt/s0824-3.txt いままで労働問題にはあまり関わりを持っていなかったように見える経済産業研究所の鶴光太郎氏がなかなか面白い提起をしています。 >○鶴委員 ・・・その中で私のような素人が見ると、一つひとつのいろいろな問題がどう連関して、もっと根源的なところに潜んでいる労働問題というものはないのか、上滑りな議論になっているのではないかという個人的な印象を持っています。 1つ私が思うのは、佐藤委員の議論にもありましたけれども、正社員化ということではないのかもしれないということです。私もそういう部分があって、1つは長期的なコミットメントというところが今は非常に薄くて、よく金融の世界ではショートターミズムという経営者の短視眼的思考
今日,民主党の労働契約法案を通読しました。 参議院で,過半数を制した民主党の労働契約法案ですから重みがちがいます。 もはや,自民党も,日経連も,厚労省も,民主党が了承しない限り,労働法制の「規制緩和」を実現できません。他方,民主党の労働分野に対する姿勢は(疑似的?保守的?)「社会民主主義」政策になっています。民主党の労働契約法案は,まさに「社会民主主義」的な法律案です。 労働契約法案をめぐっては,労政審の動きと並行して,連合の検討と対案作成が先行してきました。少しおさらいします。 ■連合の検討経過 先ず,2005年10月に連合総研の労働法契約法制研究委員会が「労働契約法試案」を発表しています。毛塚勝利教授が主査です。 http://www.rengo-soken.or.jp/houkoku/itaku/20051011_rodokeiyaku_hosei.htm 労働契約法試案の条文【連合
今日から3回にわたって、現代日本の雇用システムについてお話しします。日本の雇用システムは、長期雇用慣行、年功賃金制度、企業別組合によって特徴づけられますが、これらのシステムはお互いに密接に関連し、20世紀の初頭から第1次大戦前後にかけて大企業を中心に成立し、その後戦時体制下で法制によって中小企業にも拡大され、さらに戦後急進的な労働運動によって再確立するという経緯をたどって今日に至っています。 従って、講義のタイトルは「現代日本の社会システム」となっていますが、その存立構造を明確に理解するためには、約100年前から歴史をたどってこなければなりません。日本の雇用システムが欧米型に変わるだろうとか、変わるべきだという議論は昔から繰り返されてきています。最近もそういう議論を展開する人が絶えません。それが適切であるかどうかを判断するためにも、日本の雇用システムがこの100年間経てきた挑戦と応答の歴史
続く5月18日はいよいよ連合です。古賀事務局長に、長谷川裕子、龍井葉二という最強(?)の組み合わせ。 ホワエグをめぐるやり取りも面白いですが、フォーカスはやはり龍井さんのこれでしょう。派遣の見直しの話から展開してきて、 ○ 龍井総合局長 1 点だけ申し上げたいのは、結局日本は初任給から始めるわけです。半人前から始まって、一人前になる。スキルも生計費も。今言われたのは、ジョブ型になっていって、資格を取ろうが、大学を出ようが何でもいいですけれども、皆さんがそうおっしゃるイメージのときに、勤続ゼロ年であるところに行く人というのはイメージが湧きますか。問題はそこです。それがあるシステムが、それはスウェーデン型のように国でやってもいいし、ドイツ型のマイスターでもいいし、アメリカみたいに資格でやってもいいし、いずれにしろ勤続ゼロ年で、ここからスタートしますという人が、今はS E などでも若干いるけれど
野党4党は、偽装請負で行政指導を受けたキヤノンの御手洗会長(日本経団連会長)を国会に参考人招致することを決めた。彼らは「格差社会」の原因が小泉内閣の「市場原理主義」にあるとの主張にもとづいて御手洗氏を攻撃するものと思われるが、当ブログでたびたび指摘してきた通り、これは経済学の基本的なロジックも理解しない誤りである。 もちろんキヤノンが違法行為をしたこと自体は、批判されてしかるべきである。しかし、その法律が労働実態に合わないものだとすれば、法律を改正することも視野に入れて考えるべきだ。野党が「開き直りだ」と問題にしている御手洗氏の経済財政諮問会議における発言は、次のようなものだ。請負は、請負事業者が全部自分で労働者をトレーニングして、何かの仕事を請け負う。その場合、受け入れ先の人はいろいろ指揮命令ができない。これは当たり前のことだと思う。一方で、派遣は、ただ単純に派遣して、派遣先で監督や訓
2007年10月04日18:00 カテゴリMoneyValue 2.0 俺たちはES細胞じゃない - 労働が市場化しない理由 その経済学のイロハである需要と供給の法則がなぜ実地で働かないかは、中卒でもわかる。 池田信夫 blog 偽装請負を生み出しているのはだれか これが経済学の教科書の最初に書いてある「需要と供給の法則」である。雇用規制を強化すると労働需要が低下し、失業者の雇用機会を奪って、結果的には格差は拡大する。 タイトルどおり、労働者はES細胞じゃないからだ。 需要と供給の原則で最も重要なのは、需要者が任意に好きなものを購入できること、そして供給者が任意に好きなものを生産できるという、需給双方の任意性。ところが、こと労働に関しては、これが供給側に関して成り立っていない。今日産科医が足りず、その需要逼迫が産婦人科医の給与を高騰させているとしても、今日皮膚科医だった医者が明日産科医にな
フリーターの告発「『丸山眞男』をひっぱたきたい」をめぐって始まった議論は延々と続き、コメントも3つの記事の合計で400を超えた。なぜ「就職氷河期」が起こり、10年以上も続いたのか、こういう状況をどうすれば是正できるのか、についていろいろな意見が出たが、ここで私なりの感想をまとめておく。 まず「格差が拡大したのは小泉政権の市場原理主義のせいだ」という俗説は、まったく誤りである。正社員の求人は、1991年の150万人をピークとして翌年から激減し、95年には退職とプラスマイナスゼロになっている。その原因がバブル崩壊による長期不況であることは明らかだ。 したがって福田首相のいう「現在の格差は構造改革の影の部分」だから、改革の手をゆるめようという政策も誤りである。むしろ「景気対策」と称して行なわれた90年代の公共事業のバラマキが生産性を低下させ、かえって雇用環境を悪化させた疑いが強い。したがって
昨日夕方くらいから、このブログを読みに来る方の数が5,6倍に増えましたね。 さすがあるふぁぶろがあさんは違うわ、という感じですが、ということはこのブログを読みに来られる方の8,9割までは、以前のエントリーも読んだことはないし、まして私が書いた文章を見たこともない方々であるということなわけで、判ってるだろうという書き方では不親切だという状況になっているようです。 常連さんには今さらながらのことですが、この際ですからこれを読んでおくと役に立ちますよ、というのをいくつか。 まずいささか教科書的ですが、これを頭に入れておいて貰わないと http://homepage3.nifty.com/hamachan/hrm.html(日本の労務管理(和文講義案)) 最近の非正規労働問題については、まず総論的に http://homepage3.nifty.com/hamachan/koyounokakusa
一昨日の記事には、予想以上にたくさんのコメントがついたが、驚いたのはhamachanなる人物が「半分だけ正しい知識でものを言うと・・・」という記事で、私を「半可通」などと罵倒してきたことだ。このhamachanとは、濱口桂一郎。「天下り大学」として有名なGRIPSに厚労省から天下った人物らしい。 彼は、私が「労組は『正社員』による独占を守る組織なのだ」と書いたのに対して「ありえない」と批判しているのだが、その直後に「日本の企業別組合というのは[・・・]まさに『正社員による独占を守る組織』なのである」と自分で書いている。一つの記事の中で矛盾したことを書くのは、先日の山形某と同じく頭がおかしいと思われてもしょうがないが、問題はそのことではない。 hamachanは「組合へのメンバーシップがキモなのであって、企業へのメンバーシップとはまるで方向が正反対」というように、企業と労組は「正反対」で
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