ITは、GPT(一般汎用技術)にほかならない ── 「ジェネラルパーパス・テクノロジー」というのは、あまり聞き慣れない言葉なんですが、これはどういう意味なんでしょう? 野口 GPTというのは「一般汎用技術」と訳すことができますが、「社会のさまざまなところで広く使われている技術」という意味です。GPTの例としてよく言われるのが、電力です。それまで広く使われてきた動力源である蒸気が、電力になった。たとえば、蒸気機関車が電気機関車になった。工場の動力源が蒸気機関から電気モーターに変わった。家庭の中でも、電気を使うようになった。そのような変化です。 ところで、電力の場合に、それが技術的に利用可能になってから社会全体の生産性に影響を与えるようになるまでには、非常に長い時間を要したのです。GPTは社会全般で使うものですから、社会の仕組みとの関連性が大変に重要で、したがって生産性に影響を与えるまでには長