日本仏教を研究してきた西村玲(りょう)さんは、2016年2月に亡くなった。 04年に博士(文学)に。05年、月額45万円の奨励金が支給される日本学術振興会の特別研究員に選ばれた。 実家で両親と暮らしながら研究に打ち込み、成果をまとめた初の著書が評価されて、09年度に若手研究者が対象の賞を相次いで受賞。恩師は「ほとんど独壇場と言ってよい成果を続々と挙げていた」と振り返る。 だが、特別研究員の任期は3年間。その後は経済的に苦しい日が続いた。 衣食住は両親が頼り。研究費は非常勤講師やアルバイトでまかなった。研究職に就こうと20以上の大学に応募したが、返事はいつも「貴意に添えず」だった。読まれた形跡のない応募書類が返ってきたこともあった。 安定した職がないまま、両親は老いていく。14年、苦境から抜け出そうと、ネットで知り合った男性との結婚を決めた。だが同居生活はすぐに破綻。自らを責めて心を病んだ。
ソフトウェア開発会社「ディーソルNSP」(長崎市)の男性従業員が適応障害になり、自ら命を絶ったのは、長時間労働などが原因だとして、両親が同社と親会社に損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、福岡地裁であった。足立正佳裁判長は2社に計約4千万円の支払いを命じた。 判決によると、男性は2007年に入社。12年2月から東京に長期出張し、システムエンジニアとして勤務した。13年4月11日、横浜市内の建物から飛び降り、28歳で死去。長崎労働基準監督署は15年、長時間労働で適応障害を発症し、自殺に至った、として労災と認定した。 判決は、13年3月の時間外労働時間が180時間に達し、亡くなる前日までの21日間は休日なしで勤務したと指摘。しばしば職場近くのネットカフェに泊まって帰宅しなかったことなどから、「恒常的に極めて長時間の時間外労働を余儀なくされた」と判断した。 担当業務の納期も迫る中、過重な心理的負荷
全国の学校で、昨年度、自殺した児童・生徒は250人に上り、この30年間で最も多かったことが文部科学省の調査でわかりました。 内訳は小学生が6人、中学生が84人、高校生が160人となっています。 自殺の原因について複数回答でたずねると、「不明」が最も多く140人、次いで、卒業後の進路に悩むなどの「進路問題」が33人、「家庭不和」が31人、「いじめの問題」が10人などとなっています。 全世代の自殺者数はここ数年、3万人を下回るなど減少傾向にありますが、子どもたちについては高止まりしているのが実情です。 自殺総合対策推進センターの本橋豊センター長は「子どもの自殺の場合、遺書がないケースが多く、原因がわからないため対策が立てづらくなっている。まずは未然に防ぐよう、子どもたちのSOSをつかむ仕組み作りが必要だ」と指摘しています。
不法滞在の外国人の収容の長期化は、収容者が自殺する事態にもなった。法務省は「気の毒な境遇の収容者もいるが、ルールはルール」との立場だが、専門家からは、難民申請者らに対する日本の姿勢の問題を指摘する声も出ている。 茨城県牛久市郊外にある法務省の東日本入国管理センターには7月末の時点で、収容期間が6カ月以上になる男性が約330人暮らす。出身は約40カ国。全員が、日本政府から退去を命じられている。 インド北西部パンジャブ州出身のディーパク・クマールさん(当時31)もその一人だった。だが、4月13日、シャワー室で自殺した。 極貧家庭の5人きょうだいの末っ子。家族らによると、インドでは靴職人として働いたが、月収は家族7人で計7千~8千ルピー(1万2千円程度)。同州の1人あたりの平均月収すら下回る。家計を助けるため金融会社でも働いたところ、借金を肩代わりする羽目になった。「殺す」と脅され、身を守るため
福岡市東区箱崎6丁目の九州大箱崎キャンパスで7日朝に研究室を焼いた火災で、福岡東署は15日、焼け跡から見つかった遺体は研究室に出入りしていた同区の職業不詳の男性(46)と発表した。署によると、死因はやけどによる火傷死。男性が放火、自殺したとみて調べている。 署は、現住建造物放火か、非現住建造物放火の疑いで、男性を容疑者死亡のまま書類送検することも視野に入れている。 男性は九大法学部の卒業生。署によると、研究室の内側からテープで目張りがされた上、遺体の近くに灯油用のポリタンクやライターがあった。自宅からは、9月上旬にポリタンクを購入した際のレシートも見つかったという。 九大によると、男性は大学院に進学し、2010年の退学後も研究室を使用。大学院は、9月末に同市西区の伊都キャンパスへ移転を完了する予定で、男性に再三退去を求めていた。 ◇ ◇ ■困窮、研究の場も無く 「経済破綻に直面」
メンタルヘルス関連施設で、ベッドの上に座り雑誌を見やる患者(2007年1月23日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / CHRISTOPHE SIMON 【6月9日 AFP】米疾病対策センター(CDC)は7日、全米自殺率が1999年から3割近く上昇し、2016年には約4万5000人が自ら命を絶ったとの調査結果をまとめた報告書を発表した。 報告書では、自殺を「増大する公衆衛生上の問題」と形容。1999~2016年の統計として、自殺件数は50州中44州で大幅に増加し、増加率が30%を超えた州は25に上ったとしている。増加率が最も大きかったのは、ノースダコタ州の57%だった。 専門家らによると、米国で自殺は10番目に多い死因であり、単一の要因が原因となることはほとんどない。CDCの報告書では自殺の要因として、「人間関係の問題または死別、薬物の乱用、身体上の健康問題、仕事、金銭、法的または
「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書が書き換えられた問題で、今月7日に自殺した近畿財務局の男性職員が、上からの指示で文書を書き直させられたとか、このままでは自分1人の責任にされてしまう、などといった内容が書かれたメモを残していたことが関係者への取材でわかりました。検察当局は財務局の職員が本省から書き換えを指示されていたと見て、詳しい経緯を調べているものと見られます。 その5日前の今月7日、近畿財務局で森友学園との国有地の取り引きを担当する部署に所属していた上席国有財産管理官の50代の男性が神戸市内の自宅で自殺しているのが見つかりました。 関係者への取材で、この職員が、上からの指示で文書を書き直させられた、といった内容が書かれたメモを残していたことがわかりました。このメモは数枚にわたって書かれていて、決裁文書の調書の部分が詳しすぎると言われ上司に書き直させられたとか、勝手にやっ
自殺者の総数が減り続ける中、自殺する若者がなかなか減らない。若年層の死因のトップが自殺なのは、主要先進国で日本だけだ。若者の自殺を防ごうと、様々な団体が取り組みを進め、政府も対策強化に乗り出した。3月の自殺対策強化月間を前に、現状と課題を探った。 神奈川県座間市のアパートで昨年10月、男女9人の遺体が見つかった事件。犠牲者の多くは自殺願望をツイッターでつぶやいたのがきっかけで、事件に巻き込まれた。政府は12月、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上で自殺を勧誘する投稿を削除する取り組みの強化など再発防止策を発表した。 だが、SNSには今も「死にたい」「消えたい」と訴える若者の投稿があふれる。 ◇ 「生きる意味ってなに?」「なんかむなしい」――。福祉施設で働く大阪府の20代男性は、最近もツイッターでつぶやく。 職場での頑張りを上司に評価されず、「仕事ができない」と言われ続けた。い
保守派の論客として知られる評論家の西部邁(すすむ)さん(78)=東京都世田谷区=が21日、死去した。 警視庁田園調布署によると、同日午前6時40分ごろ、東京都大田区田園調布の多摩川河川敷から「川に飛び込んだ人がいる」と110番があった。飛び込んだのは西部さんで、署員らが現場に駆け付け病院に搬送されたが、死亡が確認された。 同署によると、目立った外傷はなく、付近で遺書のような文書が見つかった。自殺を図り、溺死したとみられる。 西部さんは21日未明から行方不明になっていた。同居する家族が探していたところ、多摩川で流されている西部さんを発見し、通報したという。 西部さんは北海道出身。東大経済学部に在学中、全学連中央執行委員として安保闘争に参加し、学生運動の指揮を執った。大学院では経済学を専攻し、横浜国立大や東大などで教鞭(きょうべん)をとる傍ら大衆社会論を軸とした評論活動を開始。「経済倫理学序説
韓国の男性アイドルグループSHINee(シャイニー)のメンバー、ジョンヒョンさん(27)が18日、死亡した。遺体がみつかった宿泊施設の室内からは練炭が見つかっており、自殺したと見られる。 これを受けて、朝日新聞が19日、ジョンヒョンさんの遺書全文を和訳して公開した。筆者はこれに、強い違和感と胸騒ぎを覚える。 朝日新聞は2017年12月19日10時47分にジョンヒョンさんの遺書全文を公開した同紙によれば、遺書はジョンヒョンさんの「知人の韓国人歌手が画像投稿SNS『インスタグラム』で、『遺族と相談した結果』として公表した」ものだという。それならば新聞が載せずとも、遺書はジョンヒョンさんを偲ぶ人々の間で広く読まれることになったはずだ。翻訳も、語学力のあるファンの手で素早く行われたことだろう。 それなのに、新聞がわざわざこれを公開する意味はどこにあるのか。朝日新聞がジョンヒョンさんの死の背景を深く
「本気で死のうと思っている人はひとりもいなかった」ーーー。 9人を殺害・死体遺棄したとして逮捕された男は、取り調べで そう語りました。 53万5000人ーーー。 これは過去一年以内に自殺未遂を経験した人の数です(推計)。 これまで「自殺未遂者は自殺者数の10倍程度」とされてきました。 ところが日本財団が行なった調査で、20倍近くいることがわかりました。 年代別では20代がもっとも多く、次いで30代と若い世代が続いています。 自殺者全体のボリュームゾーンは40代〜50代の男性です。 しかしながら先に示したとおり自殺未遂者は若者がダントツに多く (23万人程度)、40代の1.8倍もいます(13万人程度)。 また、15〜34歳までの年代別死因トップは「自殺」で、20代では 亡くなる人の半数を占めています。 他の先進国のトップは「事故死」。自殺が占める割合も10%程度。 日本では「自ら命を絶つ」若
「殺してえな」「むかつく」――。ヤマト運輸で宅配ドライバーとして働いていた46歳の男性は、上司からの叱責(しっせき)に悩んでうつ病を発症し、自ら命を絶ったとして、昨年労災が認められた。深刻な被害が後を絶たないのに、パワハラを防ぐ法規制はない。パワハラは「野放し」にされているのが実情だ。 2015年1月28日、ヤマト運輸の長野県内の営業所で宅配ドライバーをしていた男性が行方不明になり、6日後に県内で遺体で見つかった。46歳だった。1月末ごろに自ら命を絶ったとみられる。 「25年もヤマトで働いて頑張ってきたのに、俺のやってきたことは何だったんだろう」。失踪の前日、男性は妻に涙目でそう繰り返したという。 遺族の代理人の鏡味(かがみ)聖善(まさよし)弁護士によると、男性は営業所をまとめる「センター長」からパワーハラスメント(パワハラ)を受けていた形跡があった。 14年5月10日と同12日、男性は妻
米マサチューセッツ州ボストンの裁判所(2015年4月27日撮影、資料写真)。(c)AFP/BRIGITTE DUSSEAU 【6月17日 AFP】米マサチューセッツ(Massachusetts)州の少年裁判所で16日、恋人だった10代男性が長期にわたって計画していた自殺を実行するよう迫り、死に追いやったとして非故意殺罪に問われていたミシェル・カーター(Michelle Carter)被告(20)に有罪が宣告された。 カーター被告は裁判官から審判が伝えられる20分の間、涙をティッシュで抑えながら泣き崩れた。マサチューセッツ州には自殺ほう助を取り締まる法律はなく、この判決で同州には新たな展開がもたらされることになりそうだ。 コンラッド・ロイ(Conrad Roy)さん(当時18)は2014年7月、駐車場に止めてあったピックアップトラック内で一酸化炭素中毒により死亡しているところを発見された。
ヤマト運輸の長野県内にある営業所のドライバーだった男性(当時46)が2015年1月に自殺した。妻子は、原因は上司の執拗(しつよう)なパワハラだったとして、慰謝料など約9500万円の損害賠償を求めて長野地裁に提訴した。「劣悪な労働環境が維持されないよう対策を講じて欲しい」。遺族の思いと、訴訟までの経緯を原告側代理人が語った。 31日午後、長野市で会見した代理人の鏡味聖善弁護士によると、自殺した男性は1989年7月に入社。県内の営業所でドライバーとして働き始めた。2003年には所長となり、優秀な働きぶりで営業所を主管する同社支店長から表彰されたこともあったという。 11年に男性は通常業務のドライバーに戻り、被告の上司が所長に着任した。翌12年秋ごろ、突然、この上司から暴言や暴行を受けるようになったという。 14年5月10日は約2時間にわたって罵声を浴びせられた。上司は机を蹴飛ばして大きな音を立
パワハラ自殺でヤマト提訴=従業員遺族、損害賠償請求-長野地裁 ヤマト運輸の長野県内の営業所に勤務していた従業員の男性=当時(46)=が自殺したのは、上司からの長期間にわたるパワハラが原因だったとして、遺族が31日までに、同社と上司に計約9500万円の損害賠償を求める訴訟を長野地裁に起こした。 訴状などによると、男性は2012年秋ごろから上司に「顔を見るだけで殺したくなってくる」などの暴言や投げ飛ばすなどの暴行を受け、うつ病を発症。15年1月に自殺した。遺族は労災申請し、16年3月認定されたという。 代理人の鏡味聖善弁護士は「ショッキングな内容のパワハラ行為が行われていた。劣悪な労働環境が維持されることがないよう会社としてしっかり対策を講じてほしい」と話した。 ヤマト運輸の話 具体的内容は係争中のためコメントを控える。代理人と協議して対応していく。(2017/03/31-17:38)
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