出版業界は厳しい時代を迎え、特に当店のような町の小さな書店にそのしわ寄せが来ています。 20年前には全国に2万3000店の書店がありました。ところが現在、日本図書普及協会によると、図書カ-ドを読み取る図書カ-ドリ-ダ-を置いているお店、つまり配達だけでなく店舗を構えている書店は8800店になってしまったといいます。 本当にお薦めしたい本を入手できない そんな中で当店では、8年前からお客さまたちの意見を聞きながら、「作家と読者の集い」と題したトークイベントを始めました。大手メディアでは、報道されない、けれども伝えなければならないことを書かれた本を中心に、お客さまからのリクエストもお聞きして企画して参りました。 現在222回目になり、延べ1万人以上のお客様にお越しいただいています。お陰様で、最近は、作家さんやジャ-ナリストの方々から隆祥館のイベントに出演したいというリクエストも受けるようにもな
僕の肩書のひとつは作家だ。つまり書くことで生計を得ている。本来ならギャランティのない仕事は受けるべきではない。プライドや矜持のレベルではない。他の仕事との整合性がつかなくなるのだ。 でも、特にオウムについては、昨年の13人死刑執行も含めて、世に問いたいこと、言いたいこと、伝えたいことが、ずっと自身の内側で飽和している。溢れかけている。そして僕のこの思いや葛藤や発見を伝えるうえで、『A3』は最も重要な作品だ。初対面の人すべてと名刺交換をしながら、「A3は読んでくれましたか」と僕は質問したい。でもさすがにすべての人に訊くことはできない。オウム関連のインタビューなどを申し込まれたときは、時おり思いきって質問する。読んでいますと答えられることは、たぶん三回に一回くらい。そのたびに(上辺はそうですかなどと言いながら)気落ちする。一人でも多くの人に読んでほしい。もっと多くの人に知ってほしい。もっともっ
まず、書店が大幅に減少している背景には、単に本が売れなくなっているという要因だけではなく、日本独特の出版産業の構造がある。 書店調査会社のアルメディアによると、1990年代の終わりに2万3000店ほどあった書店は、2018年には1万2026店にまで減少した。さらに、この数字には売り場のない事務所や雑誌スタンドなども含まれているため、書籍をそれなりに販売している店舗としては、図書カードの端末機を設置している約8800店(日本図書普及の発表による)が実態に近い数字だと思われる。 雑誌が支えてきた出版流通 欧米先進国と日本の書店の最大の違いは、日本の書店は雑誌を多く販売してきたという点である。一般的に日本以外の国の書店は「書籍店(BookStore)」であり、雑誌はニューススタンドやドラッグストアなどで販売されてきた。書店店頭に毎日新しい雑誌が次々に並ぶという風景は、日本にしかないのだ。 それは
特集 メディア・リテラシー 創業70周年記念号です。 以下の執筆陣のエッセイ・インタビューを収録しています。 国谷裕子、森達也、武田徹、津田大介(インタビュー)、竹内洋、佐藤卓己、白井聡、鹿島茂、福嶋聡、大澤聡、文月悠光、伊藤亜紗、金原瑞人、森まゆみ、渡辺政隆、三中信宏、岡田温司、富永京子、細馬宏通。 ▶入手方法 ○メディアの現場と歴史 ポスト真実時代のジャーナリズムの役割 国谷裕子 群れない個が地球を救う 森 達也 フェイクニュース時代の正しさのゆくえ 武田 徹 情の時代を生きぬく技法 津田大介 メディアの盛衰と法則 竹内 洋 デジタル時代にこそメディア史的思考を 佐藤卓己 ○言葉と本 メディア・リテラシー以前の問題 白井 聡 古書店と古書マニアの静かな戦場――文化としての古書カタログ 鹿島 茂 書店というメディア――闘技場のリテラシーを考える 福嶋 聡 読書の消滅
2人の幼い子を持つ父親だった ここに一枚の写真がある。 撮影日は、1993年5月5日。撮影場所は、カンボジア北西部の、タイ国境に近いニミット村。国連のヘリコプターの風圧で土埃舞う野戦病院のヘリポートで、オランダ軍兵士二人が、遺体を確認した後、木製の棺に納めた白いボディーバッグのチャックをしめている。 その奥に、棺に背を向けた長身の日本人警察官が崩れ落ちそうになるのを兵士が抱きかかえている。彼の名前は、山崎裕人という。当時40歳の警察官僚(警視正)で、日本が始めて本格的に参加したPKO(国連平和維持活動)の現場・カンボジアに、74名の部下を率いて赴いた日本文民警察隊の隊長だった。 この前日、山崎は、首都プノンペンのUNTAC(国連カンボジア暫定統治機構)本部で、衝撃的な事件の報告を受け号泣していた。 1993年5月4日。日本はゴールデンウィークの真っ只中だった。東京・渋谷にあるNHKニュース
石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞記念講座2017『「ポスト真実」にどう向き合うか』が出版されました。 この書物は、「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」を記念して、早稲田大学の学生のために開講されている講義をもとに編まれたものです。講師陣は、早稲田ジャーナリズム大賞の前年の受賞者を中心に、第一線で活躍されているジャーナリストの方々から構成されています。 また、第17回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」贈呈式が11月30日に行われました。 贈呈式での講評や、受賞者のコメントなどを後日、公開いたします。 「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」記念講座 2017 『「ポスト真実」にどう向き合うか』 2017年12月1日発行 目次 序論 日本における「ポスト真実」 八巻和彦(早稲田大学商学学術院教授) 第一部 「真実」はどこに在るのか 1 安倍一強の下、民主主義は根付いている
家庭裁判所の首席調査官を経て裁判官を務めた名張市の佐藤洋一さん(74)が、自身の体験を基に「佐藤丈洋」のペンネームで小説「男女紛争事件 追憶の法廷」をこのほど自費出版した。長いキャリアを通じて、事件を経ても潔く、たくましく生きる女性たちに出会ったという佐藤さん。同作品を「女性への応援歌にしたい」と話している。 女性はまだ虐げられている 佐藤さんは昭和44年から35年間、家庭裁判所の調査官として、離婚やドメスティック・バイオレンス(DV)などのトラブル、ストーカーや性犯罪事件に関わった。45歳で臨床心理士の資格も取得し、首席調査官となった退職前3年間では7千件の事件を精査した。 さらに60歳で簡易裁判所の判事に転身し、70歳の定年までに約1200人の犯罪被疑者の面談などを通じ、男女の人間模様に深く関わった。「男女共同参画社会というが、社会では女性はまだ虐げられている。法の下の不平等をも感じた
コンテンツへスキップ 営業日時:水〜土曜/15:00〜20:00 NEWS 【2024年1月の営業について】2024年1月1日 【展示】大槻香奈個展「いのりWAVES」2023年12月19日 【2023年12月の営業について】2023年12月6日 【2023年11月の営業について】2023年11月1日 【プレスリリース】2023年11月30日に本屋発の文芸誌『しししし5』刊行決定!同年11月11日に文学フリマ東京で先行発売します。2023年10月31日 【10月の営業について】2023年10月3日 【出版のお知らせ】詩の絵本『夜にてマフラーを持っていく月が』(詩・多宇加世/絵・岸波龍)が刊行されました。2023年9月30日 【掲載情報】「MOM」10月号て、選書サービス「本棚からの便り」をご紹介いただきました。2023年9月28日 【掲載情報】駒草出版のWEBで連載している「本と食と私」が
書店が減るなか、小規模でも特色のある本を売り出す「小商い」で、活路を見いだそうとする人たちがいる。小さな書店、1人で切り盛りする出版社――。それぞれの循環も生まれている。 東京都杉並区。JR中央線の荻窪駅から歩いて十数分のところにある書店「Title(タイトル)」は、辻山良雄さん(44)と妻が2016年1月に開いた。 辻山さんは以前、大手書店リブロの池袋本店で勤務。15年に同店が閉店したのを機に独立し、約70平方メートルの店舗で個人編集の雑誌を積極的にそろえる。辻山さんが目をとめて発注したり「置かせてほしい」と申し出があったり。少部数雑誌や地方出版社の本が1割を占める。 出版社「タバブックス」(東京都世田谷区)もそのうちの1社。宮川真紀さん(55)が5年前に起業し、実質1人で切り盛りする「ひとり出版社」だ。 宮川さんは「大部数を目指さなくていいので、新しい著者や価値観の本を出せる」。年2回
Amazonアソシエイト契約はこれまで通り継続されることとなったため、直ちにサービスに影響することはありません。現在、新たな書誌データベースの構築および切り替えの準備を進めており、順次切り替え実施する予定です。詳しいスケジュールについては決定次第お知らせいたします。カーリルでは、ご利用いただいているユーザーの皆様への影響を最小限にしながら、オープンな書誌情報の世界にスイッチします。 カーリルでは、Amazon.com, Inc.が保有する豊富な書誌情報(本のデータベース)をAmazonアソシエイト契約に基づき活用することにより、利便性の高い検索サービスを実現してきました。現在、Amazon.comよりカーリルとのAmazonアソシエイト契約が終了する可能性を示唆されているため対応を進めています。 Amazonアソシエイト契約の終了は現時点で決定事項ではございませんが、カーリルではこの機会に
書店が地域に1店舗もない「書店ゼロ自治体」が増えている。出版取り次ぎ大手によると、香川を除く全国46都道府県で420の自治体・行政区にのぼり、全国の自治体・行政区(1896)の2割強を占める。「文化拠点の衰退」と危惧する声も強い。 トーハン(東京)の7月現在のまとめによると、ゼロ自治体が多いのは北海道(58)、長野(41)、福島(28)、沖縄(20)、奈良(19)、熊本(18)の順。ほとんどは町村だが、北海道赤平市、同歌志内(うたしない)市、茨城県つくばみらい市、徳島県三好市、熊本県合志(こうし)市、宮崎県串間市、鹿児島県垂水(たるみず)市など7市や、堺市美原区、広島市の東・安芸両区の3行政区もゼロだ。 出版取り次ぎ大手・日本出版販売(東京)の別の統計では「書店ゼロ自治体」は4年前より1割増えた。 全国の書店数は1万2526店で、2000年の2万1654店から4割強も減った(書店調査会社ア
外れたケインズの予言 2014年にオランダで自費出版同然の本がコツコツと売れ、アマゾンの自費出版サービスを通じて英語に訳されたとたん、大手リテラリー・エージェントの Janklow&Nesbit の目にとまり、2017年には全世界20ヵ国での出版が決まる。 2015年、フランスのトマ・ピケティの登場を彷彿とさせるようなシンデレラストーリーを体現しているのが本書『隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働』である。 筆者は、まだ29歳の若さで、ハイエクからマルクスまでを縦横無尽に読み解き、説得力のあるデータを提示しながら、まず今日の世界の状況をこんな風に絵解きしてみせる。 産業革命以来、人類の労働時間はずっと減り続けていた。ケインズは、第一次世界大戦のあと、スペインで講演を行い、その中で、「2030年までに週の労働時間は15時間にまでなる」と予測した。 ところが、今日
高齢社会の社会保障制度や所得格差をどう解消するのか。これは日本だけでなく先進国に共通する課題だ。ヨーロッパ諸国ではこの問題を解決するために早くから議論を重ねている。 その中でいま最も注目を集める政策が「ベーシックインカム」の導入だ(ベーシックインカムとは何か? なぜ、いま議論が盛り上がっているのか?)。 ベーシックインカム支持者として知られるのが、歴史家であり、「デ・コレスポンデント」の記者でジャーナリストでもあるオランダ人のルトガー・ブレグマン氏(29)(TEDで絶賛! ベーシックインカムの導入を求めるスピーチ)。 彼の著書「隷属なき道ーAIとの競争に勝つ ベーシックインカムと3時間労働」は全世界で20カ国語に翻訳され、日本でも発売される。今回、日本語版発売を機に来日したブレグマン氏に、Business Insider Japanは取材した。 「日本はテクノロジーに関しては先進的ですが、
『ナビゲーター世界史』シリーズは、1999年の発刊以来、受験生の皆さんをはじめ多くの方々にご好評いただき、版を重ねてまいりました。 この度、新版を出すにあたっては、新課程に十分対応したうえ、わかりやすさの向上にウェイトをおいて、きめ細かい見直しを図りました。 私は受験参考書の大切なポイントは、わかりやすさ、十分な詳しさ&確かさ、スピーディーな完成、の3つを満たすことだと思っています。 具体的には、 1.「わかりやすさ」では、基本的な用語・歴史の見方をていねいに説明することを何よりも大切にし、その上に高いレベルの用語・見方がしっかりと結びつくような説明を加えることで、最初から誤りのない知識が定着することをめざしました。著者だから知りえた印象に残る多くのエピソードなども、その目的に役立つはずです。 2.「十分な詳しさ&確かさ」では、「この本だけで合格可能な十分な詳しさ」を目標に、すべての世界史
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く