福島原発事故から3年たった2014年3月、ネットメディアの企画で廃炉作業の現場を視察する機会を得ました。そのとき東電本社で事前のレクがあり、担当者から凍土壁の説明を受けました。 その当時、原発建屋に1日500トンも流れ込んでいた地下水が大きな問題になっており、原発周辺にはすでに処理水を貯めたタンクが林立していました。そこで東電は、地中に約1600本の凍結管を埋め、零下30度の冷却液を循環させて周囲の土を凍らせるという技術で、地下水の流入を防ごうとしたのです。レクのあと、「凍土壁がうまくいかなかった場合はどうなるんですか?」と訊いてみると、担当者の答えは「代案はありません」でした。 地下水に含まれる放射能は除去設備(ALPS)によって規制基準値未満に浄化されますが、水分子の一部となるトリチウムだけは除去できないことも、そのとき説明されました。それから10年ちかくたち、いよいよ処理水のタンクが
自民党外交部会は30日、党本部で東京電力福島第1原子力発電所の処理水(以下、処理水)の海洋放出や反発する中国への対応について協議し、堀井巌部会長が「国際会議や2国間会談の機会に日本の取り組みをしっかり説明し、正当性を発信し続けてほしい」と政府に求めたことが報じられている。 が、今般の処理水放出につき国際会議などで日本が発信すべきこととして、この自民党外交部会長が「正当性」という語を用いたことに、筆者は少なからぬ異論がある。発信すべきはあくまで、「基準に沿っていること」や「安全性」であって、「正当性」ではあるまい。以下にその理由を述べる。 まず原発からの排水に係る国際法について復習すると、海洋投棄に関係する国際法には「海洋法に関する国際連合条約(「国連海洋法」)、「1972年ロンドン条約」(「ロンドン条約」)そして「ロンドン条約1996年議定書」(「議定書」)がある(拙稿「公明・山口発言は河
中国の猛反発を招き、ネット上においても日本国民を分断する事態を引き起こしている福島第一原発の処理水海洋放出。そもそもなぜ政府は「海洋投棄」と批判されても仕方のない方法にこだわったのでしょうか。今回のメルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~』では、『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』等の著作で知られる辻野さんが、そんな疑問を含む「自身が確認したいこと」を列挙。その上で、「感情論よりも冷静な検証が必要」との見解を記しています。 自ら国際問題化。核汚染水の海洋投棄を強行した日本政府 8月24日午後1:00、日本政府は福島第一原発からの俗に「ALPS処理水」と呼ばれる核汚染水の海洋放出を開始しました。 これに際して、岸田首相はX(旧ツイッター)で以下のメッセージを発信しました。 本日よりALPS処理水の放出が始まりました。
ニューヨーク州に位置するインディアンポイント原子力発電所。ここで生じた冷却水は当初ハドソン川に放出される予定だったが……。 REUTERS/Mike Segar/File Photo 日本が福島の原子力発電所の処理水の放出を実行する1週間ほど前の8月18日、ニューヨーク州ではキャシー・ホークル知事が、2021年に閉鎖されたインディアンポイント原発の処理水をハドソン川に放出することを禁止する法案に署名した。9月に放出が予定されていたが、環境保護団体や住民たちの運動によって阻止された格好だ。 インディアンポイント原発は、ニューヨーク市マンハッタンからおよそ50キロ北に行ったウェストチェスター郡ブキャナン、ハドソン川の沿岸に位置する。1962年に稼働を始めた1号機は安全基準に満たないという理由で1974年に廃炉となっていたが、その後1974年には2号機が、1976年には3号機が稼働を始め、ニュー
処理水の放出は、いろいろな意味で福島第一原発の事故処理の一つの区切りだった。それは廃炉という大事業の第1段階にすぎないが、そこで10年も空費したことは、今後の廃炉作業の見通しに大きな影響を与える。 本丸は「デブリの取り出し」 廃炉の最大の難関は水処理ではなく、格納容器の底にたまった核燃料のデブリの取り出しである。まだ原子炉の中には入れないので、今年1月に水中ロボットによる内部調査が再開され、デブリを1gぐらい採取したというが、燃料とその周辺の廃棄物は全体で880トンある。 事故から12年たってこの状況では、東電の「30年で廃炉を完了する」という目標が達成できる見込みはない。今の調子でやっていると100年以上かかり、そのコストは数十兆円になるだろう。 取り出したデブリは危険な高レベル放射性廃棄物だが、置き場所も決まっていない。そもそも何のために取り出すのかという目的がわからない。 技術的には
「正しさ」の商人 情報災害を広める風評加害者は誰か 傍目には愚民を善導する宗教団体アサヒシンブンに操られたお可哀そうな信者にしか思えないのです。 朝日新聞は、原発事故後、福島に対する理解どころか誤解を求めて来たメディア。自分の知る福島の人たちは朝日に強い怒りを抱いている。その朝日新聞に所属する人物が自分たちの広めた誤解の悪影響が不可避であると断じ、自分に都合の良い「現地」の話でその報道姿勢を正当化する。これこそが朝日。 https://t.co/fSgZDhNbdo— the_spoiler (@don_jardine) July 19, 2022 ①朝日新聞は福島に対する理解どころか誤解を求めて来たメディア ②朝日新聞に所属する人物が自分たちの広めた誤解の悪影響 →根拠となるデータや事実を教えてもらえますか? 「自分に都合の良い現地の話」かどうか実際に現地に行き話を聞いてみてはどうでしょ
2022年07月12日21:25 カテゴリ経済 日本の原子力産業は「余命10年」 きのうのシンポジウムでは、ホリエモンの原子力についての話が印象的だった。3・11から11年たち、全国の原発には動いていた時期を知らない人も多い。もっと深刻なのは、原子力開発を志す若者がいなくなったことだ。その教訓を航空機産業に学ぶことができる。 三菱重工が国産ジェット機(MRJ)の開発を開始したのは、2008年だった。これは座席100席程度で地方路線を飛ぶ「リージョナル・ジェット」で、YS-11で成功した航空機技術を生かし、日本がジェット機に進出しようというものだった。 日本の航空機は、かつてはゼロ戦のように高い技術をもっていたが、敗戦で航空機メーカーが解体された。1950年代に開発が許可され、1965年には戦後初の国産航空機、YS-11が就航した。日本の製造業は自動車のように部品が3万点以上だと優位性を発揮
GEPRTokyo Tower and urban skyline rooftop view at sunset, Japan. これは今年1月7日の動画だが、基本的な問題がわかってない人が多いので再掲しておく。いま問題になっている大規模停電の原因は、直接には福島沖地震の影響で複数の火力発電所が停止したことだが、もともと予備率(電力需要に対する供給の余裕率)が3%しかなかったので、供給能力が3%以上落ちると停電が起こることはわかっていた。 今は揚水発電で不足分を供給しているが、20時ごろにはそれも停止するので、絶対的な電力不足になると、計画停電が避けられない。 【引き続き #節電 にご協力をお願いいたします】 ■揚水式水力発電所の発電可能容量(kWh)残量 17時点の揚水式水力発電所の発電可能容量(kWh)の残量です。 引き続き、節電へのご協力をお願いいたします。 <電気事業連合会「省エネ
2022年02月26日13:00 カテゴリエネルギー ドイツはなぜ自殺的なエネルギー政策をとるのか 今回のロシアのウクライナ侵略の原因は、ドイツのエネルギー政策だ。もともと産業用エネルギーの半分近くをロシアからのパイプラインで調達しているドイツは、エネルギー供給に脆弱性を抱えているが、昨年12月31日に原発3基を停止し、今年末で原発ゼロになる。最後の命綱だった原発をみずから断ち切る自殺的な政策である。 わからないのは、欧州経済の中心であるドイツ人が、このように支離滅裂なエネルギー政策をとるのはなぜかということだ。それを考える上では、ドイツ人の半分が旧東ドイツの出身だったということが重要な意味をもつ。彼らは市場経済を知らないで育った。社会主義が悪夢だということは身をもって知っていたが、資本主義には嫌悪を抱いていた。 彼らが社会主義の代わりに見つけた「正義」が、地球環境問題だった。彼らは東ドイ
韓国が脱原発を叫ぶ間に中国は「原発革命」 韓国から西に180キロ離れた中国山東半島の栄成市にある石島湾原子力発電所では今月21日、200メガワット級の超高温原子炉(VHTR)に始めて燃料が装填(そうてん)された。VHTRはメルトダウン(原発の炉心が溶け出す現象)のリスクが小さい第4世代の原発技術だ。米国、ドイツ、日本などが研究用に運用したことはあるが、商業用に近い実際の原子炉は中国が初めて建設した。中国核工業集団公司は「第4世代の原発技術において重要な第一歩を踏み出した」「今年の末には電力を生産する計画」と説明した。 文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後、韓国では月城原発1号機を早期に廃炉とするなど脱原発に突き進んだが、その間に中国は各地で「原発革命」を進めてきた。先月も中国南部の海南省昌江では世界初の商業用多目的小型モジュール炉(SMR)「玲竜1号」の建設工事が始まった。中国が独自開発した
世界各国は、自国の原子力施設から、放射性物質トリチウムを海洋や大気中に放出している。いずれも各国の規制基準に基づいた放出量で、施設周辺で人体や環境などへの重大な影響は確認されていないという。 経済産業省がまとめたデータによると、韓国の主要原発である月城原発は2016年に液体約17兆ベクレル、気体約119兆ベクレルの計約136兆ベクレル(ベクレルは放射能の強さや量を表す単位)を放出。同様にフランスのラ・アーグ再処理施設は15年に計約1京3778兆ベクレルを海洋と大気にそれぞれ出している。 このほか、英国のセラフィールド再処理施設は15年に約1624兆ベクレル、カナダのダーリントン原発は同年に約495兆ベクレルをそれぞれ放出した。
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