宇山卓栄さんの記事には、重大な事実誤認がある。日本の植民地経営が赤字だったことはよく知られているが、それは日本が「啓蒙的」な動機で朝鮮や満州を支配したからではない。日本は「大東亜」のブロック経済を構築しようとしたが、投資を回収する前に戦争に負けたのだ。 植民地経営は、ヨーロッパのほとんどの国では赤字だった。大きな黒字だったのはイギリスだが、それが「文明化への使命」だなどというのは、時代錯誤の自民族中心主義だ。アフリカの黒人を1500万人も新大陸に奴隷として連行したことに、どんな啓蒙的な使命があったというのか。 ファーガソンは「大英帝国は世界を文明化した」と主張して論議を呼んだが、それは植民地を啓蒙するためではなく、効果的に搾取するためだった。ただし植民地支配は、1928年の不戦条約までは国際法違反の「侵略」ではなかった。したがって1910年の日韓併合も侵略ではないが、1931年の満州事変以