細かい話。 『名指しと必然性』のアペンディクスで、クリプキはホームズという人が存在する可能世界はないとしている。率直に解釈すれば、これは「ホームズが人であることは不可能だ」「ホームズは必然的に人ではない」ということのように思われる。というのも、可能世界意味論のフレームワークでは、pが不可能であることはpが真である可能世界がないことによって定義されるのだから。実際、以前紹介したLiebesmanもそのように解釈していたし、私もそのように思っていた(ただしLiebesmanはクリプキが「不可能」という言葉を使っていないことに気づいており、注で触れている)。 David Liebesman「必然的に、シャーロック・ホームズは人ではない」 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ 名指しと必然性―様相の形而上学と心身問題 該当箇所を引こう(翻訳がみあたらないので孫引きで)。 幾人かの異なる可能な人々