第二次世界大戦末期に起こった深刻な食糧危機。この「オランダ飢餓」とも呼ばれる危機の影響による病的な形質が、子世代はおろか、孫世代にまで"遺伝"している可能性があることについて、前回の記事でご紹介した。 遺伝子には、ヒストン修飾やDNAのメチル化などによって、その発現が制御されていることがわかっていたが、ある個体が得たエピジェネティクな変化は生殖細胞へと伝えられることはなく、子孫には伝わらないというのが従来の理解だった。 母体が「オランダ飢餓」から影響を受けた子供や孫に現れた病的な形質は、エピジェネティクな変化によるものなのか? 「エピジェティクな情報の子孫への遺伝」について、引き続き、考察してみたい。 前回:"遺伝"するRNAーー孫世代まで引き継がれた「オランダ飢餓」の記憶(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/95790) 世代を超える記憶 さて、話を