生命(いのち)をつなぐ進化のふしぎ―生物人類学への招待 (ちくま新書) 作者:内田 亮子出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/10メディア: 新書 内田亮子の新刊でちくま新書だ.生物人類学の紹介書ということになるだろうが,単純な概説本ではない.著者独自の切り口から生物としてのヒトを眺め,最近の世界の研究成果を紹介し,関連する興味深いトピックにふれ,さらに生物人類学者としての深いコメントがところどころに挟まっている.新書というあまり固くない様式をうまく生かした独特の本に仕上がっている. 切り口としては,生命や進化をどう説明するか,食事あるいはエネルギー効率,社会,配偶,育児,老化,死という各章で構成されている.最初のどう説明するかという観点からは,何でも必然として説明したがるヒトの認知傾向と,真摯な科学的な営みから生まれる知見とのギャップが語られる.科学者として誠実に説明しようとす