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ブックマーク / shorebird.hatenablog.com (138)

  • 書評 「ダーウィンの呪い」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    ダーウィンの呪い (講談社現代新書) 作者:千葉聡講談社Amazon 書は千葉聡による「ダーウィンの自然淘汰理論」(特にそれが社会にどのような含意を持つかについての誤解や誤用)が人間社会に与えた負の側面(書では「呪い」と呼ばれている)を描く一冊.当然ながら優生学が中心の話題になるが,それにとどまらず様々な問題を扱い,歴史的な掘り下げがある重厚な一冊になっている. 冒頭ではマスメディアがしばしばまき散らす「企業や大学はダーウィンが言うように競争原理の中でもまれるべきであり,変化に対応できないものは淘汰されるべきだ」という言説を,まさに「呪い」であると憂いている.そしてそれが「呪い」であるのは,「進歩せよ,闘いに勝て,そしてそれは自然から導かれた当然の規範である」というメッセージがあるからだと喝破している(それぞれ,「進化の呪い」「闘争の呪い」「ダーウィンの呪い」と名付けられている). 第

    書評 「ダーウィンの呪い」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    sakstyle
    sakstyle 2024/01/04
    主に優生学の歴史について。最終章では現代の遺伝的強化とトランスヒューマニズムについても。
  • 書評 「なぜ私たちは友だちをつくるのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    なぜ私たちは友だちをつくるのか--進化心理学から考える人類にとって一番重要な関係 作者:ロビン ダンバー青土社Amazon 書はダンバー数と言語のゴシップ起源説で有名なロビン・ダンバーによるヒトの社会的ネットワーク(特に親しい友人関係)についての.ダンバー数とはヒトにおける一人一人互いに相手を知るような社会的ネットワークの規模は150人程度であり,それは人類の進化史において形成されたものだという考えを表す概念だが,書はヒトのネットワークについてのその後の30年の研究の進展がまとめられているものになる.原題は「Friends: Understanding the Power of our Most Important Relationships」 第1章 なぜ友だちは重要なのか 第1章では友人関係を持つことのメリットが解説される. 大規模な疫学的調査によると友人の存在(特に社会的サポー

    書評 「なぜ私たちは友だちをつくるのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    sakstyle
    sakstyle 2023/12/22
    ロビン・ダンバー「当初クリスマスカードから始まったリサーチは現在SNSのビッグデータを用いるものになっているが,そこに浮かび上がるパターンは驚くほど同じだ」
  • 書評 「人を動かすルールをつくる」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    人を動かすルールをつくる――行動法学の冒険 作者:ベンヤミン・ファン・ロイ,アダム・ファインみすず書房Amazon 書はヒトがルールに対してどのように反応して行動するかという行動科学的視点にたって法(特に立法政策)を考える試み*1についての一般向けの解説書だ.著者のロイとファインはともに法学者で法と行動科学,法と行動の相互作用を専門としている*2. 法,特に刑事法は人々の行動を変えようとするものでもあり,うまく人々の行動を変えるには,ヒトがルールに対してどのように反応するかは重要な論点のはずだが,実際に法を作っている人々はそのような行動科学のトレーニングは受けていないし,非常に単純な前提しかおいていない.著者たちはそういう立法実務は非効率でり,行動科学を取り入れた法のデザインが重要だと主張している.行動経済学とちょっと似た視点にたっていて,興味深い.原題は「The Behavioral

    書評 「人を動かすルールをつくる」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    sakstyle
    sakstyle 2023/11/10
    行動科学を立法に応用すること(行動法学)を目指す本。厳罰化の犯罪抑止効果を示す証拠はなく、法執行の確実性、法の周知、道徳規範との一致、犯罪機会への介入などが有効
  • 書評 「人間性の進化的起源」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    人間性の進化的起源 作者:ケヴィン・レイランド,豊川航勁草書房Amazon 書はヒトの知性や認知能力や心のあり方の進化的な起源を「文化進化」を深く考察することにより探索するだ.そしてその中では累積的文化進化,ニッチ構築,遺伝子と文化の共進化にからむ正のフィードバック過程がキーコンセプトになる.著者はケヴィン・レイランド.原題は「Darwin’s Unfinished Symphony: How Culture Made the Human Mind」 書全体は第1部「文化の基礎」で模倣や文化にかかる行動や能力がどのように進化しうるのかをまず整理し,第2部「人間らしさの進化」でヒトを特別にしているものは何か,それはどうして(ヒトだけに)進化したのかを扱うという構成になっている. 第1部 文化の基礎 第1章 ダーウィンの未完成交響曲 冒頭で,ダーウィンは土手を覆い尽くす生物たちの多様性を

    書評 「人間性の進化的起源」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    sakstyle
    sakstyle 2023/07/03
    「累積的文化進化,ニッチ構築,遺伝子と文化の共進化にからむ正のフィードバック過程がキーコンセプト」脳容量増大の文化駆動仮説、教示行動の重要性
  • 特別展「恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造」 上野の森美術館 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    上野の森美術館で恐竜アートの展覧会があるというので行ってきた. 恐竜の絵は小学校のころによく読んだ恐竜図鑑が頭にたたき込まれているし,1980年代以降の恐竜ルネサンスからジュラシックパーク以降の新しい復元像にも思い入れが深い.考えてみればこのような新しい復元像が巷に出回り始めてからもう40年も経っているというわけだ. 展覧会は4部構成で第1部が「恐竜誕生:黎明期の奇妙な怪物たち」第2部が「古典的恐竜像の確立と大衆化」第3部が「日の恐竜受容史」第4部が「科学的知見によるイメージの再構成」となっている.なお対象となるのは基的に恐竜だけでなく翼竜,魚竜,首長竜を含むものになっている. ほとんどの展示は撮影可能(禁止のものにのみマークがついている).スタッフに確認したところ,撮影可能なものはSNSに上げてもよいということなので,適当にスマホで写した写真だが,いくつか紹介しておこう. 入り口か

    特別展「恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造」 上野の森美術館 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • 書評 「広がる! 進化心理学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    広がる! 進化心理学 朝倉書店Amazon 進化心理学は基的にヒトの行動や心理を進化的な視点から理解しようとする試みであり,極めて学際的な営みになる.書はそのような進化心理学の周辺分野の専門家たち(その多くは同時に進化心理学者でもある)による進化心理学が周辺分野に与えてきた影響,あるいはその親和性を解説する一冊になる.編者は小田亮と大坪庸介. 冒頭の「まえがき」は「なぜ書店の『心理学』の棚には『進化心理学』というコーナーがないのか」という面白い掴みから始まっている.基的に新しい分野でまだ認知度がなく,そういう書名のが少ないからだと思われるが,ここでは,進化心理学は他の○○心理学と異なり,○○にあたる内容を研究するのではなく,進化はその視座を表しているからだと説明されている.つまり進化心理学は認知科学,社会心理学,発達心理学のような内容による区分に横串を通すような分野であり,そのよう

    書評 「広がる! 進化心理学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    sakstyle
    sakstyle 2023/06/19
    「本書では心理学・認知科学の各分野を中心に,言語学,倫理学,教育学,犯罪学についての影響が描かれている」トピックが幅広くて面白そう
  • 書評 「生物学者のための科学哲学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    生物学者のための科学哲学 勁草書房Amazon 書は生物学にかかわる科学哲学の主要トピックについて科学哲学者や科学史家たちが解説したもの.編者は科学哲学者のカンプラーキスと生物学者のウレルで,書名にもあるように想定読者としては生物学者が念頭に置かれている. これまでの生物学の科学哲学の入門書だと「種とは何か」「自然淘汰の単位は何か」「系統樹の推定はどのような営みか」「利他行動の進化とマルチレベル淘汰」「発生システム論」などの個別の各論のトピックが主要テーマになっているものが多いが,書が取り上げるものは必ずしも「生物学の科学哲学」に限らないということで,「説明」「知識」「理論とモデル」「概念」などの基礎ブロック的なテーマが数多く取り上げられていてなかなかハードな内容になっている.原題は「Philosophy of Science for Biologists」. 第1章 なぜ生物学者は科

    書評 「生物学者のための科学哲学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    sakstyle 2023/05/29
    若干スルーしてたけど、過小決定と過大決定の話あるのか。メタファーの話もある
  • 書評 「哺乳類前史」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    哺乳類前史: 起源と進化をめぐる語られざる物語 作者:エルサ・パンチローリ青土社Amazon 書は古生物学者エルサ・パンチローリによる哺乳類の祖先たちを語るだ.哺乳類については恐竜絶滅後の大放散の物語が有名だが,それ以前の古生代,中生代の祖先たち(単弓類,盤竜類,獣弓類,キノドン類)の歴史は同時代の恐竜の物語に比べて一般的にはそれほど知られていない.彼等は時に様々なニッチに進出して栄え,時に衰退する歴史を刻んでいる.著者は発掘物語などを横軸に絡めながらこの大いなる歴史を語ってくれている.原題は「Beasts Before Us: The Untold Story of Mammal Origins and Evolution」. 序章 序章では,化石が過去の進化のパターンや絶滅した動物の様々な特徴を教えてくれること,古生物学がビッグデータ解析とCTスキャンにより大きく変容していることが

    書評 「哺乳類前史」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    sakstyle
    sakstyle 2023/01/24
    古生代石炭紀から中生代白亜紀までの哺乳類の祖先について。ペルム紀獣弓類の内温性獲得、三畳紀からジュラ紀、授乳や乳歯の生え替わりの進化、耳の進化の話など面白そう
  • 書評 「「ネコひねり問題」を超一流の科学者たちが全力で考えてみた」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    「ネコひねり問題」を超一流の科学者たちが全力で考えてみた 「ネコの空中立ち直り反射」という驚くべき謎に迫る 作者:グレゴリー・J・グバーダイヤモンド社Amazon 書は物理学者であるグレゴリー・グバーが「ネコひねり問題」について語ったになる.「ネコひねり問題」というのは,「ネコは逆さ向けにして落とされても空中でうまく身体をひねって脚から着地するが,物理学的に考えてみて,なぜ,どのようにしてそのようなことができるのか」という問題だ.書店でこのを見かけて最初に感じたのは,ネコは頭からひねってその後身体全体の向きを変えることができるが,それだけの問題をどうやったら一冊のにまで膨らませることができるのだろうかということだ.そしてそれに興味を引かれて購入して読んでみたものだが,この「ネコひねり問題」には何重にも絡まる謎があって,どうしてなかなか奥深く面白い.原題は「Falling Felin

    書評 「「ネコひねり問題」を超一流の科学者たちが全力で考えてみた」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    sakstyle
    sakstyle 2022/12/12
    ネコが逆さまに放り投げられても身体をひねって着地できるのは何故かの研究史。マクスウェルやペアノも論争に関わってる!
  • 「人類進化史における戦争の文化」コンシリエンス学会研究会 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    www.cnslnc.academy 9月13日に標記研究会がオンラインで開かれたので参加してきた.発表者は長谷川眞理子.ダワーによる「戦争文化」で展開された議論を題材にそれを進化心理学的に考察してみよう,そしてコンシリエンスを目指す若い研究者たちにはヒトの行動を扱うことの複雑さを理解してほしいという趣旨での講演となった. 人類進化史における戦争文化 長谷川眞理子 私は自然人類学の出身だが.これは自然科学の一分野で,アプローチにはいくつかの方法がある.主流なのは化石から迫るものと遺伝子から迫るものだが,私はどちらにもあまり興味がなかったので,行動と生態からのアプローチをとることにした. 生態から人類を考えるのには生態人類学として狩猟採集社会などを研究する方法もあるが,当時,人間とは何かがあまりわかっていないという自覚があり,そのアプローチはとらなかった. そして共通祖先であるチンパンジ

    「人類進化史における戦争の文化」コンシリエンス学会研究会 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    sakstyle
    sakstyle 2022/09/23
    長谷川真理子講演まとめ。人間について研究するのは難しいよ、という話
  • 書評 「進化政治学と平和」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    進化政治学と平和 科学と理性に基づいた繁栄 作者:伊藤 隆太芙蓉書房出版Amazon 書は進化政治学者伊藤隆太による3冊目の進化政治になる.伊藤は1冊目の「進化政治学と国際政治理論」では国政政治理論の古典的リアリズムを進化心理学的知見を基礎に進化リアリズム*1として再構築し,(ネオリアリズムの立場から見ると不合理な)戦争開始決定を部族主義,過信,怒りなどの概念を用いて説明してみせた.2冊目の「進化政治学と戦争」においては進化リアリズムの基礎的知見を人間行動モデル*2として提示し,ヒトには戦争することに使われる人間性が備わっているとする「戦争適応化説(個人レベル,集団レベルの抗争を可能にする心理メカニズムを奇襲と会戦に分けて説明するもの)」を提示した.2冊とも科学哲学的に実在論に立っていることを強調している.そして今回の「進化政治学と平和」においてはやはり実在論を強調しながら新しく進

    書評 「進化政治学と平和」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    sakstyle 2022/06/13
    「進化政治学者伊藤隆太による3冊目」「ピンカーの暴力減少説を基礎に進化的リベラリズムを提唱」「「事実的性質を持って価値を記述すること」は可能」「リアリズムとリベラリズムは(...)科学的実在論と親和的」
  • 書評 「社会科学の哲学入門」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    社会科学の哲学入門 作者:吉田敬勁草書房Amazon 書は科学哲学の中で特に社会科学の哲学についての入門書だ.私は社会科学についても哲学についてもあまり詳しくはない.そして最近読んだ進化政治学のにおいては著者が実在論にずいぶんコミットしているものの私が理解している科学哲学の実在論とはややニュアンスが異なるような印象もあってややもやもやしていたので,この際勉強しておこうと手に取った一冊になる.著者は科学哲学者で社会科学の哲学を専門とする吉田敬になる. 序章 社会科学の哲学を学ぶとはどういうことか まず書の目的について,社会科学の哲学という分野がどのようなものであり,どのような議論が行われているかを紹介するものだとしている. そこから序章における概念整理がある. 科学哲学の問題領域には論理学(推論の方法は正しいかなど),認識論(知識とは何かなど),形而上学(扱う対象は実在するのかなど),

    書評 「社会科学の哲学入門」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • 書評 「進化政治学と戦争」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    進化政治学と戦争 自然科学と社会科学の統合に向けて 作者:伊藤 隆太芙蓉書房出版Amazon 書は社会科学と自然科学のコンシリエンスを追求する進化政治学者伊藤隆太の2冊目の著書になり,進化政治学とはどのような営みなのか,そしてそれは戦争についてどう説明するかを扱っている.基的に政治学の中の古典的リアリズムの立場を進化生物学,進化心理学で基礎づけるという試みで,具体的テーマとしては戦争原因が取り上げられ,ヒトの進化適応から説明する仮説を提示するものになる. 序章 進化政治学と社会科学の科学的発展 序章では進化政治学とは何かが解説される.進化政治学は(それまでの社会科学の暗黙的前提であった)心身二元論,高貴な野蛮人,ブランクスレートによらず,進化生物学*1,進化心理学とのコンシリエンスを目指す政治学ということになる.そして先駆者たち(マクデーモット,ジョンソン,セイヤーなど)の業績*2が簡

    書評 「進化政治学と戦争」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    sakstyle 2022/03/01
    進化心理学・進化生物学からの政治学。「戦争適応仮説」についての検討
  • 書評 「恐竜研究の最前線」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    恐竜研究の最前線: 謎はいかにして解き明かされたのか 作者:マイケル・J・ベントン創元社Amazon 書はマイケル・ベントンによる一般向けの恐竜である.ベントンは様々な業績のある恐竜学者であり,最近では恐竜化石にメラノソームの痕跡を見いだし,それまで不可能だろうと思われていた証拠に基づくある程度確かな恐竜の色彩復元に成功したことで有名だ.書では自身の研究も含めて,様々な新しい研究手法や次々に発見される化石が恐竜の姿の理解をどのように変革してきたかを扱っている.原題は「The Dinosaurs Rediscovered: How a Scientific Revolution is Rewriting History」 はじめに 冒頭で恐竜化石におけるメラノソーム発見エピソードが紹介されている.発見時すぐにでも全世界に発表したいという気持ちが湧き上がったが,科学的精査にたえる論証を行

    書評 「恐竜研究の最前線」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    sakstyle 2022/01/27
    恐竜の本は次々出るから追うのが大変。著者は恐竜の色や系統樹復元で知られる。「新しい理論や方法論,そして技術を用いて古生物学がより検証可能な科学になっていったことにフォーカスを当てている」
  • 書評 「進化の技法」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    進化の技法――転用と盗用と争いの40億年 作者:ニール・シュービンみすず書房Amazon 書はティクターリクの発見で有名な古生物学者ニール・シュービンによる生物の革新的形質がどのように進化していくのかを,用途の転用,発生メカニズムと進化拘束,DNA配列,遺伝子の振る舞いなどから詳しく解説した一冊になる.所々で自伝的な回想もあって楽しく読める.原題は「Some Assembly Required: Docoding Four Billion Years of Life, from Ancient Fossils to DNA」 第1章 ダーウィンの5文字の言葉 若き日のシュービンは,「魚類から両生類への進化」を進化史上最大の難問のひとつだと考え,自分の研究テーマに選ぶ.ここでシュービンは魚類から両生類に進化して陸上に上がるためには機能的に絡み合った何百もの発明が必要であることを指摘する.こ

    書評 「進化の技法」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    sakstyle 2022/01/13
    ティクターリクの発見で有名な古生物学者ニール・シュービン著。大進化について、発生や遺伝の観点から最近わかってきたことについて一般向けに書かれた本。著者の院生時代のマイアやグールドについての回想も
  • 書評 「不平等の進化的起源」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    不平等の進化的起源: 性差と差別の進化ゲーム 作者:ケイリン・オコナー大月書店Amazon 書は,科学哲学者でありかつ進化ゲーム理論家であるケイリン・オコナーによる進化ゲームの均衡解として(差別的偏見がなかったとしても)社会的カテゴリー間の不平等をもたらす慣習や規範が創発しうることを丁寧に論じたである.社会的カテゴリーとしては特にジェンダーが大きく取り上げられているが,人種や宗教などにも当てはまる議論になっている.原題は「The Origins of Unfairness: Social Categories and Cultural Evolution」. 序章で各章の概略と文化進化の簡単な解説(文化進化の存在は書において進化ゲームを用いる基礎的な前提になる)をおいた後に論に入る. 第1部 社会的強調による不平等の進化 第1章 ジェンダー,協調問題,協調ゲーム 最初のジェンダーと

    書評 「不平等の進化的起源」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    sakstyle 2022/01/04
    カテゴリがシグナルとなって、均衡解が非対称な協調ゲームで差別的な慣習が生じ、少数派はより学習速度が速く文化進化が起きやすいので不平等な均衡により陥りやすい、と。グァラやルイスの応用編な感じか。
  • 書評 「読む・打つ・書く」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    読む・打つ・書く: 読書書評・執筆をめぐる理系研究者の日々 作者:三中 信宏東京大学出版会Amazon 書は三中信宏による理系研究者のための読書論,書評論,そして執筆論のだ.一気呵成に迸るように書かれた文章は迫力十分で,そしてすべては自分の(研究の)ためというポリシーが圧倒的に壮快だ. 第1楽章 読む:読みのアンテナを張る*1 冒頭は「との出会い」から始まる.との出会いは一期一会でこれはと思うは逃してはいけないこと,探書アンテナを張ることの重要性,ランダムな出会いもまたよいこと,多言語蔵書の深みなどが語られている. そこからいかに深くを読むかというテーマになる.読むにはまずを読みきって何が書いてあるかを理解するという段階,そして次になぜこのが書かれなければならなかったかを問いかける段階があるという.そしてを学べばより世界は広がり,得られた知識ネットワークは信頼するにた

    書評 「読む・打つ・書く」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    sakstyle
    sakstyle 2021/11/09
    shorebirdさん自身の読書に対するスタンスも書かれていて面白い。
  • 書評 「人間の本質にせまる科学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    人間の質にせまる科学: 自然人類学の挑戦 東京大学出版会Amazon 書は若手研究者たちにより執筆された自然人類学の総説・入門書になる.内容的には東京大学の駒場の1,2年生向けのオムニバス講義がもとになっているようだ.自然人類学は「人間とは何か」という問いを自然科学的に探究する営みであり,時系列的にはチンパンジーとの分岐から未来まで,対象のスケールとしてはゲノムレベルから地球生態系までを視野に入れた広大な学問領域になる.書ではそれぞれの専門家から人類進化の軌跡,ゲノム科学,ヒトの生物としての特徴,文化とのかかわりが解説されている. 第1部 人類進化の歩み 第1部は,霊長類の行動と社会,チンパンジーとの分岐から猿人*1まで,ホモ属,ネアンデルタールという4章構成になっていて,人類進化の最新の知見が要領良くまとめられている.各部において内容的に興味深かったところを紹介しておこう. 霊長類

    書評 「人間の本質にせまる科学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    sakstyle 2021/10/04
    自然人類学の入門書。東大駒場のオムニバス講義がもと/サルからの人類進化、ゲノム科学、二足歩行、色覚、気候への適応、言語学や考古学との関係など
  • 書評 「統計学を哲学する」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    統計学を哲学する 作者:大塚 淳発売日: 2020/10/26メディア: 単行(ソフトカバー) 書は応用統計学にも造詣の深い科学哲学者大塚淳による統計学の哲学の入門書になる.序章では書について「データサイエンティストのための哲学入門,かつ哲学者のためのデータサイエンス入門」だとある. これまで読んだ統計学の哲学についてはソーバーの「科学と哲学」がなかなか面白かった.書ではソーバーでは扱っていなかった因果推論や深層学習についても論じられていて,そのあたりも勉強したいと思って手に取った一冊になる. 序章 統計学を哲学する? 序章では書のねらいと構成が書かれている.ねらいとしては,上記の入門書というだけでなく,「統計は確固とした数理理論であり,そこに哲学的思弁が入り込む余地はない」とか「統計は単なるツールであり,深遠な哲学とは無縁だ」とかいう誤解を解きたいということが挙げられている.

    書評 「統計学を哲学する」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  •  「進化の運命」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    進化の運命-孤独な宇宙の必然としての人間 作者: サイモン・コンウェイ=モリス,遠藤一佳,更科功出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/07/22メディア: 新書購入: 1人 クリック: 82回この商品を含むブログ (13件) を見る 書はバージェス頁岩の化石研究で有名な古生物学者サイモン・コンウェイ=モリスによるもので,文500ページ強に加え,注が200ページ弱ぎっしりつけられている中身の詰まった書物だ. 書のなかではコンウェイ=モリスの「進化は偶然というより必然だ」を主体とする一連の主張を裏付けるために,収斂の事例がこれでもかこれでもかと紹介されている.その充実振りは見事であり,生物の進化動態について圧倒的な読書感をもたらしてくれる得難い書物だ.しかし,その収斂の事例を使って行うコンウェイ=モリスの主張自体は,実はそれほど面白くない. コンウェイ=モリスの書における主張は

     「進化の運命」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    sakstyle 2020/05/29
    コンウェイ=モリスが収斂事例を集めまくっている本