タグ

ブックマーク / d.hatena.ne.jp (325)

  • 小さな魔女と縁側の時間――アニメ「ふらいんぐうぃっち」 - subculic

    快い。縁側で足を伸ばし、新鮮な外気に触れながら、横にうずくまるのふんわりとした毛を撫でる。そうこうしているうちに、見慣れぬ「あっち側」の訪問者がプレゼントを携えてやってくる。となりの小さな魔女が目を輝かせ、突然の非日常を感受する。そんな様子が快い。『ふらいんぐうぃっち』はいつまでも眺めていたくなるアニメだった。 既視感はある。あずまきよひこの漫画『よつばと!』、スタジオジブリの劇場長編アニメーション『となりのトトロ』『魔女の宅急便』『天空の城ラピュタ』ら、「流通量の多い既視感」がいくつかの要素を埋めているのはたしかだろう。しかしそれは作の彩りのひとつにすぎない。魔女見習いの千夏が空想だと思っていた事象や人に会い、半歩だけ非日常に歩み寄る。深入りはしない。すぐ家に戻り、母親に今日体験した不思議な出来事を話すのだ。その体験談がじつは、視聴者にも馴染み深い意匠であるという関係になっている。

    小さな魔女と縁側の時間――アニメ「ふらいんぐうぃっち」 - subculic
    sakstyle
    sakstyle 2016/06/28
    “本作は小さなこだわり、「ちょっといいもの」の連続で出来ている。”
  • 「ふらいんぐうぃっち」のチラリズム - subculic

    健全な日男子たるもの、そこに目が向くのは仕方のないことであって。 『ふらいんぐうぃっち』は生活芝居に特化したアニメだ。詳しくは 以前書いた記事 を読んでいただけるとありがたいが、人の動きだけでなく、動物の仕草も非常によく観察されている。何気ない所作にほお、と思う。それは軽トラックの荷台に乗って風を受けるチトとケニーの“耳なびき” *1 だったり、小さな舌を出してチロチロと水を飲む様子だったりする。気にしなければそのまま見逃してしまいそうな細部に、きちんとリアリティが込められているのだ。 さあ、そこで題に移りたい。作のチラリズムについてだ。 アニメに偶然はない。原則として偶発的に、たまたま、意図しないものが映り込んでしまうことは起きない(アニメーターの遊びや撮影で足された反射などの例外はある)。ちょっと上段に振りかぶった書き方になってしまったけれど、つまりは真琴がハシゴから飛び降りる際

    「ふらいんぐうぃっち」のチラリズム - subculic
  • 「境界の彼方」ストップモーション風アクションと機動力 - subculic

    2013年に放送されたアニメ『境界の彼方』には独創的なアクションがある。 多彩なバトルシーンが特徴の作にあって、異彩を放つストップモーション風の剣捌き。第2話で披露されたこのアクション、タメツメの効いたタイミングが爽快で影付けもスタイリッシュ。スピード感溢れる殺陣に仕上がっている。驚いたことに、原画マンのアドリブだというのだから衝撃的 *1 。コンテでは暗闇の中で閃光が走る一瞬の斬撃を狙った感じだったらしいが、担当したアニメーターの奔放な想像力とそれを形にする手腕によって見事に昇華されている。原画の枠を越え、演出的な回路で描かれた物のようにも思える濃密な仕事だ。 これを受けてだろう、第4話のアクションシーンにも同様の発想でストップモーションが使われていることに注目。 当初、2話と4話の演出を担当した武康弘がこのアクションを気に入り、コンテに描いていたのだろうと思っていた。しかしどうやら

    「境界の彼方」ストップモーション風アクションと機動力 - subculic
  • 補足・マジックタイム - subculic

    sakstyle
    sakstyle 2016/01/17
    ユーフォの第8話について。あと、花いろについても。あのシーンはとてもきれいだった
  • 西住みほは白旗を上げない〜「ガールズ&パンツァー」主人公の在り方 - subculic

    いったい、何の白旗が仕込まれているんだろう。無骨なはずの戦車がその瞬間、少し可愛らしいオブジェクトに擬態する。横転して動けなくなったり、致命的な命中弾を受けて行動不能になった戦車に上がる白旗。この判定装置によって『ガールズ&パンツァー』はスポーツの精神で行われる、あくまで「競技」(武道)なのだと視聴者に訴えかける。ひっくり返った戦車の「お腹」から白旗が上がる愉快な光景は、作でしか見られない。楽しく、朗らかなギミックだ。主人公・西住みほが車長を務めるあんこうチーム・IV号戦車からも白旗は上がる。劇場版まで含めるとその数、なんと4度。テレビシリーズ12話、劇場版120分の間に「主人公メカ」が4度も撃破されているのだ。個人戦だったら、やられすぎと思ったかもしれない。しかし戦車道はチームで戦う競技であり、そこに妙味がある。たとえばサンダース戦(テレビシリーズ第6話)では、ナオミという作中屈指の

    西住みほは白旗を上げない〜「ガールズ&パンツァー」主人公の在り方 - subculic
  • 「ガールズ&パンツァー 劇場版」を観て - subculic

    とにかく、テンポがいい。洒落ているとさえ思った。特にトップシーンが秀逸だ。漂ってくるのは紅茶の香り。優雅にティータイムを楽しむ、見慣れた赤い制服。しかしカメラを引くと、砲声鳴り響く戦場のど真ん中という状況。いったい、何が起こっているんだと観客もその中に放り込まれる。説明をしないのがまたいい。描写を重ねるうちに少しずつ全容をみせていき、成る程、これはエキシビジョンマッチで大洗と知波単学園が組んだ混成チーム、相手は聖グロリアーナと――え? なんて風に、状況をひとつ明かしていくと同時にサプライズをひとつ提供し、好奇心をくすぐっていくわけだ。その上、伏線の張り方も気がきいている。たとえば、一時帰省しみほを待っていた普段着のまほ。貴重なオフショットにグッときてしまうが、そんな普段着の姉の姿が実は伏線なのだ。まほの秘めたる想い、姉妹の絆、ドラマの縦糸はそこからするすると伸びていく。そして最終決戦、みほ

    「ガールズ&パンツァー 劇場版」を観て - subculic
    sakstyle
    sakstyle 2015/11/27
    「ダージリンのキャラクター作りはつくづく上手いなと感心してしまう。」
  • 「響け!ユーフォニアム」13話の視線と演出 - subculic

    『響け!ユーフォニアム』13話、緊張感ある素晴らしい最終回だった。トップシーンから第1話の冒頭を反復させる対比的な構成で、これはシリーズ演出・山田尚子の真価が見られるかもしれないな、と妙な高揚感があった。13話は吹奏楽モノなら逃げられないコンクール番の演奏シーンをはじめ、語り口を探せばいくらでもみつかりそうな濃い回であり、集大成だ。その一つに人物相関のおもしろさがある。第1巻のスタッフコメンタリーで脚の花田十輝が「シリーズを通して部員全員に台詞を与えたい」と話していたが、ふだんは脇役の部員同士で会話するシーンが最も多かったのも、この回だろう。そこで重要になってくるのが「視線」の在り処だ。山田尚子という演出家は「誰がどんな風に見ているか」の演出が抜群にうまい。青春のドキュメンタリズム、微熱感覚の作劇、色々な言い方はできると思うけれど、心情への接し方とその解釈が独特なのだ。時には石原さんに

    「響け!ユーフォニアム」13話の視線と演出 - subculic
  • 「響け!ユーフォニアム」の生々しさ、その正体 - subculic

    アニメ放映終了後にまとめて読もうと思っていたが、我慢しきれず『響け!ユーフォニアム』の原作小説に手を出してしまった。アニメと比較しながら読み進めていくと、これが面白い。原作1巻を1クールかけてアニメ化しているのだから(正確には短編集の挿話も拾っている)当然かもしれないが、アニメを再び観直すと「これはオリジナルだったのか!」という描写が頻出し、膨らませているポイントの多さになかば感心してしまったほど。たとえば、第5話「ただいまフェスティバル」で印象的だった久美子と麗奈の帰り道(麗奈が髪をかき上げるあの場面)も追加されたエピソードだ。そもそも、原作の久美子は麗奈のことを最初から名前で呼んでいて、距離感に若干の違いがある。アニメは麗奈との関係性を強調するためだろう、少し“遠い”ところからスタートしている。その甲斐あって第8話で「麗奈」と名前を呼ぶ特別な儀式が生まれたわけだ。名字と名前、どちらで呼

    sakstyle
    sakstyle 2015/06/21
    原作との異同、ドキュメンタリータッチな画面、「3D美術」、黒沢ともよ、コメディタッチな表現他
  • 「SHIROBAKO」23話のラストシーンについて - subculic

    新人声優「ずかちゃん」こと坂木しずかにようやくスポットライトが当たった。『SHIROBAKO』第23話「続・ちゃぶだい返し」のラストシーンについて少し、書いておきたい。前回、しずかは自室で一人、テレビに出演しているフレッシュな声優をみながらビールをあおっていた。その様は胸に突き刺さり、痛々しかった。今回、まず憎い演出だなと思ったのは、キャサリンの妹・ルーシー役にしずかが選ばれるんじゃないかと視聴者に期待させている中、アルバイト先の居酒屋で映されるしずかのカットだ。静かに電話と取ったしずかの後ろは前回を引きずるように暗く、目の前は明るい。アフレコ現場にシーンを移す直前のこのカットは妙に引っ掛かった。どうして気になったかというと、23話のポイントは「誰と何を共有しているのか」だと思ったからだ。ラストシーンをみてみよう。宮森あおいは追加シーンのアフレコ現場に姿を現したしずかをみとめ、言葉にならな

    「SHIROBAKO」23話のラストシーンについて - subculic
  • 声優論☆めった斬り! -阿澄佳奈篇- - まぐねしうむ・リボンだいありー

    『声優論』買いました。 第18章 阿澄佳奈──聖と魔が交錯するところ /小森健太朗 ふぅん。 絶賛・批判 読んでからにしてもらおう http://www.youtube.com/watch?v=OqnE82JCIpk へぇ。 (を読んでいる音) じゃあ読んだから批判するね。 『声優論』18章のまとめ 阿澄佳奈の領は、ニャル子に代表される<うざかわいい>芝居にある その<うざかわいさ>は、阿澄に内在する「ヌミノーゼ」を想起させる(「聖」に対する)「魔」の要素から来るものである <うざかわいい>もの以外でも、その「魔」を感じさせる好演がニャル子以後見られる ふーむ。なるほどねぇ。 また俗流阿澄佳奈批評がでてきたぞ。 なんか耳慣れない言葉も混じってるし順番にやっつけていくとするか。 『声優論』18章に内在する論理的不備 「ヌミノーゼ」および「聖魔」のメタファの誤用 まずそもそも「ヌミノーゼ」

    声優論☆めった斬り! -阿澄佳奈篇- - まぐねしうむ・リボンだいありー
  • Paradism

    Paradism

    Paradism
  • 「SHIROBAKO」の描く虚構と現実のバランス感覚 - subculic

    『SHIROBAKO』のバランス感覚にはいつも膝を打つ。「虚構と現実」のバランスだ。このテーマで馴染み深いのは今敏監督だろうか。混淆していく現実と夢の世界を精緻な筆致で描き、入れ子構造に収める独特の手法を用いていた。アニメーション制作にスポットを当てた『妄想代理人』第10話「マロミまどろみ」は、比較対象として興味深いエピソードだ。同じ題材を扱うにしても、今敏監督と水島努監督の「ブラックジョーク度合い」とでも称すればいいのか、明らかな違いがある。とはいえ、『SHIROBAKO』の構造は今敏監督の作風と似ている。修羅場続きで一寸先に落とし穴が待ち構えている現実、けれど夢を持ち続けたいアニメーション制作という場所へのこだわり、その交錯が見所。そんな作特有のバランスを支えているのは、隅々まで徹底して虚構と現実を対立させていること。主人公の宮森あおいを例にとってみよう。同期のタローこと高梨太郎と比

    「SHIROBAKO」の描く虚構と現実のバランス感覚 - subculic
    sakstyle
    sakstyle 2015/02/03
    今敏と比較しつつ、具体例としてはポーズ、リアクション、バッティングフォームなどから、現実っぽさと虚構っぽさの対比を
  • Paradism

    Paradism

    Paradism
  • 2014年の映画をふりかえる/結果発表 - 空中キャンプ

    みなさんこんにちは。このブログを書いている伊藤聡ともうします。今年もまた「ふりかえる」の季節がやってきました。今年公開された映画についてふりかえりつつ、いただいた回答をまとめていきたいとおもいます。地味に続いてきたこの企画も11年め、開始当時にはまだ生まれていなかった甥っ子は9歳になり、わたしはけがをしたり病気をしたりすると、治るまでにえらく時間がかかるようになりました。年月が経過したわけですね。今年も、このような質問内容でアンケートを募りました。 名前/性別/ブログURLもしくはTwitterアカウント 2014年に劇場公開された映画でよかったものを3つ教えてください 2で選んだ映画のなかで、印象に残っている場面をひとつ教えてください 今年いちばんよかったなと思う役者さんは誰ですか ひとことコメント 今回の回答者は159人でした。回答いただきありがとうございます。毎年、ベスト10に入る作

    2014年の映画をふりかえる/結果発表 - 空中キャンプ
    sakstyle
    sakstyle 2014/12/20
    インターステラーしか見てない
  • 絵における「動き」とは一体何なのか?という話 - pal-9999の日記

    さて、はっきりいって、廃棄物放置場所と化しており、全く更新してなかったこの日記でありますが、 いしかわじゅん氏「安彦良和は動きがかけない」⇒安彦氏「アニメーターの僕に、動きが描けないだって?」(「王道の狗」白泉社版4巻から) こっちのエントリを読んで思う事があったので更新しときます。内容は「映像コンテンツにおける動き」です。 まあ、上記のエントリの話は、いしかわじゅんが「安彦良和は動きがかけない」って批判してるわけなんですけど、これねえ、 こっちでアニメーターの西澤晋が全く逆のこと言ってて面白いんですがね(ちなみにこのはとても良いで絵を勉強してる人なら一読の価値があります)。どんな話かってーと、このの野球のバッティングの4サイクルプロセスって話の所なんですが、引用しますが、 アニメの場合はすべての行程を描くことができますが、漫画はその中の一枚ないし二枚で動きを表現します。しかも、すべ

    絵における「動き」とは一体何なのか?という話 - pal-9999の日記
  • DG-Lawさんの受験世界史本が出るよ! 買ってね! - Danas je lep dan.

    Cool Ja 世界で通用する日 『絶対に解けない受験世界史 悪問・難問・奇問・出題ミス集』出します! nix in desertis:『絶対に解けない受験世界史 (大学入試問題問題シリーズ)』が出ます というわけで,DG-Lawさんの人気シリーズがついに書籍化だよ! 編集者さん,単著ですよ,単著! はてな村的な「あがり」に到達したようでおめでとうございます! これからもはてな村オンラインがんばってください!絶対に解けない受験世界史 (大学入試問題問題シリーズ 1)作者: 稲田義智出版社/メーカー: 社会評論社発売日: 2014/10メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る 実は僕も校正を手伝ったよ! 文中で何度か出てくる「某友人」のうち何割かは僕だよ! あとがきに名前も出てくるよ! 僕のブログを読んでくれている皆様は「どの辺を僕がチェックしたのか」に気をつけて読んで

    sakstyle
    sakstyle 2014/10/03
    “単著ですよ,単著! はてな村的な「あがり」に到達したようでおめでとうございます!”
  • 「モダニズムの絵画」 - the deconstruKction of right

    sakstyle
    sakstyle 2014/07/28
    “『グリーンバーグ批評選集』レジュメ”
  • 日米仏におけるカッシーラー受容 (文献メモ) - 社会学徒の研究(?)日誌

    sakstyle
    sakstyle 2014/05/13
    “スイスのダヴォスでなされたハイデガーとカッシーラーの論争「ダヴォス討論」は、20世紀の主要な潮流である分析哲学と現象学を分岐させる象徴的な事件として語る哲学研究者は多いです。例えば、フリードマン”
  • 『LEGO®ムービー』 - 空中キャンプ

    単なる娯楽作品という枠をこえて、ほとんどポップアートの領域に到達してしまっている『LEGO®ムービー』のビジュアルデザインを見ながら、僕は何度も唖然とさせられた。「すぐれた映画」と「特別な映画」をわける境界線は何かという問いは興味ぶかいが(『LEGO®ムービー』はあきらかに「特別な映画」である)、僕にとってそれは、映画のなかに別個の独立した世界が存在すると感じられるかどうか、そして、映画のなかに構築された世界が、それじたい固有の魅惑的なテクスチャーを持っているかどうかだ*1。ただ単に「ストーリーがすぐれている」「演技がすばらしい」というだけではなく、世界の隅々までをくまなく想像し、小さなディテールからあらたな別個の世界を作り上げていく姿勢。その箱庭のような感覚がめまいをもたらし、作品を特別なものにするのだ。 劇中、レゴでできた海面を、レゴでできた船が進んでいく印象的な場面。レゴの波は激しく

    『LEGO®ムービー』 - 空中キャンプ
    sakstyle
    sakstyle 2014/03/25
    “あの四角と丸でできたカラフルなレゴによってたんねんにデザインされ、ひとつの世界として隅々まで行き届いた手ざわり(テクスチャー)を観客にもたらすのだ”
  • 限界研blog

    sakstyle
    sakstyle 2014/01/27
    “テクストの全編に渡って発揮される独特の造語感覚が、「情報」としての「人間」を文体レベルでアップデートしている”