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ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (208)

  • 物理学・生物学的に考えた時、地球外生命体はどのような機能を持っているのか──『まじめにエイリアンの姿を想像してみた』 - 基本読書

    まじめにエイリアンの姿を想像してみた 作者:アリク カーシェンバウム柏書房Amazonこの『まじめにエイリアンの姿を想像してみた』は、書名だけみると小学生ぐらいの夏休みの自由研究みたいだが、実際は動物学者の著者が、生物学、物理学など科学の知識を総動員して「地球外生命体の機能や生態はどのようなものでありえるのか? 逆に、どのようなものではありえないのか?」を考えていく一冊になる。 化学のや生物学ので、一章ぐらいこのテーマに割いているは少なくないが、まるまる一冊地球外生命の生態を考察しているは珍しい。そもそも、「地球外生命体って、誰も見たことがないんだから想像しようがなくない? ソラリスの海みたいなやつだっているかもでしょ」と疑問に思うかもしれないが、世界は物理法則に支配されているわけで、この宇宙の生き物である以上、制約から逃れることはできない。 地球には現状、空を飛ぶクジラのような、

    物理学・生物学的に考えた時、地球外生命体はどのような機能を持っているのか──『まじめにエイリアンの姿を想像してみた』 - 基本読書
  • 『完璧な夏の日』のラヴィ・ティドハーによる、どこか懐かしさを感じる未来の情景を描いたSF長篇──『ロボットの夢の都市』 - 基本読書

    ロボットの夢の都市 (創元海外SF叢書) 作者:ラヴィ・ティドハー東京創元社Amazonこの『ロボットの夢の都市』は、第二次世界大戦直前に世界各地に現れた異能力者たちの暗躍を陰なトーンで描き出す『完璧な夏の日』や、ヒトラーが失脚しロンドンに移り住んで探偵になった日々を描く歴史改変SFの『黒き微睡みの囚人』で知られるラヴィ・ティドハーによる、未来史長篇だ。近現代史をテーマにしてきた過去の邦訳作と比べると、作はストレートに人類の未来をSF的に描き出している。 印象的な砂漠と土色で巨大な人型ロボットが描かれた表紙が印象的だが、まさに舞台は砂漠の街(ネオムといい、実在する)であり、そこで暮らす人々とロボットの姿、また数百年前に起こった太陽系を巻き込んだ大戦争とその顛末がじっくりと描きこまれていく。物語の筋は、とあるロボットが砂漠から掘り起こした”ヤバいブツ”が街の住人を巻き込んだ騒動に発展し

    『完璧な夏の日』のラヴィ・ティドハーによる、どこか懐かしさを感じる未来の情景を描いたSF長篇──『ロボットの夢の都市』 - 基本読書
    sakstyle
    sakstyle 2024/02/16
    “世界の細かな背景であったり情景が楽しい作品だ。”
  • 二酸化炭素除去技術から湿地創造プロジェクトまで、自然を操作しようとした試みを描き出す──『世界から青空がなくなる日:自然を操作するテクノロジーと人新世の未来』 - 基本読書

    世界から青空がなくなる日:自然を操作するテクノロジーと人新世の未来 作者:エリザベス・コルバート白揚社Amazon人類は技術が発展するたびにそれを使って自然を操作・征服しようとしてきた。その試みの中には成功したものもあれば(農耕だって自然の操作の一種である)手痛いしっぺがえしをくらったこともあるし、成功したと同時にそれがもたらした悲劇の対応に追われたこともある。書では、特に最後の、「問題を解決しようとして生み出された問題を(主に技術で)解決しようとする」人々の姿を描き出していく一冊だ。 たとえば昨今騒がれている気候変動対策では大気中に粒子を撒いて地上に届く太陽光を減らすことで気温を下げるジオエンジニアリングと呼ばれる種類の技術も大真面目に議論されている。大気中に粒子を撒くのは即効性のある手段で今のところ有望な技術のひとつだが、結局地球温暖化の「原因」を取り除いたわけではないので、風邪でい

    二酸化炭素除去技術から湿地創造プロジェクトまで、自然を操作しようとした試みを描き出す──『世界から青空がなくなる日:自然を操作するテクノロジーと人新世の未来』 - 基本読書
    sakstyle
    sakstyle 2024/02/08
    「「気温を減少させるための作業それ自体が(二酸化炭素を生み出して)気温を上昇させる」、悪循環を生み出す可能性も」
  • はるか未来の人々の生活を向上させるため、いま何をすべきかをあらためて考える──『見えない未来を変える「いま」――〈長期主義〉倫理学のフレームワーク』 - 基本読書

    見えない未来を変える「いま」――〈長期主義〉倫理学のフレームワーク 作者:ウィリアム・マッカスキルみすず書房Amazonこの『見えない未来を変える「いま」』は、現在シリコンバレー界隈などで人気の高い「長期主義(Longtermism)」という思想について書かれた一冊だ。著者はオックスフォード大学哲学准教授にして『〈効果的な利他主義〉宣言!』などで知られるウィリアム・マッカスキルで、主に倫理・道徳哲学の観点から長期主義について、またこの主義に基づくなら、われわれ個人と現代文明は、はるかな未来に向かって何をすべきなのか(あるいは、何をしないべきなのか)を考察していくことになる。 長期主義には現在批判も出ているが、個人的にはおもしろい観点だと思った。長期主義的観点に立つからこそ出てくる問いかけもあり、そこには独創性がある。 長期主義とは何なのか? 長期主義が何なのかといえば、次のような意味になる

    はるか未来の人々の生活を向上させるため、いま何をすべきかをあらためて考える──『見えない未来を変える「いま」――〈長期主義〉倫理学のフレームワーク』 - 基本読書
  • ヤドカリやハチやタコの「経験」はどのようなものなのか?──『メタゾアの心身問題――動物の生活と心の誕生』 - 基本読書

    メタゾアの心身問題――動物の生活と心の誕生 みすず書房Amazonこの『メタゾアの心身問題』は、タコやイカがどのような「意識」を持っているのかについて様々な観察・研究をもとに紹介した、『タコの心身問題』の続篇にあたる。 『タコの心身問題』は邦での刊行が2018年で、その後何度も「人以外の生物の心、意識」や「タコの知性について」語る時にこのブログや他所の原稿で何度も取り上げてきたノンフィクションだったが、作(メタゾア〜)もそれに勝るほどの知的興奮を与えてくれる傑作だ! 作でもタコの話題が前作より最新の情報とともに語られているので、ある意味では続篇にしてアップデート版といえる内容に仕上がっている。 タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源 作者:ピーター・ゴドフリー=スミスみすず書房Amazonタコに続いての「メタゾア」なので、当然作ではメタゾアの心と意識について触れていくわけだが

    ヤドカリやハチやタコの「経験」はどのようなものなのか?──『メタゾアの心身問題――動物の生活と心の誕生』 - 基本読書
  • 時間から猫テーマまで中華SFの粋が集められた、今年ベスト級のSFアンソロジー──『宇宙の果ての本屋』 - 基本読書

    宇宙の果ての屋 現代中華SF傑作選 作者:顧適,何夕,韓松,宝樹,陸秋槎,陳楸帆,王晋康,王侃瑜,程婧波,梁清散,万象峰年,譚楷,趙海虹,昼温,江波新紀元社Amazonこの『宇宙の果ての屋』は、日における中華SF翻訳・紹介の立役者立原透耶編集による中華SF傑作選になる。2020年にも同じ新紀元社から『時のきざはし』という中華SF傑作選が出ていて、書はその続篇というか第二巻にあたる。 『時のきざはし』のレベルは高く、今なお中国の才能を知るためのSFアンソロジーとしてはトップクラスにおすすめしたいしたい傑作だが(文庫化してないから値段的にはあれだけど)、作品全体のレベルでいえば『宇宙の果ての屋』に軍配があがる。それぐらい全15篇すべてのレベルが高く、時間やなど様々なテーマ・題材がある中で、どれもが一生記憶に残るような鮮烈な印象を遺してくれる一冊だ。 huyukiitoichi.ha

    時間から猫テーマまで中華SFの粋が集められた、今年ベスト級のSFアンソロジー──『宇宙の果ての本屋』 - 基本読書
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    sakstyle 2023/12/19
  • 『皆勤の徒』の著者最新作にして、今年いちばんおもしろかった傑作SF長篇──『奏で手のヌフレツン』 - 基本読書

    奏で手のヌフレツン 作者:酉島 伝法河出書房新社Amazon酉島伝法はデビュー作の連作短篇集『皆勤の徒』と第一長篇『宿借りの星』が共に日SF大賞を獲得と、寡作ながらもその作品は常に高い評価を受けてきた。 そんな酉島伝法による最新作『奏で手のヌフレツン』は2014年にSFアンソロジー『NOVA』に載った同名短篇の長篇版で、これが著者の現時点での最高傑作といっても過言ではないほど素晴らしい出来だ。酉島伝法の作風は造語を駆使しながら人ならざるものたちの世界、視点、文化を細かく描き出していく、一言でいえば「唯一無二」という他ないものだ。作でもその特徴は引き継ぎながらも、ストーリー、世界観はともに既作よりも壮大さを増し、読みながら「今までこんな感覚、文章を読んで味わったことがないな……」と思うほど特殊な感覚と興奮が呼び起こされた。 たとえば下記は作の一ページ目の文章で、奏で手と呼ばれる人たちが

    『皆勤の徒』の著者最新作にして、今年いちばんおもしろかった傑作SF長篇──『奏で手のヌフレツン』 - 基本読書
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    sakstyle 2023/12/13
    「最初はお仕事ものや子育てものとして牽引していくのだが、途中からは太陽が衰え、蝕が迫り、世界の崩壊が近づいていき、どうすれば球地を救えるのか? という大きなテーマが浮かび上がって物語は加速していく」
  • 《竜のグリオール》シリーズ最終巻にして、ファンタジィの醍醐味がぎゅっと詰まった長篇ドラゴン・ファンタジィ─『美しき血』 - 基本読書

    美しき血 竜のグリオールシリーズ (竹書房文庫) 作者:ルーシャス・シェパード竹書房Amazonルーシャス・シェパードの代表作のひとつ、《竜のグリオール》シリーズの最終巻が『美しき血』として邦でもついに刊行となった。最終巻といってもこのシリーズは長いサーガや倒すべき敵がいるわけではなく、一作目『竜のグリオールに絵を描いた男』と二作目『タボリンの鱗』はどちらも中短篇集で、三作目となる作『美しき血』も他と関わりはあるとはいえ独立した長篇なので、どこから読んでも良い。 著者は作を刊行(フランス語版は2013年、英語版は14年)したすぐ後に66歳で亡くなっており、これが遺作となる。しかし、これが遺作なら納得もできただろう、と思えるほど、様々な要素があわさった、総合的で美しい長篇だ。 《竜のグリオール》シリーズは数千年前に凄腕の魔法使いと戦った結果、死は免れたものの身動きがとれなくなった全長1

    《竜のグリオール》シリーズ最終巻にして、ファンタジィの醍醐味がぎゅっと詰まった長篇ドラゴン・ファンタジィ─『美しき血』 - 基本読書
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    sakstyle 2023/11/21
    ウォレスやフンボルトの名前が/「ロザッハーのグリオール観が、「ただのでかいトカゲ」から「神的な存在」へと変遷していく」「麻薬の製造と成り上がりという犯罪小説的にはじまった本作はその様相を次々と変え」
  • 「能動的に行動する能力」はいかにして生まれ、進化してきたのか──『行為主体性の進化:生物はいかに「意思」を獲得したのか』 - 基本読書

    行為主体性の進化:生物はいかに「意思」を獲得したのか 作者:マイケル・トマセロ白揚社Amazonこの『行為主体性の進化』は、認知科学が専門のマイケル・トマセロによる、「行為主体性」について書かれただ。霊長類や他の哺乳類はアリやハチといった昆虫と比べると「知的」であるようにみえる。しかしその知的さをどのようにはかるべきだろうか。もちろん、これについては行動の複雑さなど無数の尺度が考えられるだろうが、書ではその知的さの違いを「行動の制御」に見出していく一冊だ。 たとえば、アリやミツバチの行動は、それがどれほど複雑であっても個体がすべてをコントロールしているようにはみえない。彼らの行動を主に制御しているのは個体の判断ではなく生物学的機制(バイオロジー)である。一方の霊長類や他の哺乳類は、ある程度は自分のコントロールにおいて、情報に基づく決定を能動的に下しているようにみえる。これに関連して出て

    「能動的に行動する能力」はいかにして生まれ、進化してきたのか──『行為主体性の進化:生物はいかに「意思」を獲得したのか』 - 基本読書
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    sakstyle 2023/11/10
    トマセロの新刊。爬虫類はイレギュラーに対処できる、哺乳類は計画をたてれる(社会性により獲得したとされる)、ヒトは社会規範に従って行動できる(協働するため)、と。
  • 入り組んだイスラエルの歴史、その問題を、解きほぐすように解説していくノンフィクション──『イスラエル 人類史上最もやっかいな問題』 - 基本読書

    イスラエル 人類史上最もやっかいな問題 作者:ダニエル ソカッチNHK出版Amazon2023年の10月7日に勃発した、イスラム組織ハマスによるイスラエルへの大規模攻撃。件については今なお目まぐるしく状況が動いていて日々ニュースが絶えないが、その背景には複雑な歴史や思想があって素人が理解するのは容易ではない。Web記事なども多数読んだが、まとまった情報がほしい時はやはり書籍に限る。 いくつか読んだが、中でもイスラエルの民主主義を達成させるためのNGO、「新イスラエル基金」のCEOの著者ダニエル・ソカッチによる『イスラエル 人類史上最もやっかいな問題』は今年(2023年)の2月に刊行されたばかりのノンフィクションで、現在の事態をフラットに、かといって事実を列挙するだけではない形でイスラエルーパレスチナ間の問題を説明していて、特におすすめの一冊だったので紹介したい。 著者は書を、ある特定の

    入り組んだイスラエルの歴史、その問題を、解きほぐすように解説していくノンフィクション──『イスラエル 人類史上最もやっかいな問題』 - 基本読書
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    sakstyle 2023/10/31
    イスラエル建国の父ベン=グリオンは、第三次中東戦争で手にした占領地を手放すように主張していたのか……
  • 科学とSFの相互発展の歴史を、小説、映画、ドラマなど多方面から描き出す──『サイエンス・フィクション大全 映画、文学、芸術で描かれたSFの世界』 - 基本読書

    サイエンス・フィクション大全 映画、文学、芸術で描かれたSFの世界 グラフィック社AmazonSF、サイエンス・フィクションとはサイエンスとついているように基的には科学をテーマ・取り扱ったフィクションのことを指す(科学を扱わなくてもSFに分類されるが、今回は細かいことはどうでもいい)が、科学を扱う以上その内容は現実の科学の発展に影響を受ける。たとえば、火星や月が明確に観測される以前は人々の空走の中ではそこに生命が満ちているフィクションがよく描かれていたが、鮮明な画像、観測結果が出回るにつれて火星や月に生物がいる物語は描かれなくなっていった。 一方で、SFは影響を受けるばかりではなく、現実の科学にも影響を与えてきた。多くのロボット学者は昔はアトム、今はドラえもんに影響を受けてその道を志し、琥珀の中の蚊が吸った血から恐竜の復元が試みられた物語『ジュラシック・パーク』の大ヒット後は、多くの学者

    科学とSFの相互発展の歴史を、小説、映画、ドラマなど多方面から描き出す──『サイエンス・フィクション大全 映画、文学、芸術で描かれたSFの世界』 - 基本読書
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    sakstyle 2023/10/24
    「もともとは2022年10月からロンドンの科学博物館で開催された『サイエンス・フィクション』展のガイドブック」「豊富なイラストや図版」
  • 既存の「わかりやすい」人類史を現代の知識・研究でとらえなおす、『ブルシット・ジョブ』著者の遺作となった大作ノンフィクション──『万物の黎明 人類史を根本からくつがえす』 - 基本読書

    万物の黎明 人類史を根からくつがえす (翻訳) 作者:デヴィッド・グレーバー,デヴィッド・ウェングロウ光文社Amazonこの『万物の黎明』は、世の中にはやってもやらなくてもいいようなクソどうでもいい仕事で溢れているのではないかと論を展開した『ブルシット・ジョブ』で知られるデヴィッド・グレーバーの最新作にして、遺作となった大作ノンフィクションである(単著ではなく、考古学の専門家デヴィッド・ウェングロウとの共著)。今回テーマになっているのは、サブタイトルに入っているように、「人類史」だ。 多くの(特に売れている)人類史には、環境要因に注目したジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』や「虚構」をテーマにしたユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』のように「わかりやすい切り口」が存在するものだが、書(『万物の黎明』)の特徴の一つは、数多語られてきた「わかりやすい切り口」の「ビッグ・ヒストリ

    既存の「わかりやすい」人類史を現代の知識・研究でとらえなおす、『ブルシット・ジョブ』著者の遺作となった大作ノンフィクション──『万物の黎明 人類史を根本からくつがえす』 - 基本読書
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    sakstyle 2023/10/11
    「「複雑な人類史を複雑なままに」とらえようとしている」「都市生活や奴隷制度や農耕が、ある時代の社会に「なかった」のはなぜなのか」人口のスケールで支配構造が変わるわけではない等(季節ごとに変わる例)
  • がん治療を一変させる可能性を持った、新たな治療法の誕生と発展──『がんの消滅―天才医師が挑む光免疫療法―』 - 基本読書

    がんの消滅:天才医師が挑む光免疫療法 (新潮新書) 作者:芹澤 健介新潮社Amazonこの『がんの消滅』は、新たながんの治療法として注目を集める「光免疫療法」について書かれた一冊である。光免疫療法はすでに米国や日で一部の症例に対して承認され、標準治療となった新しい”がん療法”で、その仕組がこれまでの抗がん剤や放射線治療とは異なることから、その初期の段階から大きな注目を集めてきた。 僕自身光免疫療法の名をはじめて知ったのはいつだったか思い出せないが、その時から「僕ががんで死ぬ可能性が下がったかもしれない」と期待に胸を踊らせたものだ。何しろ、光免疫療法は既存の治療法と比べて「圧倒的に副作用が少なく、すべてのがんが治るわけではないが効果も高い」と目されていたからだ。書は、その発明者である小林医師がアメリカの研究所で研究を始めるに至った経緯と、光免疫療法の発見・承認に至るエピソードやその仕組み

    がん治療を一変させる可能性を持った、新たな治療法の誕生と発展──『がんの消滅―天才医師が挑む光免疫療法―』 - 基本読書
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    sakstyle 2023/10/02
    最近よく名前をみる奴か。
  • 欧米で話題沸騰の気候変動にまつわるすべての領域を描き出そうとした野心的な気候変動SF──『未来省』 - 基本読書

    未来省(The Ministry for the Future) 作者:キム・スタンリー・ロビンスン,坂村健パーソナルメディアAmazonこの『未来省』は、『レッド・マーズ』、『グリーン・マーズ』、『ブルー・マーズ』の三作からなる火星三部作や『2312 太陽系動乱』などで知られるキム・スタンリー・ロビンソンが2020年に刊行した気候変動SF長篇だ。キム・スタンリー・ロビンソンは「細部へのこだわりと、世界や社会、人類といった大きなものをまるごと描こうとするヴィジョン」のどちらもを持ち合わせる稀有な作家だが、作は”気候変動vs人類”という中心テーマに対して、その才能をいかんなく発揮している。 最初に概要と総評を紹介する 近年実際に災害が増えていることもあって、気候変動をテーマにした小説(Climate Fiction)は欧米で伸びているジャンルだが、作は数あるcli-fiの中でもとりわけ大

    欧米で話題沸騰の気候変動にまつわるすべての領域を描き出そうとした野心的な気候変動SF──『未来省』 - 基本読書
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    sakstyle 2023/09/22
    キム・スタンリー・ロビンスン「ジオエンジニアリングからブロックチェーンからMMT、3Dプリンタまであらゆる技術」「ドローンテロ」「氷河に水を撒くプロジェクト」「本書はノンフィクション好きの方が楽しめるかも」
  • 全世界の誰もがこの人間の影響を受ける、お騒がせ男初の公式伝記にしてアイザックソンの最高傑作──『イーロン・マスク』 - 基本読書

    イーロン・マスク 上 (文春e-book) 作者:ウォルター・アイザックソン文藝春秋Amazonこの『イーロン・マスク』は、その名の通りイーロン・マスク初の公式伝記である。マスクの伝記自体はこれまでにも出て、翻訳もされている(読んだけどおもしろい)が、その中にあって作の特徴は刊行された直後だから、つい最近のツイッターの買収など”最新の情報・エピソード”まで網羅されているところにある。 そしてもう一つの特徴は、スティーブ・ジョブズをはじめとした無数の偉人たちの伝記を書いてきた、伝記の名手であるウォルター・アイザックソンがその私生活にまで密着して描き出している点にある。僕もアイザックソンのは昔からファンでほとんどすべてを読んでいると思うが、これまで彼が手掛けてきた伝記の中でも書の書きぶりには熱が入っていて、しかもこれまで書いてきた天才・偉人たちとの比較という評価軸もうまく機能しており、最

    全世界の誰もがこの人間の影響を受ける、お騒がせ男初の公式伝記にしてアイザックソンの最高傑作──『イーロン・マスク』 - 基本読書
    sakstyle
    sakstyle 2023/09/20
    「「彼はすさまじい人間だが、彼のすさまじい成果とあの性格はセットでなければならないのか?」ベルドスクール一体何?!
  • 索引の歴史は、時間と知識についての物語である──『索引 ~の歴史 書物史を変えた大発明』 - 基本読書

    索引 ~の歴史 書物史を変えた大発明 作者:デニス・ダンカン光文社Amazon主に重要な単語や人名が何ページに出てくるかを示すために巻末についている「索引」。索引はノンフィクションについていることが多いが、これに注意を払う人はあまり多くないだろう。調べ物でもなくただそのノンフィクションを頭から尻尾まで楽しみたい人にはそこまで必要なものとはいえない。実際、僕も読まない方が多い。 しかし何か具体的な目的を持ってあるを読んだり、読み返したりする人にとってはとても重要な存在である。えーとこののフロイトについて言及してる箇所が知りたかったんだけどどこだったっけな……という時に、電子書籍なら検索で一覧が表示されるが紙の場合は索引がなければ最初から読み返す必要があるからだ。 書『索引 ~の歴史 書物史を変えた大発明』は、そんな索引の歴史について書かれた一冊である。僕が日頃読むノンフィクションには日

    索引の歴史は、時間と知識についての物語である──『索引 ~の歴史 書物史を変えた大発明』 - 基本読書
    sakstyle
    sakstyle 2023/09/13
    ページ数が意味をなさない時代(写本)から索引ってあったのか……索引は1230年頃に誕生。聖書を章わけし、その章をさらに分割して、その位置を示した、と
  • 毒はどのように人間を死に至らしめるのか?──『毒殺の化学:世界を震撼させた11の毒』 - 基本読書

    毒殺の化学:世界を震撼させた11の毒 作者:ニール ブラッドベリー青土社Amazonこの『毒殺の化学:世界を震撼させた11の毒』は、その書名の通りに人間を毒殺するために用いられた11の毒について書かれた一冊になる。毒殺では常套手段といえる青酸カリやトリカブトはもちろん、一般的には糖尿病治療で用いられるインスリンなど、それらがどのように人体を死に至らしめるのかという科学。そして、歴史を振り返ったときにその毒がどう殺人に用いられてきたのかが合わせて語られていく。 取り上げられているエピソードは単なる毒殺ではなく暗殺であったり、不特定多数に向けた無差別毒殺テロにみせかけて実は特定の狙いがいたというはた迷惑なケースであったりと、犯罪・事件的に話題性にとんだものばかりで、科学と犯罪捜査で一度で二度おいしい構成になっている。おもしろいのが、発覚したケースでないと誰にも知られぬまま忘れられていくだけだか

    毒はどのように人間を死に至らしめるのか?──『毒殺の化学:世界を震撼させた11の毒』 - 基本読書
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    sakstyle 2023/08/31
    「「誰も知らない、珍しい殺し方だからこりゃ第一研究所だろう」となってしまうのはすごいんだかすごくないんだか……という感じではある。」
  • 並行宇宙の地球〈怪獣惑星〉の怪獣たちを保護し、地球を守るために日夜戦う保護協会の面々を描く、『老人と宇宙』著者による怪獣SF──『怪獣保護協会』 - 基本読書

    怪獣保護協会 作者:ジョン スコルジー早川書房Amazonこの『怪獣保護協会』は、『老人と宇宙』など数多のSF作品・シリーズで知られるジョン・スコルジーの最新邦訳長篇である。スコルジーはもともとSF愛好家であり、作品にもSF小説映画・アニメネタが(時として)あふれかえることでも知られる作家だが、作がテーマにしているのは書名にも入っているように「怪獣」だ。 怪獣がもし、並行宇宙の地球に存在したら、それを保護し、研究する人々もいるだろう──という発想で、作でスコルジーは怪獣が実在する世界をいきいきと楽しそうに描き出していく。しかしなぜ彼は怪獣の小説を書くことになったのか? スコルジーは売れっ子の作家なので何作もの出版契約を結んでいるのだが、常に物事がうまく進むとは限らない。2020年のはじめに執筆予定だった長篇は新型コロナウイルスの到来により書ける状態ではなくなってしまい、一年近く苦しん

    並行宇宙の地球〈怪獣惑星〉の怪獣たちを保護し、地球を守るために日夜戦う保護協会の面々を描く、『老人と宇宙』著者による怪獣SF──『怪獣保護協会』 - 基本読書
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    sakstyle 2023/08/09
    「一言でいえば、軽いテイストで書かれた幸福な怪獣マニアの小説」「SF小説的なロジックの詰めはしっかりとしていて、ただただ「軽い」で終わる小説ではない」
  • 現代ならではの形でAI・ロボットの反乱を描き出す、AI反乱SF傑作選──『ロボット・アップライジング』 - 基本読書

    ロボット・アップライジング AIロボット反乱SF傑作選 (創元SF文庫) 作者:スコット・シグラー,チャールズ・ユウ,ヒュー・ハウイー,アーネスト・クライン,コリイ・ドクトロウ,ジュリアナ・バゴット,アレステア・レナルズ,イアン・マクドナルド,ロビン・ワッサーマン,ジョン・マッカーシー,ショーニン・マグワイア,ンネディ・オコラフォー,ダニエル・H・ウィルソン東京創元社Amazon東京創元社はこれまで「ゲーム」とか「銀河連邦」とか「巨大宇宙」とかこの手のテーマ・SFアンソロジーを多数翻訳・刊行してきたが、作『ロボット・アップライジング』はAIAIでも「反乱」にテーマを据えたSF傑作選である。『ウール』などで知られるベストセラー作家のヒュー・ハウイー、『レディ・プレイヤー1』の原作を書いたアーネスト・クラインなど錚々たる作家陣13人が短編を寄稿している。 正直、AI・ロボットテーマの中でも

    現代ならではの形でAI・ロボットの反乱を描き出す、AI反乱SF傑作選──『ロボット・アップライジング』 - 基本読書
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    sakstyle 2023/07/15
    東京創元社のテーマ別SFアンソロ/アレステア・レナルズ入ってるー!/「ナノロボット、それが世界を変容させていく情景が恐ろしくも美しい」作品、ナイジェリアが舞台の芸術テーマの作品など
  • AIによる「自動化」の背後に隠れて生み出された、大量の人間を必要とする仕事について──『ゴースト・ワーク』 - 基本読書

    ゴースト・ワーク 作者:メアリー・L・グレイ,シッダールタ・スリ晶文社Amazon『ゴースト・ワーク』とまるでホラー小説のような書名だが、ノンフィクションである。「ゴースト・ワーク」とは書の造語で、人工知能やウェブサイトの動作を支えている、見えづらい(あるいは、意図的に隠されている)裏側の人間の労働のことを指している。わかりやすい例でいえば、人工知能のモデルに学習をさせるために、の画像にのラベルを貼りつける、あるいはフェイスブックやインスタグラムやツイッターのようなSNSで、暴力的なコンテンツとAIが自動で判定したコンテンツが、当にまずいものなのか、誤判定されたものなのかをチェックする仕事である。 GPT-3〜4の登場もあってAIの発展著しい昨今、AIは多くの人間の仕事が奪われると恐怖と共に語られることが多いが、まだまだ完全に人間の仕事を置き換えることは難しい。それは逆にいえば、「

    AIによる「自動化」の背後に隠れて生み出された、大量の人間を必要とする仕事について──『ゴースト・ワーク』 - 基本読書