第8章 新「グーグル翻訳」完成祝賀会 季節のないシリコンバレーだが、それでも、グーグルのオフィスでは季節の移り変わりを知らせてくれるものがある。1つは、マイクロキッチン(社員食堂)の果物の入れ替わりだ。真夏はプルオットだし、初秋になればアジア梨や富有柿だ。 もう1つは、進化していくテクノロジーだ。残暑の残る9月の月曜日の午後、チームの論文はついに公開されたのだ。この論文は、31人という異例の数の共同執筆者により書かれた。 論文公開の翌日、「グーグル・ブレイン」と「グーグル翻訳」のチーム・メンバーたちが、「翻訳」のマイクロキッチンで開かれた小さな祝賀パーティーに集まった。「ブレイン」チームの入る建物のそれぞれの部屋は、孤独な戦いの長い冬に敬意を払ってのものだろうか、アラスカの地名が名づけられている。一方、「翻訳」のビルは、ハワイをテーマにしている。