何も信じられなくなってしまった時代に、デカルトの哲学が生まれた ――真理を扱う哲学は政治に関われないとなると、じゃあ哲学って何ができるんだ、と思ってしまうのですが……。 國分 アーレントは本当にすぐれた哲学者ですが、今言ったような理由から哲学の歴史に対して批判的でした。だから彼女は「自分は哲学者ではない、政治学者だ」と言ったりしています。アーレントが「哲学は真理を扱う」と言った時には既にそこに批判の意味が入っているわけです。僕自身は「哲学は真理を扱う」という命題は半分正しいけれども、半分間違っていると思っています。というのも、哲学は漠然と真理を考えているわけではないからです。「人間とは何か」とか「時間とは何か」とか、哲学は漠然とそんなことを考えているんじゃないんです。哲学は常に問題を考えているんです。突きつけられた問題に応答しようとしている。 たとえば僕の専門の17世紀の哲学者にデカルトが
スタンフォード大学d.schoolの「デザイン思考の授業」の詳細を連載「米国デジタル・ジャーナリズム事情」のなかでレポートした洪由姫が、デヴィッド・ケリー教授に「失敗や周りの評価に対する恐怖を克服する方法」について聞いた。 ──IBMが数百人単位でデザイナーを採用するなど、大企業が改めて「デザイン思考」に関心を持っているのはどうしてでしょうか。 競争相手として捉えてきた企業と明らかに違う企業が出てきたからだろうね。Uberやairbnbなど、まさか車や家を他人が利用するなんてこれまでの常識では考えられなかったからね。 だから、彼らに対抗する新しい商品やサービスを考えるときには、これまでと違う方法が必要になっている。もちろんデザイン思考が最善の方法ではないかもしれないし、企業のCEOはそれが何かも本当はわかっていないかもしれない。でもこれまでとは違うアイディアを見つけられる可能性が高まること
現在ロードショー公開中のアニメーション映画「この世界の片隅に」の片渕須直監督に、日経ビジネスオンラインで「宇宙開発の新潮流」を連載している松浦晋也さんがインタビュー。意外に見える組み合わせですが、実は宮崎駿氏も一目置く航空史家である片渕監督と、航空宇宙の専門家にして映画マニアの松浦さんはのっけから噛み合わせ抜群。未読の方は是非、前編「『この世界の片隅』は、一次資料の塊だ」からお読み下さい。(ちなみに、松浦さんの映画評をもっと読みたい方は、こちら) (編集部:山中) 片渕須直(かたぶち・すなお)氏 アニメーション映画監督。1960年生まれ。日大芸術学部映画学科在学中から宮崎駿監督作品『名探偵ホームズ』に脚本家として参加。『魔女の宅急便』(89/宮崎駿監督)では演出補を務めた。T Vシリーズ『名犬ラッシー』(96)で監督デビュー。その後、長編『アリーテ姫』(01)を監督。TVシリーズ『BLAC
ファーストリテイリングが展開する「ユニクロ」の海外店舗数は8月末時点で958店と、日本国内の837店を上回る。柳井正会長兼社長はトランプ候補が仮に大統領になった場合、「世界経済がめちゃくちゃになる」と強い懸念を示した。国境に壁を作るという公約を掲げるトランプは、移民によって発展してきた米国の建国の精神を否定する人物であり、「米国一国主義」によって、ファーストリテイリングも含めてグローバル展開する世界の企業に大きな影響を及ぼすと警戒する。一方、過去10年間、苦戦しながらも、約50店まで増やしてきたユニクロの米国事業について、「大変ですが(今後も)絶対に、やる」と、語気を強めた。「やる気のある人を応援する国であってほしい」とも述べ、これまで通り海外の企業や人材を受け入れるべきだと強調した。(聞き手は鈴木哲也) 日経ビジネスオンラインは「もしトランプが大統領になったら…」を特集しています。 本記
1997年のメジャーデビューから20年近く、日本の音楽シーンの第一線を走り続けるロックバンド「Dragon Ash」。そのボーカルとして圧倒的な存在感を放ち、2015年にはソロ活動も開始したKjは、ファンの間ではSNSを使わないことで知られているが、その一方でテクノロジを愛する一面も持っている。 10月18日には、KDDI ウェブコミュニケーションズが運営するビジュアルブログ「g.o.a.t(ゴート)」のバージョンアップにあわせて、Kjを起用した新たなプロモーションビデオ(PV)も公開された。モーションキャプチャなど最新のテクノロジを詰め込んだ、従来のDragon Ashのミュージックビデオとはテイストの異なる作品に仕上がっている。 今回、Kjにインタビューする機会を得た。「音楽×デジタル」という切り口で、インターネットを使った音楽の届け方や、映像も含めた視聴方法の多様化、SNS時代に音楽
芸能界には若く見える人が多いが、中でも石田純一さんは別格だろう。とても還暦を過ぎているとは思えない。体形は30年以上変わらず、髪はふさふさ、肌だってツヤツヤしている。21歳下の理子夫人は2012年の男の子に続き、この3月に女の子を出産。つまり、62歳離れた子どもができたわけだ! その若さの秘密はどこにあるのか? 日経Gooday編集長・寺西 芝がインタビューした内容から、3回にわたって「石田純一のアンチエイジング術」を紹介しよう(1回目の記事はこちら)。第2回は運動の話を中心に――。 カラダだけでなく、頭と心も動かす 石田さんの若々しさを支えている「健康の秘訣」とは何でしょうか? 石田 運動で「体を動かす」、本を読んだり勉強したりして「頭を動かす」、それからワクワクドキドキする楽しい時間を持って「心を動かす」ことでしょう。若い女性にドキドキしても問題があるので、今は妻に何度も恋をするように
穏やかな口調で存分に話すプーチン大統領 これほど面白いインタビューは久しぶりだった。ウクライナの動乱が始まって以来、ずっと悪者になっているロシアのプーチン大統領。報道の表通りだけを見ていると、欧米の主張ばかりが大手を振っていて、プーチン大統領は世界の平和と秩序を乱す大悪党だ。 ただ、ネットで裏通りを探していくと、ロシアの言い分についての解説も結構たくさんあって、それを読むうちに、プーチン大統領やラブロフ外相の言っていることのほうが正論ではないかと思うことも少なくない。 誰のどの言葉をどれだけ信じればよいのか見当がつかないとき、インタビュー映像は最高の贈り物だ。しっかりしたインタビュアーがいて、しかも、答えの部分が後で切ったり貼ったりされていないと納得できるなら、それはとりわけ役に立つ。 11月16日夜、ARD(ドイツ公共放送連盟)が放送したのが、まさにそんな珠玉のインタビューだった。インタ
ピーター・F・ドラッカー(Peter.F Drucker)氏 1909年オーストリア・ウィーン生まれ、89歳。31年独フランクフルト大学で法学博士号取得。33年ナチスの手を逃れるために英国に渡り、保険会社、銀行に勤務。37年英国の新聞特派員、投資信託顧問として米国に移住。50年から71年までニューヨーク大学教授。71年クレアモント大学大学院教授となり、現在に至る。『断絶の時代』など30冊の本を著し、20言語に訳され、世界中で愛読されている。新著は『明日を支配するもの――21世紀のマネジメント革命』(ダイヤモンド社)。[写真:Eric Millette] 真の情報革命までは混迷期が続く 今こそ明治維新達成した先人に学べ 今年末、90歳になるドラッカー氏。 ほぼ1世紀を生き抜いた博学多識の社会生態学者は、21世紀の情報化社会が到来する前に奥深い混迷期の時代が続くと予測。 コンピューター技術の発
1999年3月8日号より 業績低迷に苦しんでいたアップルコンピュータが復活した。 昨年8月に発売したカラフルなパソコン「iMac」が世界中で爆発的なヒットを呼び、開発体制の見直しなどによるリストラ効果も手伝って1998年度は3期ぶりの黒字決算となった。 このアップル復活の立役者となったのが、97年9月、12年ぶりに暫定ではあるが最高経営責任者(CEO)に復帰した創業者の1人、スティーブ・ジョブズ氏である。帰ってきたカリスマ、ジョブズ氏にアップルの急激な再生の秘密を聞いた。 (聞き手は本誌編集長、小林 収) アップル創業時の魂を社内外に吹き込む 96年3月からアップルの最高財務責任者(CFO)兼執行副社長を務めるフレッド・アンダーソン氏は、復帰したジョブズ氏を指して言う。「アップルの社内にオリジナル・ソウルを戻してくれた」。瀕死状態ともいえたアップルの息を吹き返させたジョブズ氏は、どんな魂を
1975年12月22日号より 「滅びゆく王様より、先に希望の持てる乞食の方がいい」という土光敏夫経団連会長。 将来に目標のない人間は生きていけないが、これは企業の経営者だけでなく消費者も含めた経済体も同様だ。 この不況を突破するには、政府がまず、景気の先行きに的確な見通しと目標を与えることが大前提だと同氏は力説する。 (聞き手は本誌編集長、吉村 久夫) * * * 問 政府の不況対策をみていると、相変わらず及び腰の姿勢が目立ちます。このまま越年したら、大変なことになるんじゃないかという経済界の不安も大きくなる一方ですね。 答 われわれの方でも、この1年いろいろと福田副総理らにお願いしてきたわけなんですが、思うようにいかないまま、ここまできてしまった。政府・日銀のいうようにマクロでは、景気は多少は持ち直しつつあるようにみえるかもしれないけど、ミクロではますます悪化する一方なんですよ。
東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故をきっかけに、東京大学関係者を中心とする日本の専門家や権威には共通する欺瞞に満ちた話法=「東大話法」があると指摘して注目を集めてきた東京大学教授の安冨歩氏。背景には、何にも増して「立場」を重視するという世界的にも特異な日本社会の在り方が大きく影響してきたという。 近著『ジャパン・イズ・バック 安倍政権に見る近代日本「立場主義」の矛盾』では、安倍晋三政権はもはや機能しなくなりつつある「立場主義」を何としても維持したい「立場ある人たち」のものでしかない、必要なのは安倍首相が繰り返し強調する「強い日本」ではなく、状況の変化に柔軟に対応できるしなやかさを持った社会の形成だと強調する。 その安冨氏に安倍政権の本質と、今、日本社会が進むべき方向性とその考え方について聞いた。(聞き手は石黒 千賀子) 安倍晋三政権は昨年末、特定秘密保護法案を衆参両院で可決、この7月
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