なぜ人は歪んだ教義を信じるのか…佐藤優「まっとうな宗教とカルト宗教をわける決定的な違い」 世界宗教の「感化の力」とカルト宗教の「洗脳」の違い 間違った目標設定をしている宗教・価値観は要注意 ただし、厄介なのは、本人があくまで善意に基づきよかれと思って、悪をなしている場合です。かつてのオウム真理教などは、まさにそのパターンでしょう。 このままだと煩悩からどんどん悪事を働いてしまう衆生を救わなければならない。そのためには人々を罪の軽いうちに殺してしまうこと(ポアすること)が正しく善なる行為である、という論法です。 あくまでも自分たちこそ正しく、神や天の意志に従っているという認識なので、大変に始末が悪いのです。 こういう場合は、彼らの目標や目的が、いわゆる公共善に基づいたまっとうなものかどうかを考えてみることです。 例えばナチスドイツやソ連のスターリニズムがよい例と言えます。彼らの論法は彼らの内
私自身、20代の最後の頃、まるまるひと夏を事務所で過ごすみたいな激務に身を投じた経験を持っているのだが、実のところ、その時の細かい出来事は、ろくに覚えていない。記憶が残らないほど睡眠不足だったということなのか、それほど疲れていたということなのか、いずれにせよ、私は当面の苦しさを意識しないほどあからさまに過剰適応していたのだと思う。 この間の事情は、カルト教団への入信の過程に似ている。 ずっと昔に読んだ『カルトの子―心を盗まれた家族』(米本和広著 文藝春秋社)という本には、子供時代をカルト信者の二世として過ごした人々の証言がいくつも収録されているのだが、その彼らの語る教団内での暮らしは、過重労働を強いられている労働者がその試練への適応過程として身につける思考停止の様相と区別がつかないほど良く似ている。 オウム真理教、エホバの証人、統一教会、ヤマギシ会という代表的な4つのカルトの中で育った子供
オンライン出版『現代宗教』(ISSN 2188-4471) 年刊『現代宗教』は、国際宗教研究所の公益財団法人化に伴い、2014年度号よりHP上で無料公開いたします(リンクはご自由にお張りください)。また、若干数ではありますが冊子版もご用意しております。ご希望の場合は、研究所までお問い合わせください。 (公財)国際宗教研究所所長 島薗進 ※2013年度までの『現代宗教』は、書籍注文ページからお申し込みください。 二一世紀の幕開けにあたって、私たちは不安げな面もちで、「宗教はどこにゆくのだろうか」と問いかけている。人類社会全体が不透明な前途にとまどいがちだが、その「人類の未来の見えにくさ」の小さくない部分が「宗教の未来の見えにくさ」に由来していると言えるかもしれない。たぶん二〇世紀の幕開けにあたって、人々はそれほど宗教の未来への問いに悩まされることはなかったのではないか。今日の世界で、「宗教へ
『池上彰の教養のススメ』(2014年4月発売)。 2012年、池上彰さんが東京工業大学のリベラルアーツセンターの教授に就任して2年。以来、同僚である哲学者の桑子敏雄先生、文化人類学者の上田紀行先生、生物学者の本川達雄先生と一緒に、「教養」について考え抜いた本です。 「教養」なんて役に立たない。英語だのITだのすぐに役立つ実学が大事だ!といわれて久しい――。でも、時代の変革期に「本当に役に立つ」のは、新しいものを生み出すのは、むしろ「教養」の力です。 本書の発行に先駆けて、上田紀行先生との対談を集中連載します。 上田先生の専門は、文化人類学と宗教学。「無宗教」と自認する日本人ですが、実は日本人は、世にも奇妙な宗教を信じている。それはしかも「会社」と大きく関わっている。オウム真理教問題から靖国神社問題まで、現代日本の宗教について、縦横無尽に語ります。 では、皆さんもどうぞ「教養にまみれて」くだ
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