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小田嶋に関するquelo4のブックマーク (196)

  • 政治を語る人の通癖:日経ビジネスオンライン

    今週も選挙の話題に触れなければならない。 あまり気がすすまない。 政治まわりの話題の中でも特に選挙の話は、必ずや興奮した人たちを呼び寄せるからだ。 興奮している人たちは、他人と対話をすることができない。 そもそも政治とは、他人との対話を前提とした動作であるはずなのに、なぜなのか、政治に熱意を持っている人の多くは、相手の話に耳を傾けようとしない。 それで、賢い人たちは政治の話をしたがらないのだと思う。 もっとも、賢明な人間が政治の話題を遠ざけているという私のこの観察自体、私の個人的な思い込みに過ぎない可能性はある。 別の見方をする人たちもいる。 政治に熱中している人たちは、政治の話題に無反応な人たちを愚か者だと思っていたりする。 別の言い方をすれば、政治的な考えにとりつかれている人間は、他人を敵と味方に分類する形で世界に対峙しているということだ。彼らにとって、味方にも敵にも分類することのでき

    政治を語る人の通癖:日経ビジネスオンライン
    quelo4
    quelo4 2023/07/11
    “そういえば、たしかに昨年の都知事選では、石原慎太郎元都知事に「厚化粧の大年増」という言葉で罵倒されたことが、結果として、小池百合子氏にとって追い風になったものだった”
  • 「死にたい人」の背中を押すなかれ

    にもかかわらず、氏の記事は強い怒りを持った人々を呼び寄せている。で、その怒りに燃える彼らは、犯人に浴びせていたのと同じ口調で藤田氏を攻撃している。 どうしてこんな理不尽なことが起こるのだろうか。私にとっては、なによりこの点が不可解だった。 今回は、「怒り」について考えてみたいと思っている。 どうやら、あるタイプの人々は、怒りに水を差されるとさらに怒る仕様になっている。 いったい、何がそんなに彼らを憤らせるのだろうか。 その日の夜になって、私は 《「死にたいなら一人で死ね」というメッセージの発信に注意を促した人は、殺人犯を擁護したのではない。 「死にたいなら一人で死ね」というその言葉が、不安定な感情をかかえた人々への呪いの言葉になることを憂慮したから、彼はそれを言ったのだ。どうしてこの程度のことが読み取れないのだろうか。》 というツイートを投稿した。 と、怒りは私のアカウントに向けられること

    「死にたい人」の背中を押すなかれ
    quelo4
    quelo4 2023/07/11
    “何かに怒っていたり、誰かを憎んでいたりしないと自分を保てない人々が一定数暮らしている。彼らの心にはまず怒りがあって、それゆえ常にその怒りの持って行き先を探していたりする”
  • 「死にたい人」の背中を押すなかれ

    川崎市の登戸でひどい事件が起こった。 詳しくはリンク先を見てほしい。私はあまりコメントしたくない。 登戸は、20代の頃、仕事上で行き来のあった人が住んでいた場所だ。その人はもう亡くなってしまったのだが、いつも自分の生まれ故郷である登戸について 「ニコタマ(二子玉川)なんかよりずっと素敵な街だ」 という言い方で自慢していた。 つい半年ほど前に所用で訪れた時にも、私の生まれ育ったあたりと同じ河川敷に近い街の空気に親近感を抱いた。なので、今回の事件は胸にこたえた。 宮崎勤による一連の幼女殺害事件が発覚したばかりの頃、保育園に通う女の子を持つ知り合いがとても怒っていたのを記憶している。 当時独身だった私は、いつもは温厚なその知り合いが、どうしてそこまで強い憤りを表明しているのかを、いぶかっていたのだが、後に、自分が子供を持ち、同じ立場の保育園児の親たちとやりとりするようになって、幼児を養育している

    「死にたい人」の背中を押すなかれ
    quelo4
    quelo4 2023/07/11
    “「死にたいなら一人で死ね」というメッセージが、孤独な人間を犯罪に追いやる可能性とは別に、それらの言葉が希死念慮を抱いている人間の背中を押す結果にならないか”
  • 目を背けたい気持ちの爪痕

    同世代の知り合いが顔を揃えると、「最近はニュースを見ない」というメンバーが多いことに驚かされる。理由を尋ねると「気分が重くなるから」ということらしい。なるほど。 若い人たちがどうなのかは知らないが、たしかに還暦を過ぎた世代にとって、最近のニュースは重苦しい。特にウクライナ関連のニュースは、映像といい現況分析といい、高齢者には精神的な負担になる。私自身、首都キーウ近郊のブチャに放置された多数の遺体の映像を見て、半日ほどふさぎこんだ。映像を見る前に「極めて衝撃的な映像が含まれています」という注意喚起の文言を読んでいながら、実際に映像を見に行ってみると、あっさり魂を抜かれた状態になってしまった次第だ。 自覚としては、私は、あのテの映像には耐性を持っているはずだった。事実、10年前だったら、軽く受け流していたことだろう。加齢というのはおそろしいもので、自分に直接の関わりのない人々にふりかかった不幸

    目を背けたい気持ちの爪痕
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    quelo4 2023/07/11
    “こんなふうに長期的かつ抽象的な思考に身をゆだねているのは、実のところ、自分が現実逃避をしているからなのだということは、経験上、なんとなくわかっている……戦争は今後の世界に深い爪痕を残す”
  • 音楽は政治と分離できるか

    何かを政治的に利用することがすなわち悪だと言っているのではない。 私は、「音楽政治的に利用するな」という言い方もまた、音楽政治的に利用するレトリックのひとつだということを指摘しているに過ぎない。 もっとも、彼らの主張が政治的であることはともかくとして、 「音楽のために集まった人間を相手に、場違いな人間が政治宣伝をしてるんじゃねえよ」 という言い分に、まったく正当性が無いのかといえば、そんなことはない。 十分に一理はあると思う。 実際に、音楽を聴くためにフェスティバルに参加したのに、案に相違して政治の話を聞かされることを不愉快に思う聴衆は確実にいるだろうだからだ。 ただし、私の見るに、現在、ネット上で、「音楽政治を持ち込むなよ」ということを強硬に主張している人々の多くは、自分が純粋に音楽を聴く環境をかき乱されたくないからそう言っているのではない。それどころか、彼らの大半は、そもそもフェ

    音楽は政治と分離できるか
    quelo4
    quelo4 2023/07/11
    “今回の論争で、互いを罵倒しあっているのは、音楽に過剰な思い入れを抱いている人々と、政治に過剰な熱意を持っている人々で、大多数の普通の人たちは、最初の2行で読むことを放棄している”
  • 音楽は政治と分離できるか

    何かを政治的に利用することがすなわち悪だと言っているのではない。 私は、「音楽政治的に利用するな」という言い方もまた、音楽政治的に利用するレトリックのひとつだということを指摘しているに過ぎない。 もっとも、彼らの主張が政治的であることはともかくとして、 「音楽のために集まった人間を相手に、場違いな人間が政治宣伝をしてるんじゃねえよ」 という言い分に、まったく正当性が無いのかといえば、そんなことはない。 十分に一理はあると思う。 実際に、音楽を聴くためにフェスティバルに参加したのに、案に相違して政治の話を聞かされることを不愉快に思う聴衆は確実にいるだろうだからだ。 ただし、私の見るに、現在、ネット上で、「音楽政治を持ち込むなよ」ということを強硬に主張している人々の多くは、自分が純粋に音楽を聴く環境をかき乱されたくないからそう言っているのではない。それどころか、彼らの大半は、そもそもフェ

    音楽は政治と分離できるか
    quelo4
    quelo4 2023/07/11
    “仮に、政治に強い忌避感を持っているフェス参加者がいるのだとして、その彼または彼女が、政治的な企画の開催を阻止したり、特定の出演者の登壇を妨害する権利はそもそもどこにも存在しない”
  • それは大阪市長がやるべき仕事なのか:日経ビジネスオンライン

    大阪市が、サンフランシスコ市との間で取り結んでいた姉妹都市の提携を解消するのだそうだ。 伝えられているところでは、吉村洋文大阪市長は、10月2日付けで姉妹都市の解消を決断し、その旨を公開書簡として、サンフランシスコ市長宛てに送付したのだそうだ(こちら。公開書簡やその和訳はこちらから)。 この情報を、私は、吉村市長ご自身のツイッターへの書き込みを通じて知った(こちら)。 なるほど。 姉妹都市を解消するというのは、具体的にどういう意味を持った措置なのだろうか。 「お姉妹ってことじゃないか?」 ちがうと思う。 姉妹が縁を切っても、いきなりおしまいにはならない。 そんな簡単な話ではない。 タイムラインに流れてきた市長のツイートを読んだ当初、正直な話、私は、市長の意図するところが理解できなかった。 この3年ほど、慰安婦像の設置をめぐって、大阪市とサンフランシスコ市の間でやりとりが続いていたことは承知

    それは大阪市長がやるべき仕事なのか:日経ビジネスオンライン
    quelo4
    quelo4 2023/07/11
    “吉村市長がサンフランシスコ市議会や市長宛てに説明を求める書簡を送っているのは、コアな支持層に向けて演じてみせている軽歌劇みたいなものなのだろうと考えていた次第”
  • カジュアルさにひそむ責任回避

    ようやく春めいてきた。 世間が4月になろうとしているこの時期に「春めいてきた」などと言い出すのは、ふつうに考えて間抜けな態度ではある。 でも、実感として、春の訪れが遅れているのだから仕方がない。 私自身は、いまだに冬の名残の中で暮らしている。 それゆえ、寒さと乾燥した空気への警戒を解いていない。 温暖化がひとまわりして、春の訪れが遅くなっているのだろうか。 おそらく違う。 春が遅れている原因は、地球の側にでなく、私の側にある。 つまり、季節の移り変わりがスピードダウンしているのではなくて、私の五感が、春の訪れを容易に感知しなくなっているのだ。 その点、花粉症を患っている人々は、いちはやく季節の変化に反応している。 「おい、春が来てるぞ」 と、彼らは鋭く断定する。 「……風はまだ冷たいけどなあ」 と言っても聞かない。 「いや。オレの鼻が春の呪いを感じ取っている」 「呪い?」 「知らないのか?

    カジュアルさにひそむ責任回避
    quelo4
    quelo4 2023/07/11
    “じっさい、調べてみるとASD(自閉スペクトラム症)の子どもたちが方言を発話しないことは、さまざま地方で確認され、報告されている”
  • 「空気」は万博開催では変わらない:日経ビジネスオンライン

    2025年の国際博覧会(万博)が、大阪で開催されることが決定した。 このニュースが伝えられた11月24日の午前、私は、ツイッター上に 《NHKは局をあげて万博大歓迎体制なのだな。 まあ、公共放送とてメディア企業である以上、この種の巨大イベントから直接的な収益を期待するのは当然なわけで、彼らはモロな利害関係者というのか、立ち位置的には祭りにおける露天商(←言葉の使い方に配慮しています)と同じなのだね。》(こちら) 《万博を起爆剤にとか言ってる人たちは、もしかして気で大阪を爆破するつもりでいるわけなのか?》(こちら) 《招致の賛否を問う段階では反対派の意見も応分に紹介されていた。それが、招致が決定すると反対派の声は「なかったこと」にされる。一夜にして「もう決まったことなのだから一丸となって協力しよう」という空気ができあがる。東京五輪の時も同じだった。たぶん先の大戦でも同様の空気だったはず。》

    「空気」は万博開催では変わらない:日経ビジネスオンライン
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    quelo4 2023/07/11
    “国家レベルで醸成される一体感については、いまなお私は薄気味の悪さを感じる。これは性分なので、どうしようもない。 万博招致決定のニュースにネガティブ書き込みをした私に、強い調子の罵倒リプライが多数”
  • 杉田水脈氏と民意の絶望的な関係

    告白すれば、私自身、2年ほど前から、同誌の目次に並んでいる文言が、月を追って異様さを加えていく変化の様相に気づいていなかったわけではない。毎度毎度、いったいどこまで行くものやらと、不安を感じていた。 で、手をこまねいてうじうじ心配しているうちにここまで来てしまったわけです。 今回、ことここに至ってあらためて感じるのは、活字に関わる人間であるわれわれの無力さと、世間を吹く風の凶暴さについてだ。 この10年ほどの間に、私がかかわっていた紙の雑誌のうちの半数以上は、すでに廃刊に追い込まれている。なんとか生き残っているかに見える媒体の多くも、ページを開いてみると、5年前とは別の出版物に変貌している。 「新潮45」について申し上げるなら、私の目には、同誌が目指している未来は、雑誌という媒体が生き残ることを許されない社会であるように見える。 どうして自らの死を目指すのか、その理由は私にはわからない。

    杉田水脈氏と民意の絶望的な関係
    quelo4
    quelo4 2023/07/11
    “この子供と老人への予算配分ついて考察したツイートは、原稿執筆時点で5921回RTされており、9845件の「いいね」……ツイートの背景には、おそらく、21世紀になってから流行語のようになっている「経営者目線」の影響”
  • 杉田水脈氏と民意の絶望的な関係:日経ビジネス電子版

    前回は体調を崩してお休みをいただきました。 当欄の更新を楽しみにしてくださっていた読者のみなさまには、あらためてこの場をお借りしてお詫びを申し上げます。 また、ざまあみろこのままくたばって連載休止に追い込まれやがれと思っていた読者には、ざまあみろ復帰したぞということをお伝えしてごあいさつに代える所存です。 今週から通常運転です。 体力、気力ふくめていまだにやや不足気味ですが、なんとかがんばりたいと思っています。 今回は、自民党の杉田水脈衆議院議員が「新潮45」に寄稿した文章と、その記事がもたらした波紋について書くつもりでいる。 体調を崩して寝たり起きたりしている間、ツイッターを眺めながらあれこれ考えていた内容を、なるべく考えていた道筋通りに書き起こすことができればよろしかろうと考えている。 というのも、当件に関する私の見解は、必ずしも一道の結論に沿ったクリアな言説ではなくて、いまもって揺

    杉田水脈氏と民意の絶望的な関係:日経ビジネス電子版
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    quelo4 2023/07/11
    “私がむしろ当惑を感じたのは雑誌の編集姿勢について。パラパラとめくりつつ 「おいおい『新潮45』はついにこのテの言論吐瀉物をノーチェックで載せる媒体になっちまったのか」 と少しく動揺せずにはおれなかった”
  • マリちゃんが聞いていた「オペラ座の夜」 (5ページ目):日経ビジネスオンライン

    私は返事に窮した。 というのも、音楽趣味は別として、不登校気味の二人の大学生がゴロゴロしている隣の部屋で、昼前から大音量でレコードをかけているマリちゃんは、おそらく学校に通っていなかったからだ。音量の大きさもちょっとしたものだった。窓が震える音量と言えば見当がつくだろうか。とにかく、当時都内の私立高校に通う2年生だったはずの妹さんは、午前中からそういう音量で「オペラ座の夜」を聴いている思春期の迷える魂だった。 「マリちゃんは大丈夫なのか?」 と、それ以前にDに尋ねたこともある。Dは 「知らねえよ」 と答えた。 まあ、答えようもない質問だったのだろう。マリちゃんは、私にとっても妹みたいなもので、それこそ赤ん坊の頃からよく知っている子だった。それでも、どうしようもないものはどうしようもない。 しばらく考えた後、私は、お母さんの質問に、 「大丈夫ですよ」 と答えた。 仮に、女子高生にとって有害

    マリちゃんが聞いていた「オペラ座の夜」 (5ページ目):日経ビジネスオンライン
    quelo4
    quelo4 2023/07/11
    “私自身は、才能を持っている人間には、それを「恩寵」ないしは「義務」として受け止めてほしいと思っている。 エンジェルスの大谷翔平選手を見ていると、その感じを強く受ける”
  • マリちゃんが聞いていた「オペラ座の夜」

    私は返事に窮した。 というのも、音楽趣味は別として、不登校気味の二人の大学生がゴロゴロしている隣の部屋で、昼前から大音量でレコードをかけているマリちゃんは、おそらく学校に通っていなかったからだ。音量の大きさもちょっとしたものだった。窓が震える音量と言えば見当がつくだろうか。とにかく、当時都内の私立高校に通う2年生だったはずの妹さんは、午前中からそういう音量で「オペラ座の夜」を聴いている思春期の迷える魂だった。 「マリちゃんは大丈夫なのか?」 と、それ以前にDに尋ねたこともある。Dは 「知らねえよ」 と答えた。 まあ、答えようもない質問だったのだろう。マリちゃんは、私にとっても妹みたいなもので、それこそ赤ん坊の頃からよく知っている子だった。それでも、どうしようもないものはどうしようもない。 しばらく考えた後、私は、お母さんの質問に、 「大丈夫ですよ」 と答えた。 仮に、女子高生にとって有害

    マリちゃんが聞いていた「オペラ座の夜」
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    quelo4 2023/07/11
    “フレディがロックミュージックの中になんとしてもオペラの要素を取り入れようと躍起になったのは、オペラが大げさで、滑稽で、古くさくて愚かしかったからだ”
  • 学歴を忌避する人を打ち負かす動かしがたい事実

    社会に階級があるのがいけないと言おうとしているのでもない。 「無階級社会」というのは、言葉つきとしては美しいが、実現できるかどうかは別問題だ。また、階級の存在自体、良いとか悪いとかの議論になじむ対象ではない。いずれにしても「階級」という左翼じみた用語を使うまでもなく、われわれが暮らしている世界には相異なる所得層があり、社会的階層があり、職業的な役割分担があるわけで、そうした有機的な機能分化が存在してないと人間の集団が有効に機能しないことは確かなのだ。 問題は、学校現場におけるクラス分けが、社会的な階級選別とモロにリンクしているシステムのあり方だ。 むろん、こんなことを手柄顔に指摘してみたところで、いまさらどうなるものでもないことは承知している。ただ、私としては、そもそもが旧弊な身分制社会の桎梏(しっこく)から近代の人間を解放する役割を果たしてきたはずの学歴システムが、いつの間にやら階級固定

    学歴を忌避する人を打ち負かす動かしがたい事実
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    quelo4 2023/04/20
    “実際、クラスは、生涯にわたって消えることのない烙印であり、クラスメイト同士の連帯感がいかに麗しいものであっても、部外者(あるいは実社会)に対してクラスが果たしている役割は一種の階級標識”
  • 早大卒の小田嶋隆が抱いていた学歴への複雑心境

    建前論を言えば、サラリーマンならいざ知らず、原稿書きの仕事学歴もへったくれもないはずだ。原稿の善し悪しや出来不出来は、別に著者の経歴なんかを知らなくても、読めばわかることだ。書いた人間が東大を出ていようが、中卒であろうが、面白い原稿は面白いし、つまらない原稿はつまらない。 が、それでも、著書には「著者略歴」が不可欠で、その「著者略歴」には、学歴が不可欠なのだ。こんなことを言っている私自身が、を買うと必ず「著者のプロフィール」を見ずにはおれない人間ではある。いや、私個人は、著者がどういう大学を出ているからということに影響されて文章を読んでいるつもりはない。ある文章を書いた人間がどの大学を出たのであれ出ていないのであれ、良い文章は良いし、悪い文章は悪い、と、私はそう考えている。 が、文章の読み方には影響を受けないまでも、やっぱりどういうわけなのか、著者の学歴を知らないと気持ちが悪いのである

    早大卒の小田嶋隆が抱いていた学歴への複雑心境
    quelo4
    quelo4 2023/02/02
    “「相手はどんな人?」 おふくろ 「慶應の経済出て、なんだか商事でなんだかをやってる人」 なるほど慶應の経済か。 私はわかった気になっている。 何がわかったんだ? わからない。 幸せって何だろう。 わからない”
  • 父の学歴コンプレックス継いだ私が味わった空虚

    問題は、この、肩の荷だ。 これが、イヤな話なのだ。 つまり怨念は、相続されるのである。 学歴という、ちょっとした家庭の事情や、国語算数の出来不出来や、あるいは試験当日の体調の良し悪しやら出題傾向の気まぐれで決定してしまうこのちっぽけな履歴が、一人の人間の一生を生涯にわたって支配し、のみならず、その学歴にまつわる怨念が、世代をまたがって息子にまで引き継がれていたりするわけなんだから。 父の怨念は、根の深いものだった。 それは、息子たる私が、引き継がざるを得ない、イヤな圧力で、家の中の空気を息苦しいものにしていた。言葉に出しては言わないものの、父は私に期待していた。大学に行ってほしいと思っていた。 おかしな話だが、私は、父が決して面と向かって「勉強しろ」と言わないところに、なんとも言えない圧力を感じていた。 深読みと言ってしまえばそれまでだが、私は、父が、その無頓着を装った態度の裏で、息を殺し

    父の学歴コンプレックス継いだ私が味わった空虚
    quelo4
    quelo4 2023/01/26
    “なんということもなく勉強して、何の疑問もなく優秀な成績で大学に入って、自分がエリートであることについていささかの疑念も抱いていない人々と、私は、どうしても打ち解けることができなかった”
  • 小田嶋さんへの手紙

    2022年6月24日、日経ビジネスオンライン時代から長くご執筆をいただいてきたコラムニスト、小田嶋隆さんがお亡くなりになりました。 今回は、小田嶋さんに近しい方々にいただいた寄稿を掲載して、皆さんと一緒に偲びたいと思います。 最初は、日経ビジネスに小田嶋隆さんをご紹介くださったジャーナリスト、清野由美さんです。 追悼、小田嶋隆さんへ ついにこの時が来てしまった。 小田嶋さんが脳梗塞で入院された時から、ずっと、はらはらと過ごしてきた。編集Yこと、日経ビジネスの山中浩之さんから電話の着信があると、覚悟を決めて出るのが習いになっていた。小田嶋さん人の美学から、逐一の病状はうかがっていなかったが、じわじわと砂の落ちる音は伝え聞いていた。 私にとっては、昨秋「中央公論」で小田嶋さんとオバタカズユキさんの対談の仕切り役をした時が、今生のお別れとなった。幾度かの入院治療のインターバルのタイミングで、身

    小田嶋さんへの手紙
    quelo4
    quelo4 2022/07/11
    “小熊英二が著した『日本社会の仕組み』によると、戦後地域間賃金格差や階級間年収格差が最小だったのが1975年(引用元は、橋本健二『「格差」の戦後史』)で、日本社会が「一種の安定状態」にあったのが70年代後半”
  • 次のネタは天国で読めますか?

    「カネが諸悪の根源だというのは、正しいようでいて正しくない。カネを扱う時には、人間の性が露呈しがちだという、それだけの話だ。」 日経ビジネスオンラインの連載コラム第1回に、小田嶋隆さんはこんなセリフをぶつけてくれた。 2008年10月31日に始まった「ア・ピース・オブ・警句」の連載はすぐにこのウェブサイトの看板コラムとなり、日経ビジネス電子版にも引き継がれて、22年4月8日までの13年6カ月で631の原稿を世に問うた。今お読みの日経ビジネスの「pie in the sky」でも、14年1月13日号から連載が始まり、8年と3カ月の間に221の原稿を頂いた。 自分は2つのコラムの立ち上げと編集、そして2冊の単行仕事に携わった。大変でしょう、とよく言われたが、小田嶋さんはどんなに自分に都合が悪いときでも、必ず電話に出てくれる方だった。なので、仕事はスリリングだが楽しかった。 そんなご縁

    次のネタは天国で読めますか?
    quelo4
    quelo4 2022/07/06
    “『ハローワーク』に行けば、『ハロー』ってな調子で、新しい仕事に出会えるのだろうか? じゃあ失業は『チャオワーク』で、解雇は『グッバイワーク』なのか? 職業安定所に暗いイメージ→失業という事態が暗いから”
  • 「迷惑をかけた」の半分以上は

    ミュージシャンで俳優のピエール瀧さんがコカインを使用したとして逮捕された。 逮捕されたということは、ここから先は、「ピエール瀧こと瀧正則容疑者(51)=東京都世田谷区」といったあたりの主語を使って原稿を書き進めるべきなのだろうか。 なんということだ。 最初の、主語の選び方の時点で気持が萎えはじめている。 個人的に、平成の30年間は、この種の事件に関連する原稿を書くに当たって、メディア横断的な横並び圧力が強まり続けてきた30年だったと感じている。特に、犯罪に関わった人間を扱う際の主語や敬称の使用法がやたらと面倒くさくなった。 なんというのか、 「主語の運用において、礼法に則った書き方を採用していない書き手は信用に値しません」 みたいな、七面倒臭いマナーが、業界標準として定着してしまった感じを抱いている。 「ハンコを押す時には、相手の名前に向かって軽く頭を下げる角度で押印するのがビジネスマナー

    「迷惑をかけた」の半分以上は
    quelo4
    quelo4 2022/07/06
    “1で言っていることはつまり「自力では酒をやめられないこと」を認めることではじめて、「酒をやめるためのスタートライン」に立つことができるということ”
  • 小田嶋隆さん、お疲れ様でした。そしてありがとう。

    日経ビジネス電子版で「『ア・ピース・オブ・警句』~世間に転がる意味不明」、日経ビジネス誌では「『pie in the sky』~ 絵に描いたべーション」を連載中のコラムニスト、小田嶋隆さんが亡くなりました。65歳でした。 小田嶋さんには、日経ビジネス電子版の前身である日経ビジネスオンラインの黎明(れいめい)期から看板コラムニストとして、支えていただきました。追悼の意を込めて、2021年11月12日に掲載した「晩年は誰のものでもない」を再掲します。 時の権力者だけでなく、社会に対して舌鋒(ぜっぽう)鋭く切り込む真のコラムニスト。その小田嶋さんがつむぐ1万字近い原稿を、短い言葉でどう表現するか。記事タイトルを短時間で考える担当編集者にとっては、連載の公開前日は勝負の1日でもありました。 再掲載するコラムは療養中の病室から送っていただいた原稿です。「晩年」という言葉やそれを何も考えずに使う社

    小田嶋隆さん、お疲れ様でした。そしてありがとう。
    quelo4
    quelo4 2022/06/24
    “80歳を過ぎて書籍を出版しようという書き手が悲観的な人生観を抱いているはずがない。出版社側から見ても、せちがらい編集会議をくぐりぬけて出版にこぎつける以上、著者はすでにネームバリューを持った人々”